お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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54 日本フェザー級タイトルマッチ
十一月二十日。
幕之内くん二度目の日本タイトルマッチ。
あたしと宮田くんは
試合までちょうど一緒にバイトが入っていたので
仕事上がりでそのまま二人で後楽園ホールに向かった。
夕方の帰宅ラッシュが重なっていたせいもあってか
電車もすごく混んでいた。
ようやく目的の駅に着いたけれど
降りてからもかなりの人だった。
下車した人の目的地は皆同じなのか
改札を出ても人が途切れることはなかった。
必死に宮田くんの隣を歩く。
その時、後ろから追い抜いてきた人の肩が当たり
その勢いで身体がよろめいた。
「きゃっ」
バランスを崩したあたしの身体を
すぐに宮田くんが支えてくれたおかげで転ばずに済んだ。
「大丈夫ですか」
「うん。ありがとう」
ぶつかった時、あたしも咄嗟に宮田くんの腕を掴んでいて
離そうとしたその手を、そのまま掴まれた。
「え」
思わず見上げると前を向いたままの宮田くん。
「この人混みじゃはぐれるかもしれないし、またぶつかっても危ないから」
そう言って手を繋いだまま宮田くんは歩き出した。
大きくて、少し骨張っている、宮田くんの手。
返事の代わりにあたしはそっと握り返した。
「「「まっくのうち!まっくのうち!!」」」
「「「せ・ん・ど!せ・ん・ど!!」」」
会場に入るとまだ試合開始前だというのに
両応援団の応援合戦がものすごい熱量で繰り返されていた。
前回の幕之内くんのタイトルマッチの時もかなり盛り上がっていたけど、今回はまた違う感じの盛り上がりで、とにかく圧倒された。
「すごい盛り上がりだね」
宮田くんが一緒でよかった。
この雰囲気、一人だとちょっと気後れしてしまいそうだ。
「チャンピオンは地元でも大人気ですからね。チャンピオンにとってホールはアウェーだけど地元と変わらない熱量ですよ」
「そういえば春に大阪まで試合観に行ってたもんね。やっぱり強いの?このチャンピオン」
千堂選手がチャンピオンになった試合は
大阪府立体育館で行われた。
相手は確か、ロシアのヴォルグ選手。
判定で千堂選手が勝ったけれど
内容的にはどちらが勝ってもおかしくない試合だったと
大阪まで観に行っていた宮田くんから後で聞いた。
「強いですね。でも幕之内の破壊力も同等かそれ以上か—————」
—————負けんなよ
最後は言葉としてはっきり言ったわけじゃないけれど
間違いなく幕之内くんに向けた言葉だということはすぐに理解した。
「新チャンピオン誕生〜〜〜〜〜〜〜」
幕之内くんと千堂選手のタイトルマッチは
その声援もさることながら
二人のパンチの応酬に、興奮した観客の足踏みも加わって
轟音が響き渡る大激戦だった。
互いに譲らない展開。
7R、怒涛の攻撃を決めた幕之内くんが勝利し
新チャンピオン誕生という結果に終わった。
リング上で千堂選手が幕之内くんに声を掛け
大きな声援を受けながら胸を張ってリングを降りていったのが印象的だった。
そして幕之内くんの腰にベルトが巻かれると
再びホールに大歓声が響いた。
皆がリングに集中する中、
宮田くんが「行こう」と席を立ったので
あたしも慌てて席を立ち、宮田くんの後を追った。
—————最後まで見なくていいのかな
追いついた宮田くんの顔を、気づかれないように盗み見ると
少し口角を上げて満足げな顔をしていた。
その顔にあたしはほんの少しヤキモチを妬きつつ
でもそんな宮田くんがすごく嬉しくて
あたしは心の中で呟いた。
—————幕之内くん、おめでとう
2026/08/18 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんって普段は手を繋いだりとか絶対してくれそうにないけど
