お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
46 看病
どれくらいの時間が経ったのだろう。
気が付くと目の前はいつもの見慣れた天井で
窓の外はうっすらと朝焼けが差していた。
徐々にはっきりしていく意識の中で
宮田くんがいたような錯覚がやけに残ってる
―――――訳ない・・・か
見渡した部屋はいつもの自分の部屋で
誰もいない。
―――――なんか喉渇いたなぁ
ゆっくり身体を起こすと
額からタオルが落ちた。
―――――あれ、タオルなんか出してたっけ
夕べ帰ってきてからの記憶がない。
とりあえず顔でも洗おうかと
フラフラと立ち上がりユニットバスのドアを開けると
何かと目が合った。
―――――え?
鏡の前で顔を拭いている宮田くん。
前髪が少し濡れて滴っているから顔でも洗ったんだろう。
ていうか。
「キャアアアアアアアアアアアア!!!!」
驚きのあまりその後しばらくプチパニックで。
混乱したあたしの頭の中を整理するのに
宮田くんはかなりの労力を要したみたいだった。
バイトに行ったらいるはずのあたしが不在で
体調崩して早退したと聞いて様子を見に来た事。
インターホンを押しても応対がなく
ドアノブを回すと鍵がかかってなかったので
そのまま入ってしまった事。
鍵を開けたまま帰るわけにもいかず
結局一晩中そばにいてくれた事。
「・・・・それにしてもいくら熱があるからって鍵もかけないで、本当に何かあってからじゃ遅いんですよ。気付いたのがオレだったから良かったものの、若い女の一人暮らしなんて一番狙われてるってのに」
珍しく饒舌な宮田くん。
その口ぶりはいつになく語尾がきつい。
「返す言葉もございません」
さすがに今回は宮田くんの言う通りだ。
しんど過ぎて意識朦朧としていたとはいえ
このご時世、鍵もかけずに過ごすなんて危険極まりない。
素直に反省するあたしに「まぁでも」と宮田くん。
「何もなくて本当によかった。それより具合は・・・あんだけ大声出るんだったら大丈夫か」
「うん。なんかすごいスッキリしてる」
「やっぱりあの日雨に濡れたのが悪かったんじゃないですか」
「うん…まぁそれもあると思うんだけど最近ちょっと忙しくてね」
そう言ってあたしはテーブルに目をやる。
開いたままのノートパソコンに
会社四季報やいろんな企業から送られてきた新卒採用要項が乱雑に置かれている。
「就活ですか」
あたしの視線の先を見て宮田くんが言った。
「うん。もう3年だからね。業種絞ったりインターン申し込んだりなんかやる事多くて」
色々な‘やらねば’な事を思い出し
ちょっとうんざりする。
「話変わりますけど、お腹空きませんか?」
言われて
昨日からほとんど何も食べてなかったことを思い出す。
「お腹空いたかも・・・」
「ちょっとキッチン借ります」
程なくして宮田くんは
お粥を作って持ってきてくれた。
「わぁ!ありがとう!!ちょっと待ってね、今スペース空けるから」
あたしは起き上がって
パソコンを閉じてテーブルの下に置き
書類をガッとひとまとめにして
それもテーブルの下に押し込んだ。
「・・・・・」
何か言いたげな宮田くんだったけれど
久しぶりの食事に目を輝かせてるあたしを前に
その言葉は飲み込んでどうぞ、とトレーを置いた。
「やばい。なんかめっちゃ美味しそう」
鍋から湯気が立ち
お米の優しいにおいがする。
あたしは茶碗によそってから
スプーンで一口すくった。
「熱いから気を付けてくださいね」
宮田くんの忠告もそこそこに
パクリと口に運ぶ。
「美味しい!」
なんのためらいもなくパクパクと食べ始めたあたしを
