お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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44 写真
傘をさす宮田くんに連れられて
連れて来られたのは彼の住む部屋だった。
鍵を開けドアを開けると
宮田くんはあたしに部屋に入るよう促した。
突然の出来事にあたしはちょっと混乱して
それでも拒否できる状況でもなかったので宮田くんの言葉に従った。
部屋の入り口でで立ち竦んでいるとタオルを被せられる。
「それで頭拭いて。拭けたらあっちが洗面だからとりあえずこれに着替えて来いよ」
そう言って長袖のシャツを渡された。
あたしは言われるがまま髪を拭いて洗面に向かった。
幸いズボンはさほど濡れてはいなかったので
タオルで少し拭いてから重ね着していた服を脱いで
借りたシャツに袖を通した。
着替えながらも、蘇るのはあの日の記憶。
借りたパーカーがすごく暖かかったのを思い出す。
—————思えばあの日から宮田くんのこと気になりだしたんだよね
そんな淡い思い出に浸っているのも束の間
あたしは重大なことに気が付いた。
—————ちょっと待て。今あたし、宮田くんの部屋にいるんだよね・・・?
—————でもって、宮田くんと二人きりなんだよね・・・?!
事の状況を把握し、途端に緊張が走る。
何とか落ち着こうと深呼吸を繰り返し
ほんのり色付いた頬を両手で叩く。
—————よし、大丈夫。落ち着いて。
ドアノブに手を掛け
もう一度深呼吸してから洗面を出た。
部屋に入ると
キッチンからマグカップを手にした宮田くんと遭遇した。
高鳴る心臓を抑える。
「あ、ありがとね!えっと、タオル・・・」
何となく目が合わせられない。
「やっぱ顔赤いですよ。大丈夫ですか?熱あるんじゃ・・・」
「だっ、大丈夫!!今着替えて暖かくなったからそのせいだと思うよ!実はちょっと寒かったんだけど、今はもう大丈夫だから!」
あたしは大袈裟に言って笑うと
それならいいんですが、と
ちょっと安心したように宮田くんが言った。
「あ、タオルは適当に置いて・・・これ、温かいの淹れたからこっちで飲んでください」
あたしは洗面にタオルを置いて部屋に戻ると
机の上にマグカップが二つ置かれていた。
キッチンを背にして
マグカップの前に腰を下ろす。
「悪ィ。コーヒーしかないんだけど・・・澪さん苦手だったよな」
申し訳なさそうな宮田くんの声。
コチラこそお世話になりまくっているのに申し訳ない。
「ううん、大丈夫・・・でも、お砂糖もらってもいい?」
甘いのなら大丈夫なんだ、と言うと
スティックシュガー片手に宮田くんがキッチンから戻って来て
あたしの向かいに座った。
「何でも揃ってるんだね」
「一応。これは前に父さんが置いてったヤツだけど」
砂糖使わねぇから、と言いながら
宮田くんはブラックのままコーヒーを飲み始めた。
あたしはスティックシュガーを入れ
さてどうしようかと考える。
「どうしたんですか?」
そんなあたしにすぐに気付いた宮田くん。
「スプーン、借りていいかな?」
「スプーン?」
「お砂糖入れたから混ぜたい」
「ああ」
カップを置いてキッチンに行く宮田くん。
ごめんね、と声を掛けると別に、の返事。
「ありがとう」
手渡されたティースプーンで手早くかき混ぜ
宮田くんが腰を下ろしたくらいにカップに口を付ける。
「おいしい」
甘くなったコーヒーはあたしの身体の芯まで温める。
緊張が少し緩んだ。
半分くらいまで飲んだところで
ようやく落ち着きを取り戻したあたしは
鞄の中からカメラを取り出した。
「よかった!濡れてないみたいだから壊れてないよね」
「だから濡れて困るようなモン持ち歩く時は傘くらい持っとけって、前にも言いましたよね、オレ」
「あれ、覚えてたんだ」
「当たり前だろ。あんなトコで蹲ってて」
「その節はお世話になりました」
頭を下げえへへ、と笑うと呆れ顔の宮田くん。
「でもホントに大丈夫かな」
電源を入れファインダーを覗くと
フレーム内にはちょうどコーヒーを飲む宮田くん。
「ね、壊れてないか試しにちょっと撮ってみてもいい?」
