お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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48 二十歳
真夏の暑さが続く八月。
お盆休みを控えた都内は人で溢れ返っていた。
学校も夏休みでバイトも休みのあたしは
今月末にある宮田くんの誕生日プレゼントを買いに来ていた。
風邪を引いた時にお世話になったお礼も兼ねて
何か贈りたい。
何より二十歳の誕生日。
あたしと宮田くんがこの先どうなるのか
全く想像もつかないし
一緒にいるかどうかもわからないけれど。
人生の節目である二十歳の誕生日。
きっと宮田くんはハタチどころか
誕生日ですら気にも留めないで
その日を過ごすんだろうけど。
そんな節目にそばにいることができる
あたしができること。
何年か経って、
宮田くんがあたしのことなんて忘れてしまっても
二十歳の誕生日を思い出した時、
ほんの少しでも幸せな気持ちになれる、
そんな思い出の残る日になってほしかった。
でも。願わくば。
これからもずっと、同じ時間を共有できたら。
そんな勝手な願いを込めて
腕時計をプレゼントしようと決めていた。
元々雑誌で見て目を付けていたもの。
オールブラックでシャープなデザインのレザーウォッチ。
実用性を考えたら
もっとカジュアルなものの方が使いやすいんだろうけど
そういうのは普段から付けているし
たまたま見かけたこれが宮田くんのイメージにピッタリで
今日お店で現物を見せてもらって即決した。
『彼氏さん、きっと喜んでくれますよ!』
対応した店員さんから笑顔とともに何度も言われた言葉。
そのたびに否定したけれど全然聞いてもらえなくて
最後は心の中で彼氏ではないんだけど、と呟きながら
綺麗に包装され、紙袋に入れられた腕時計を手に店を出た。
誕生日当日。
一週間前に確認したときは
あたしも宮田くんも同じ時間帯にシフトが入っていたので
バイトの時にこっそり渡す予定だった。
けれど前日になってジムの方で用事ができたとかで
急遽宮田くんは休むことになった。
どうしても当日に渡したかったあたしは
結局、わざわざ時間を作ってもらうことになって
夕方、あたしのバイト上がりに会うことになった。
仕事を終えてすぐにメールを送ってみる。
だけどなかなか返信がない。
忙しいのかなと思いつつ
しばらく待って電話をかけてみるが
数回の呼び出し音の後、そのまま切れてしまう。
そして何の連絡もないまま一時間が過ぎた。
途中何度かメールを入れ
電話もかけてみたが相変わらず返事はない。
宮田くんと約束をしてここまで時間に遅れたことはない。
たとえ遅れたとしても
宮田くんならきっと何らかの連絡をしてくれるはず。
—————ジムで何かあったのかな
いよいよ心配になったあたしは
迷惑かな、と思いつつ川原ジムに行ってみることにした。
場所は以前宮田くんから聞いて大体わかってる。
それでも、初めて行くからちょっとドキドキする。
—————えっと、確かこの辺だと思うんだけど…
記憶を頼りにジム付近まで来た。
確かあの角を曲がったとこのはず。
あたしは最後の角を曲がると
目的地と思しき場所に人だかりができていた。
人だかりというか
若い女の子が押しかけていた。
—————え、何。アイドルのイベント…?