宮田くんは驚いた顔で見ていた。
「熱くないんですか?」
「熱いけど、あたし結構大丈夫なんだ」
「大丈夫ならいいですけど」
「はっ!もしかして熱くて食べられな―いって言ってたら宮田くんにフーフーしてもらえた?!」
「は?そんな事するわけないだろ」
「なーんだ、残念」
あたしが楽しそうに笑うと
宮田くんは苦虫潰したみたいな顔をしたけど
でも、ほんの少しだけど、
ちょっと楽しそうにも見えた。
「あ・・・ごめん。一人で全部食べちゃうかも」
最後の一杯を茶碗によそったとろこで
向かいに座って
あたしが食べるのを見ている宮田くんに言った。
「オレは別にいいですよ。澪さんのために作ったんだし」
「ありがとう」
遠慮なくあたしがお粥を平らげると
そのまま休むように促され
宮田くんは後片付けまで終わらせてくれた。
「色々本当にありがとう。でも大丈夫かな。宮田くんにうつしたりしてないかな」
あたしの言葉に
宮田くんが何故か赤面して視線を逸らした。
「だ、大丈夫ですよ。それに次の試合まだ決まってないし、万が一うつってたとしても問題ないですよ」
そう言いながら帰り支度を始めた宮田くん。
「じゃあオレそろそろ帰ります。冷蔵庫にスポーツドリンクとゼリーと、あとプリンも入ってるから」
「ありがとう」
本当はまだいて欲しかったけれど
このまま引き止めて
本当に宮田くんにうつったりしたら大変だから
あたしは大人しく見送ることにした。
「ちゃんと戸締りして今日はゆっくり休んくださいね」
「うん。本当にありがとね。宮田くんも気を付けて」
「オレは大丈夫ですから。何かあったら連絡ください」
それじゃあ、と部屋を出た宮田くんの後姿を
あたしは見えなくなるまで見送った。
2025/12/12 UP
+++++atogaki+++++
前回更新時、次は早めに更新する気満々でしたが
結局2週間以上空いてしまった(焦)
どれくらいの時間が経ったのだろう。
気が付くと目の前はいつもの見慣れた天井で
窓の外はうっすらと朝焼けが差していた。
徐々にはっきりしていく意識の中で
宮田くんがいたような錯覚がやけに残ってる
―――――訳ない・・・か
見渡した部屋はいつもの自分の部屋で
誰もいない。
―――――なんか喉渇いたなぁ
ゆっくり身体を起こすと
額からタオルが落ちた。
―――――あれ、タオルなんか出してたっけ
夕べ帰ってきてからの記憶がない。
とりあえず顔でも洗おうかと
フラフラと立ち上がりユニットバスのドアを開けると
何かと目が合った。
―――――え?
鏡の前で顔を拭いている宮田くん。
前髪が少し濡れて滴っているから顔でも洗ったんだろう。
ていうか。
「キャアアアアアアアアアアアア!!!!」
驚きのあまりその後しばらくプチパニックで。
混乱したあたしの頭の中を整理するのに
宮田くんはかなりの労力を要したみたいだった。
バイトに行ったらいるはずのあたしが不在で
体調崩して早退したと聞いて様子を見に来た事。
インターホンを押しても応対がなく
ドアノブを回すと鍵がかかってなかったので
そのまま入ってしまった事。
鍵を開けたまま帰るわけにもいかず
結局一晩中そばにいてくれた事。
「・・・・それにしてもいくら熱があるからって鍵もかけないで、本当に何かあってからじゃ遅いんですよ。気付いたのがオレだったから良かったものの、若い女の一人暮らしなんて一番狙われてるってのに」
珍しく饒舌な宮田くん。
その口ぶりはいつになく語尾がきつい。
「返す言葉もございません」
さすがに今回は宮田くんの言う通りだ。
しんど過ぎて意識朦朧としていたとはいえ
このご時世、鍵もかけずに過ごすなんて危険極まりない。
