お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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55 スパーリングパートナー
街中が一気にクリスマスムードになる十二月。
就活インターンも一旦落ち着き
冬休みまでの三週間、あたしは毎日大学に通っていた。
バイトのある日はそのままバイト先に向かい、
そうでない日はいつも商店街を通って帰っていた。
幕之内くんのタイトルマッチ以降
何度も木村園芸の前を通ったけれど
木村さんの姿を見かけることはなかった。
—————最近どうしたのかな
いつものようにそのまま通り過ぎようとしたところ、
何となく目に入ったポインセチアにつられて店の前に自転車を停めると、奥から木村さんのお母さんが出てきた。
「あら澪ちゃん、いらっしゃい」
何度も通っているうちに、
お母さんともすっかり顔馴染みになっていた。
「こんにちは。すっかりクリスマスですね」
店内は並んだポインセチアで真っ赤だった。
せっかくなので、一番小さい鉢植えを買うことにした。
「いつもありがとうね」
「いえ、こちらこそいつもよくしていただいてありがとうございます」
袋に入った鉢植えを受け取ると、
これで用事が終わってしまった。
木村さんに特に何か用があるわけではないので
声をかけるか迷ってしまったけれど
やっぱり気になるので聞いてみることにした。
「あの……最近木村さん見かけないんですけど、何かあったんですか?」
思い切って聞いてみると
お母さんは「ああ、達也ね」と
ちょっと心配そうな表情を見せたあと、
すぐに嬉しそうに言った。
「あの子、タイトルマッチが決まったのよ」
「あ!チャンピオンカーニバル」
「相手の選手、すごく強い人らしくてね。まぁチャンピオンなんだから強いのは当たり前なんだけど。それで最近は朝から夜遅くまでずっと練習してるのよ」
「そうなんですか」
—————木村さんの階級のチャンピオンって
確か、間柴選手……
東日本新人王の準決勝で宮田くんの足を踏んだ人。
もう二年も前のことだし
何より宮田くん本人はとっくに乗り越えて
どんどん前に進んでるんだから、
外野のあたしがとやかく言うことではないんだけど。
正直、あたしは今でもモヤモヤしてしまう。
「木村さんならこないだまでオレとスパーしてましたよ」
バイトで一緒になった宮田くんに
木村さんのタイトルマッチのことを話したら、
そんな返事が返ってきた。
「そうなの?」
「相手はあの間柴ですから。頼まれてしばらくスパーの相手してました」
宮田くんの口からサラッと相手選手の名前が出た。
—————そりゃ相手が誰なのか知らないわけないよね
「どうしたんですか?」
複雑な気持ちが顔に出ていたのか
黙り込んだあたしに宮田くんが言う。
「ううん。何でもないんだけど……あたし、相手の選手はちょっと苦手」
思わず出た本音。
「ああ」と、すぐに察した宮田くん。
—————どうしよう。変な気分にさせちゃったかな
「大丈夫ですよ、木村さんは」
あたしの心配をよそに、
宮田くんはハッキリとした口調で言った。
「本当?」
「ええ。むしろオレは面白いことになると思ってますよ」
ニヤリと笑って言うその口ぶりから
それが気休めでないことを感じた。
「そっか。宮田くんがそう言うなら大丈夫だね」
—————いつまでもグズグズ執念深いままじゃダメだよね
木村さんの応援に集中しようと
あたしは気持ちを切り替えた。
2026/09/19 UP
+++++atogaki+++++
相手選手…私はいまだに根に持ってるけどね!
まぁでもあれがなかったら話が終わってしまってただろうから
仕方ないっていうのもわかってる(つもり)笑
街中が一気にクリスマスムードになる十二月。
就活インターンも一旦落ち着き
冬休みまでの三週間、あたしは毎日大学に通っていた。
バイトのある日はそのままバイト先に向かい、
そうでない日はいつも商店街を通って帰っていた。
幕之内くんのタイトルマッチ以降
何度も木村園芸の前を通ったけれど
木村さんの姿を見かけることはなかった。
—————最近どうしたのかな
いつものようにそのまま通り過ぎようとしたところ、
何となく目に入ったポインセチアにつられて店の前に自転車を停めると、奥から木村さんのお母さんが出てきた。
「あら澪ちゃん、いらっしゃい」
何度も通っているうちに、
お母さんともすっかり顔馴染みになっていた。
「こんにちは。すっかりクリスマスですね」
店内は並んだポインセチアで真っ赤だった。
せっかくなので、一番小さい鉢植えを買うことにした。
「いつもありがとうね」
「いえ、こちらこそいつもよくしていただいてありがとうございます」
袋に入った鉢植えを受け取ると、
これで用事が終わってしまった。
木村さんに特に何か用があるわけではないので
声をかけるか迷ってしまったけれど
やっぱり気になるので聞いてみることにした。
「あの……最近木村さん見かけないんですけど、何かあったんですか?」
思い切って聞いてみると
お母さんは「ああ、達也ね」と
ちょっと心配そうな表情を見せたあと、
すぐに嬉しそうに言った。
「あの子、タイトルマッチが決まったのよ」
「あ!チャンピオンカーニバル」
「相手の選手、すごく強い人らしくてね。まぁチャンピオンなんだから強いのは当たり前なんだけど。それで最近は朝から夜遅くまでずっと練習してるのよ」
「そうなんですか」
—————木村さんの階級のチャンピオンって
確か、間柴選手……
東日本新人王の準決勝で宮田くんの足を踏んだ人。
もう二年も前のことだし
何より宮田くん本人はとっくに乗り越えて
どんどん前に進んでるんだから、
外野のあたしがとやかく言うことではないんだけど。
正直、あたしは今でもモヤモヤしてしまう。
「木村さんならこないだまでオレとスパーしてましたよ」
バイトで一緒になった宮田くんに
木村さんのタイトルマッチのことを話したら、
そんな返事が返ってきた。
「そうなの?」
「相手はあの間柴ですから。頼まれてしばらくスパーの相手してました」
宮田くんの口からサラッと相手選手の名前が出た。
—————そりゃ相手が誰なのか知らないわけないよね
「どうしたんですか?」
複雑な気持ちが顔に出ていたのか
黙り込んだあたしに宮田くんが言う。
「ううん。何でもないんだけど……あたし、相手の選手はちょっと苦手」
思わず出た本音。
「ああ」と、すぐに察した宮田くん。
—————どうしよう。変な気分にさせちゃったかな
「大丈夫ですよ、木村さんは」
あたしの心配をよそに、
宮田くんはハッキリとした口調で言った。
「本当?」
「ええ。むしろオレは面白いことになると思ってますよ」
ニヤリと笑って言うその口ぶりから
それが気休めでないことを感じた。
「そっか。宮田くんがそう言うなら大丈夫だね」
—————いつまでもグズグズ執念深いままじゃダメだよね
木村さんの応援に集中しようと
あたしは気持ちを切り替えた。
2026/09/19 UP
+++++atogaki+++++
相手選手…私はいまだに根に持ってるけどね!
まぁでもあれがなかったら話が終わってしまってただろうから
仕方ないっていうのもわかってる(つもり)笑