その熱狂ぶりに思わず後ずさりしてしまう。
気づかれないように遠くからこっそり観察してみる。
その人だかりはやっぱり川原ジムで
関係者らしき男の人が
大きな声で人混みに何かを呼びかけていて
その中心に宮田くんを見つけた。
「宮田くん、お誕生日おめでとう!」
「これ受け取ってください!」
「私も!はい、一郎くんおめでとう」
もみくちゃにされる、とはこういうことなんだろう。
到底あたしは声を掛けるどころか近付くこともできなくて
離れたこの場所からただ静かになるのを待つしかなかった。
2026/02/03 UP
+++++atogaki+++++
創作あるある・・・と言うか
長編あるあるだと思うんですが
最強寒波がきているこの時期(2/3)に
真夏のお話を更新するという荒技(苦笑)
真夏の暑さが続く八月。
お盆休みを控えた都内は人で溢れ返っていた。
学校も夏休みでバイトも休みのあたしは
今月末にある宮田くんの誕生日プレゼントを買いに来ていた。
風邪を引いた時にお世話になったお礼も兼ねて
何か贈りたい。
何より二十歳の誕生日。
あたしと宮田くんがこの先どうなるのか
全く想像もつかないし
一緒にいるかどうかもわからないけれど。
人生の節目である二十歳の誕生日。
きっと宮田くんはハタチどころか
誕生日ですら気にも留めないで
その日を過ごすんだろうけど。
そんな節目にそばにいることができる
あたしができること。
何年か経って、
宮田くんがあたしのことなんて忘れてしまっても
二十歳の誕生日を思い出した時、
ほんの少しでも幸せな気持ちになれる、
そんな思い出の残る日になってほしかった。
でも。願わくば。
これからもずっと、同じ時間を共有できたら。
そんな勝手な願いを込めて
腕時計をプレゼントしようと決めていた。
元々雑誌で見て目を付けていたもの。
オールブラックでシャープなデザインのレザーウォッチ。
実用性を考えたら
もっとカジュアルなものの方が使いやすいんだろうけど
そういうのは普段から付けているし
たまたま見かけたこれが宮田くんのイメージにピッタリで
今日お店で現物を見せてもらって即決した。
『彼氏さん、きっと喜んでくれますよ!』
対応した店員さんから笑顔とともに何度も言われた言葉。
そのたびに否定したけれど全然聞いてもらえなくて
最後は心の中で彼氏ではないんだけど、と呟きながら
綺麗に包装され、紙袋に入れられた腕時計を手に店を出た。
誕生日当日。
一週間前に確認したときは
あたしも宮田くんも同じ時間帯にシフトが入っていたので
バイトの時にこっそり渡す予定だった。
けれど前日になってジムの方で用事ができたとかで
急遽宮田くんは休むことになった。
どうしても当日に渡したかったあたしは
結局、わざわざ時間を作ってもらうことになって
夕方、あたしのバイト上がりに会うことになった。
仕事を終えてすぐにメールを送ってみる。
だけどなかなか返信がない。
忙しいのかなと思いつつ
しばらく待って電話をかけてみるが
数回の呼び出し音の後、そのまま切れてしまう。
そして何の連絡もないまま一時間が過ぎた。
途中何度かメールを入れ
電話もかけてみたが相変わらず返事はない。
宮田くんと約束をしてここまで時間に遅れたことはない。
たとえ遅れたとしても
宮田くんならきっと何らかの連絡をしてくれるはず。
—————ジムで何かあったのかな
いよいよ心配になったあたしは
迷惑かな、と思いつつ川原ジムに行ってみることにした。
場所は以前宮田くんから聞いて大体わかってる。
それでも、初めて行くからちょっとドキドキする。
—————えっと、確かこの辺だと思うんだけど…
記憶を頼りにジム付近まで来た。
確かあの角を曲がったとこのはず。
あたしは最後の角を曲がると
目的地と思しき場所に人だかりができていた。
人だかりというか
若い女の子が押しかけていた。
—————え、何。アイドルのイベント…?
その熱狂ぶりに思わず後ずさりしてしまう。
気づかれないように遠くからこっそり観察してみる。
その人だかりはやっぱり川原ジムで
関係者らしき男の人が
大きな声で人混みに何かを呼びかけていて
その中心に宮田くんを見つけた。
「宮田くん、お誕生日おめでとう!」
「これ受け取ってください!」
「私も!はい、一郎くんおめでとう」
もみくちゃにされる、とはこういうことなんだろう。
到底あたしは声を掛けるどころか近付くこともできなくて
離れたこの場所からただ静かになるのを待つしかなかった。
2026/02/03 UP
+++++atogaki+++++
創作あるある・・・と言うか
長編あるあるだと思うんですが
最強寒波がきているこの時期(2/3)に
真夏のお話を更新するという荒技(苦笑)