素直に反省するあたしに「まぁでも」と宮田くん。
「何もなくて本当によかった。それより具合は・・・あんだけ大声出るんだったら大丈夫か」
「うん。なんかすごいスッキリしてる」
「やっぱりあの日雨に濡れたのが悪かったんじゃないですか」
「うん…まぁそれもあると思うんだけど最近ちょっと忙しくてね」
そう言ってあたしはテーブルに目をやる。
開いたままのノートパソコンに
会社四季報やいろんな企業から送られてきた新卒採用要項が乱雑に置かれている。
「就活ですか」
あたしの視線の先を見て宮田くんが言った。
「うん。もう3年だからね。業種絞ったりインターン申し込んだりなんかやる事多くて」
色々な‘やらねば’な事を思い出し
ちょっとうんざりする。
「話変わりますけど、お腹空きませんか?」
言われて
昨日からほとんど何も食べてなかったことを思い出す。
「お腹空いたかも・・・」
「ちょっとキッチン借ります」
程なくして宮田くんは
お粥を作って持ってきてくれた。
「わぁ!ありがとう!!ちょっと待ってね、今スペース空けるから」
あたしは起き上がって
パソコンを閉じてテーブルの下に置き
書類をガッとひとまとめにして
それもテーブルの下に押し込んだ。
「・・・・・」
何か言いたげな宮田くんだったけれど
久しぶりの食事に目を輝かせてるあたしを前に
その言葉は飲み込んでどうぞ、とトレーを置いた。
「やばい。なんかめっちゃ美味しそう」
鍋から湯気が立ち
お米の優しいにおいがする。
あたしは茶碗によそってから
スプーンで一口すくった。
「熱いから気を付けてくださいね」
宮田くんの忠告もそこそこに
パクリと口に運ぶ。
「美味しい!」
なんのためらいもなくパクパクと食べ始めたあたしを
宮田くんは驚いた顔で見ていた。
「熱くないんですか?」
「熱いけど、あたし結構大丈夫なんだ」
「大丈夫ならいいですけど」
「はっ!もしかして熱くて食べられな―いって言ってたら宮田くんにフーフーしてもらえた?!」
「は?そんな事するわけないだろ」
「なーんだ、残念」
あたしが楽しそうに笑うと
宮田くんは苦虫潰したみたいな顔をしたけど
でも、ほんの少しだけど、
ちょっと楽しそうにも見えた。
「あ・・・ごめん。一人で全部食べちゃうかも」
最後の一杯を茶碗によそったとろこで
向かいに座って
あたしが食べるのを見ている宮田くんに言った。
「オレは別にいいですよ。澪さんのために作ったんだし」
「ありがとう」
遠慮なくあたしがお粥を平らげると
そのまま休むように促され
宮田くんは後片付けまで終わらせてくれた。
「色々本当にありがとう。でも大丈夫かな。宮田くんにうつしたりしてないかな」
あたしの言葉に
宮田くんが何故か赤面して視線を逸らした。
「だ、大丈夫ですよ。それに次の試合まだ決まってないし、万が一うつってたとしても問題ないですよ」
そう言いながら帰り支度を始めた宮田くん。
「じゃあオレそろそろ帰ります。冷蔵庫にスポーツドリンクとゼリーと、あとプリンも入ってるから」
「ありがとう」
本当はまだいて欲しかったけれど
このまま引き止めて
本当に宮田くんにうつったりしたら大変だから
あたしは大人しく見送ることにした。
「ちゃんと戸締りして今日はゆっくり休んくださいね」
「うん。本当にありがとね。宮田くんも気を付けて」
「オレは大丈夫ですから。何かあったら連絡ください」
それじゃあ、と部屋を出た宮田くんの後姿を
あたしは見えなくなるまで見送った。
2025/12/12 UP
+++++atogaki+++++
前回更新時、次は早めに更新する気満々でしたが
結局2週間以上空いてしまった(焦)