お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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50 思いがけない提案
宮田くんの誕生日から三日後
あたしは鴨川ジムの鷹村さんの世界前哨戦を観戦するため
後楽園ホールに来ていた。
本当は木村さんから宮田くんも一緒にと誘われたんだけど
バイトの人手が足りないと店長に泣きつかれ
結局、宮田くんはバイトを優先することになり
今回はあたし一人での観戦になった。
前座の木村さん、青木さんも順当に勝ち
次はいよいよメインイベントの鷹村さんの試合。
日本ボクシング界で、世界タイトルに最も近いと言われているのはフェザー級の伊達選手だが、その次に世界を奪ると期待されているのが鷹村さんだ。
普段の理不尽極まりない鷹村さんのイメージが強いあたしは、ホールを包む期待感と熱狂にただただびっくりしていた。
—————やっぱり鷹村さんってすごいんだな
宮田くんが海外に行ってる間
何度か鷹村さんの試合は観たことがあるけれど
試合を重ねるごとに無敵度を増してくる。
今回はいよいよ世界を見据えた前哨戦。
突然ホールの明かりが消え
騒がしかった声が一瞬で静まり返る。
ホール内の緊張が最高潮になった瞬間
スポットライトの先に現れたその姿に
ほぼすべての観客が度肝を抜かれた。
「でね、スポットライトが点いたと思ったら、そこにいたのがクマの毛皮着た鷹村さんだったの!」
今日は久しぶりに宮田くんとバイトが一緒で
忙しさがひと段落したところで
先日の鷹村さんの世界前哨戦の話をした。
「もうホールの中大騒ぎで大変だったんだよ」
試合の少し前に鷹村さんがクマを倒したという記事が出ていたのは知ってたけれど、まさか試合会場でクマの毛皮が出てくると思わなかった。
あたしは思い出してまた笑いが込み上げてきた。
「…ったく、あの人は……」
呆れた様子の宮田くん。
「宮田くんも観に来れたらよかったのにねー」
「別にいいですよ。あの人がバカやるのは今さら始まった訳じゃないし」
「まぁ確かに……あ!」
あたしは話しながら見ていた手元の資料に目を留めた。
「どうしたんですか?」
「ごめん。話の途中で。ちょっとこれが目に入って」
あたしが見せたのは
美術館の次の展示予定が載った資料だった。
美術館の入場券もコンビニで取り扱っているので
事前に詳細が本社から送られてくる。
「あたしの好きな絵が日本に来るみたい」
わぁ、これ絶対観に行きたい。
最後は独り言のように呟きながら
お客さんがいないのを確認して
ちょっとごめん、とチケット発券機に向かった。
美術館を選択し、前売り券の枚数を『1』にする。
「一人で行くんですか?」
いつの間にかそばに来ていた宮田くんが言った。
「うん」
「じゃ、それ二枚にしてください」
思いがけない言葉にびっくりして
操作の手が止まる。
「え?」
「オレも行くから」
「はいぃ?」
「言っときますけど、オレ絵とか全然わかんないですから、ちゃんと解説してくださいね」
びっくりしすぎて
思わず宮田くんの顔をまじまじと見る。
それに気づいてちょっと居心地の悪そうな宮田くん。
「まぁ誕生日のお礼というか」
「そんなのいいよ!こちらこそいつも試合のチケットもらってるし」
「だからそれはそれだから。とにかく付き合いますよ、美術館」
えぇ、でも……と戸惑うあたし。
「澪さんいつもオレの試合観に来てんだから、オレが澪さんの好きだっていう絵を見に行ってもいいだろ」
何だかよくわからない理由だ。
それに、なんか、宮田くんらしくない。
あまりに頑なな態度に
ちょっと、疑いの目を向けてみる。
「……何ですか、その目は」
「イヤ、何を企んでいるのかと……」
「わかったよ!じゃあいいよ、別に」
「わーごめん!嘘ですごめんなさい!一緒に行ってください!!」
「じゃそういうことで」
そう言って宮田くんは素早く枚数を『2』に変更し
プリントアウトされたコードの書かれたレシートを持って行ってしまった。
「あっ、ちょっと宮田くん!!」
そのまま会計して発券する勢いの宮田くんを慌ててレジまで追いかける。
出す出さないの攻防をしているとお客さんが来て
あたしが対応することになり
結局、チケットの発券は宮田くんに任せることになってしまった。
2026/03/04 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんってとにかく何でも一人でやっちゃうイメージだから、誰かとお出かけするとか想像できなくて