実は意外とそうでもなくて、
繋ぎたいと思いつつ、
でも理由がないとできないタイプなんじゃないかなと思うとときめきが止まりません。
十一月二十日。
幕之内くん二度目の日本タイトルマッチ。
あたしと宮田くんは
試合までちょうど一緒にバイトが入っていたので
仕事上がりでそのまま二人で後楽園ホールに向かった。
夕方の帰宅ラッシュが重なっていたせいもあってか
電車もすごく混んでいた。
ようやく目的の駅に着いたけれど
降りてからもかなりの人だった。
下車した人の目的地は皆同じなのか
改札を出ても人が途切れることはなかった。
必死に宮田くんの隣を歩く。
その時、後ろから追い抜いてきた人の肩が当たり
その勢いで身体がよろめいた。
「きゃっ」
バランスを崩したあたしの身体を
すぐに宮田くんが支えてくれたおかげで転ばずに済んだ。
「大丈夫ですか」
「うん。ありがとう」
ぶつかった時、あたしも咄嗟に宮田くんの腕を掴んでいて
離そうとしたその手を、そのまま掴まれた。
「え」
思わず見上げると前を向いたままの宮田くん。
「この人混みじゃはぐれるかもしれないし、またぶつかっても危ないから」
そう言って手を繋いだまま宮田くんは歩き出した。
大きくて、少し骨張っている、宮田くんの手。
返事の代わりにあたしはそっと握り返した。
「「「まっくのうち!まっくのうち!!」」」
「「「せ・ん・ど!せ・ん・ど!!」」」
会場に入るとまだ試合開始前だというのに
両応援団の応援合戦がものすごい熱量で繰り返されていた。
前回の幕之内くんのタイトルマッチの時もかなり盛り上がっていたけど、今回はまた違う感じの盛り上がりで、とにかく圧倒された。
「すごい盛り上がりだね」
宮田くんが一緒でよかった。
この雰囲気、一人だとちょっと気後れしてしまいそうだ。
「チャンピオンは地元でも大人気ですからね。チャンピオンにとってホールはアウェーだけど地元と変わらない熱量ですよ」
「そういえば春に大阪まで試合観に行ってたもんね。やっぱり強いの?このチャンピオン」
千堂選手がチャンピオンになった試合は
大阪府立体育館で行われた。
相手は確か、ロシアのヴォルグ選手。
判定で千堂選手が勝ったけれど
内容的にはどちらが勝ってもおかしくない試合だったと
大阪まで観に行っていた宮田くんから後で聞いた。
「強いですね。でも幕之内の破壊力も同等かそれ以上か—————」
—————負けんなよ
最後は言葉としてはっきり言ったわけじゃないけれど
間違いなく幕之内くんに向けた言葉だということはすぐに理解した。
「新チャンピオン誕生〜〜〜〜〜〜〜」
幕之内くんと千堂選手のタイトルマッチは
その声援もさることながら
二人のパンチの応酬に、興奮した観客の足踏みも加わって
轟音が響き渡る大激戦だった。
互いに譲らない展開。
7R、怒涛の攻撃を決めた幕之内くんが勝利し
新チャンピオン誕生という結果に終わった。
リング上で千堂選手が幕之内くんに声を掛け
大きな声援を受けながら胸を張ってリングを降りていったのが印象的だった。
そして幕之内くんの腰にベルトが巻かれると
再びホールに大歓声が響いた。
皆がリングに集中する中、
宮田くんが「行こう」と席を立ったので
あたしも慌てて席を立ち、宮田くんの後を追った。
—————最後まで見なくていいのかな
追いついた宮田くんの顔を、気づかれないように盗み見ると
少し口角を上げて満足げな顔をしていた。
その顔にあたしはほんの少しヤキモチを妬きつつ
でもそんな宮田くんがすごく嬉しくて
あたしは心の中で呟いた。
—————幕之内くん、おめでとう
2026/08/18 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんって普段は手を繋いだりとか絶対してくれそうにないけど
実は意外とそうでもなくて、
繋ぎたいと思いつつ、
でも理由がないとできないタイプなんじゃないかなと思うとときめきが止まりません。