「どうぞ・・・って、何でオレに向けてんですか?!」
驚く宮田くんに構わずシャッターを切る。
ピッ、という音とともにフラッシュが光って撮影完了。
「OK、OK」
「OKじゃねぇよ、何勝手に撮ってんだよ」
「どうぞって言ったじゃん」
「あのなぁ」
早速確認してみると
マグカップ片手にばっちりカメラ目線の宮田くん。
「ん!なかなかいい写り。欲しい?」
「いらねぇよ。それよりちゃんと消しとけよな」
「ヤダよ。ていうか、これプリントしてホールで売ったら儲かるんだろうなぁ」
「・・・・いい加減にしろよ」
「冗談だって!でもさぁ」
写った画像をじっと見る。
「宮田くんって、お父さんに似てるよね」
「え?」
「目元がそっくり」
あたしの言葉にちょっとビックリしたような宮田くん。
「どうしたの?」
「イヤ、父さん似って言われたの初めてだから」
「確かにタイプは全然違うもんね。でも意志の強そうな目はそっくりだよ」
カメラに写った宮田くん。
目は本当にお父さん譲りだけど
雰囲気とか髪質なんかはきっと…
「全体的にはお母さん似なんだろうね。綺麗なんだろうなぁ、宮田くんのお母さん」
「さぁな。もう何年も会ってねぇから知らねーよ」
「なんで?試合見に来ないの?」
「オレがガキの頃、紙切れ一枚残して出てったきりだよ」
「え・・・・」
まさかの返答にあたしは言葉を無くした。
そんなあたしの反応を気にするでもなく
宮田くんは続けた。
「父さんが試合に負けて、アゴ砕かれて再起不能になって、取り巻きがいなくなるのと一緒に出てって、それっきり」
何事でもないように言ってコーヒーを飲む宮田くん。
そんなつもりじゃなかったのに
すごいことを聞いてしまった。
「ご、ごめん」
「別に。澪さん知らなかったんだから謝らないでくださいよ。言ってなかったんだし」
「う、うん・・・」
「なんか湿っぽい話になっちまったな。澪さんが悪いんだぜ。くだらねぇ事するから」
「ア、アハハ、そだね。ゴメンゴメン」
あたしの知らない宮田くん。
まさかこんな形で聞くことになるとは
思ってもみなかった。
宮田くんは全く気にする風でもなく
あたしもそれに合わせるように
なんでもないように過ごしたけれど。
側から見れば
宮田くんはボクシングのエリートで
見た目も華やかで人気もあって
影の部分なんて見当たらないように見えるけど
本当はそうじゃなくて
小さい頃から誰に甘えるでもなく
色んなものを犠牲にして
手放さざるを得なかったりを繰り返して
一人でここまで来たのかもしれない。
宮田くんに必要とされたい
どこかそんな風に思っていたあたしの想いは
どれだけ的外れな事なのかを痛感した。
2025/11/14 UP
+++++atogaki+++++
原作でお母さんの事を読んだ時はめっちゃびっくりしたなぁ。何となく死別かなぁと思ってたから。
あと宮田くんどんだけパパ好きやねんとも思ったなぁ(笑)
連載開始からかなり経ってから宮田くんのプライベートが色々明かされてそれはとっても喜ばしい事なんだけど、知りたくない事までは今後も明かしてくれなくてもいいよと願うばかりです。
傘をさす宮田くんに連れられて
連れて来られたのは彼の住む部屋だった。
鍵を開けドアを開けると
宮田くんはあたしに部屋に入るよう促した。
突然の出来事にあたしはちょっと混乱して
それでも拒否できる状況でもなかったので宮田くんの言葉に従った。
部屋の入り口でで立ち竦んでいるとタオルを被せられる。
「それで頭拭いて。拭けたらあっちが洗面だからとりあえずこれに着替えて来いよ」
そう言って長袖のシャツを渡された。
あたしは言われるがまま髪を拭いて洗面に向かった。
幸いズボンはさほど濡れてはいなかったので
タオルで少し拭いてから重ね着していた服を脱いで
借りたシャツに袖を通した。
着替えながらも、蘇るのはあの日の記憶。
借りたパーカーがすごく暖かかったのを思い出す。
—————思えばあの日から宮田くんのこと気になりだしたんだよね
そんな淡い思い出に浸っているのも束の間
あたしは重大なことに気が付いた。
—————ちょっと待て。今あたし、宮田くんの部屋にいるんだよね・・・?
—————でもって、宮田くんと二人きりなんだよね・・・?!