ましてや自分からお誘いすることなんあるんかな。
宮田くんの誕生日から三日後
あたしは鴨川ジムの鷹村さんの世界前哨戦を観戦するため
後楽園ホールに来ていた。
本当は木村さんから宮田くんも一緒にと誘われたんだけど
バイトの人手が足りないと店長に泣きつかれ
結局、宮田くんはバイトを優先することになり
今回はあたし一人での観戦になった。
前座の木村さん、青木さんも順当に勝ち
次はいよいよメインイベントの鷹村さんの試合。
日本ボクシング界で、世界タイトルに最も近いと言われているのはフェザー級の伊達選手だが、その次に世界を奪ると期待されているのが鷹村さんだ。
普段の理不尽極まりない鷹村さんのイメージが強いあたしは、ホールを包む期待感と熱狂にただただびっくりしていた。
—————やっぱり鷹村さんってすごいんだな
宮田くんが海外に行ってる間
何度か鷹村さんの試合は観たことがあるけれど
試合を重ねるごとに無敵度を増してくる。
今回はいよいよ世界を見据えた前哨戦。
突然ホールの明かりが消え
騒がしかった声が一瞬で静まり返る。
ホール内の緊張が最高潮になった瞬間
スポットライトの先に現れたその姿に
ほぼすべての観客が度肝を抜かれた。
「でね、スポットライトが点いたと思ったら、そこにいたのがクマの毛皮着た鷹村さんだったの!」
今日は久しぶりに宮田くんとバイトが一緒で
忙しさがひと段落したところで
先日の鷹村さんの世界前哨戦の話をした。
「もうホールの中大騒ぎで大変だったんだよ」
試合の少し前に鷹村さんがクマを倒したという記事が出ていたのは知ってたけれど、まさか試合会場でクマの毛皮が出てくると思わなかった。
あたしは思い出してまた笑いが込み上げてきた。
「…ったく、あの人は……」
呆れた様子の宮田くん。
「宮田くんも観に来れたらよかったのにねー」
「別にいいですよ。あの人がバカやるのは今さら始まった訳じゃないし」
「まぁ確かに……あ!」
あたしは話しながら見ていた手元の資料に目を留めた。
「どうしたんですか?」
「ごめん。話の途中で。ちょっとこれが目に入って」
あたしが見せたのは
美術館の次の展示予定が載った資料だった。
美術館の入場券もコンビニで取り扱っているので
事前に詳細が本社から送られてくる。
「あたしの好きな絵が日本に来るみたい」
わぁ、これ絶対観に行きたい。
最後は独り言のように呟きながら
お客さんがいないのを確認して
ちょっとごめん、とチケット発券機に向かった。
美術館を選択し、前売り券の枚数を『1』にする。
「一人で行くんですか?」
いつの間にかそばに来ていた宮田くんが言った。
「うん」
「じゃ、それ二枚にしてください」
思いがけない言葉にびっくりして
操作の手が止まる。
「え?」
「オレも行くから」
「はいぃ?」
「言っときますけど、オレ絵とか全然わかんないですから、ちゃんと解説してくださいね」
びっくりしすぎて
思わず宮田くんの顔をまじまじと見る。
それに気づいてちょっと居心地の悪そうな宮田くん。
「まぁ誕生日のお礼というか」
「そんなのいいよ!こちらこそいつも試合のチケットもらってるし」
「だからそれはそれだから。とにかく付き合いますよ、美術館」
えぇ、でも……と戸惑うあたし。
「澪さんいつもオレの試合観に来てんだから、オレが澪さんの好きだっていう絵を見に行ってもいいだろ」
何だかよくわからない理由だ。
それに、なんか、宮田くんらしくない。
あまりに頑なな態度に
ちょっと、疑いの目を向けてみる。
「……何ですか、その目は」
「イヤ、何を企んでいるのかと……」
「わかったよ!じゃあいいよ、別に」
「わーごめん!嘘ですごめんなさい!一緒に行ってください!!」
「じゃそういうことで」
そう言って宮田くんは素早く枚数を『2』に変更し
プリントアウトされたコードの書かれたレシートを持って行ってしまった。
「あっ、ちょっと宮田くん!!」
そのまま会計して発券する勢いの宮田くんを慌ててレジまで追いかける。
出す出さないの攻防をしているとお客さんが来て
あたしが対応することになり
結局、チケットの発券は宮田くんに任せることになってしまった。
2026/03/04 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんってとにかく何でも一人でやっちゃうイメージだから、誰かとお出かけするとか想像できなくて
ましてや自分からお誘いすることなんあるんかな。