事の状況を把握し、途端に緊張が走る。
何とか落ち着こうと深呼吸を繰り返し
ほんのり色付いた頬を両手で叩く。
—————よし、大丈夫。落ち着いて。
ドアノブに手を掛け
もう一度深呼吸してから洗面を出た。
部屋に入ると
キッチンからマグカップを手にした宮田くんと遭遇した。
高鳴る心臓を抑える。
「あ、ありがとね!えっと、タオル・・・」
何となく目が合わせられない。
「やっぱ顔赤いですよ。大丈夫ですか?熱あるんじゃ・・・」
「だっ、大丈夫!!今着替えて暖かくなったからそのせいだと思うよ!実はちょっと寒かったんだけど、今はもう大丈夫だから!」
あたしは大袈裟に言って笑うと
それならいいんですが、と
ちょっと安心したように宮田くんが言った。
「あ、タオルは適当に置いて・・・これ、温かいの淹れたからこっちで飲んでください」
あたしは洗面にタオルを置いて部屋に戻ると
机の上にマグカップが二つ置かれていた。
キッチンを背にして
マグカップの前に腰を下ろす。
「悪ィ。コーヒーしかないんだけど・・・澪さん苦手だったよな」
申し訳なさそうな宮田くんの声。
コチラこそお世話になりまくっているのに申し訳ない。
「ううん、大丈夫・・・でも、お砂糖もらってもいい?」
甘いのなら大丈夫なんだ、と言うと
スティックシュガー片手に宮田くんがキッチンから戻って来て
あたしの向かいに座った。
「何でも揃ってるんだね」
「一応。これは前に父さんが置いてったヤツだけど」
砂糖使わねぇから、と言いながら
宮田くんはブラックのままコーヒーを飲み始めた。
あたしはスティックシュガーを入れ
さてどうしようかと考える。
「どうしたんですか?」
そんなあたしにすぐに気付いた宮田くん。
「スプーン、借りていいかな?」
「スプーン?」
「お砂糖入れたから混ぜたい」
「ああ」
カップを置いてキッチンに行く宮田くん。
ごめんね、と声を掛けると別に、の返事。
「ありがとう」
手渡されたティースプーンで手早くかき混ぜ
宮田くんが腰を下ろしたくらいにカップに口を付ける。
「おいしい」
甘くなったコーヒーはあたしの身体の芯まで温める。
緊張が少し緩んだ。
半分くらいまで飲んだところで
ようやく落ち着きを取り戻したあたしは
鞄の中からカメラを取り出した。
「よかった!濡れてないみたいだから壊れてないよね」
「だから濡れて困るようなモン持ち歩く時は傘くらい持っとけって、前にも言いましたよね、オレ」
「あれ、覚えてたんだ」
「当たり前だろ。あんなトコで蹲ってて」
「その節はお世話になりました」
頭を下げえへへ、と笑うと呆れ顔の宮田くん。
「でもホントに大丈夫かな」
電源を入れファインダーを覗くと
フレーム内にはちょうどコーヒーを飲む宮田くん。
「ね、壊れてないか試しにちょっと撮ってみてもいい?」
「どうぞ・・・って、何でオレに向けてんですか?!」
驚く宮田くんに構わずシャッターを切る。
ピッ、という音とともにフラッシュが光って撮影完了。
「OK、OK」
「OKじゃねぇよ、何勝手に撮ってんだよ」
「どうぞって言ったじゃん」
「あのなぁ」
早速確認してみると
マグカップ片手にばっちりカメラ目線の宮田くん。
「ん!なかなかいい写り。欲しい?」
「いらねぇよ。それよりちゃんと消しとけよな」
「ヤダよ。ていうか、これプリントしてホールで売ったら儲かるんだろうなぁ」
「・・・・いい加減にしろよ」
「冗談だって!でもさぁ」
写った画像をじっと見る。
「宮田くんって、お父さんに似てるよね」
「え?」
「目元がそっくり」
あたしの言葉にちょっとビックリしたような宮田くん。
「どうしたの?」
「イヤ、父さん似って言われたの初めてだから」
「確かにタイプは全然違うもんね。でも意志の強そうな目はそっくりだよ」
カメラに写った宮田くん。
目は本当にお父さん譲りだけど
雰囲気とか髪質なんかはきっと…
「全体的にはお母さん似なんだろうね。綺麗なんだろうなぁ、宮田くんのお母さん」
「さぁな。もう何年も会ってねぇから知らねーよ」
「なんで?試合見に来ないの?」
「オレがガキの頃、紙切れ一枚残して出てったきりだよ」
「え・・・・」
まさかの返答にあたしは言葉を無くした。
そんなあたしの反応を気にするでもなく
宮田くんは続けた。
「父さんが試合に負けて、アゴ砕かれて再起不能になって、取り巻きがいなくなるのと一緒に出てって、それっきり」
何事でもないように言ってコーヒーを飲む宮田くん。
そんなつもりじゃなかったのに
すごいことを聞いてしまった。
「ご、ごめん」
「別に。澪さん知らなかったんだから謝らないでくださいよ。言ってなかったんだし」
「う、うん・・・」
「なんか湿っぽい話になっちまったな。澪さんが悪いんだぜ。くだらねぇ事するから」
「ア、アハハ、そだね。ゴメンゴメン」
あたしの知らない宮田くん。
まさかこんな形で聞くことになるとは
思ってもみなかった。
宮田くんは全く気にする風でもなく
あたしもそれに合わせるように
なんでもないように過ごしたけれど。
側から見れば
宮田くんはボクシングのエリートで
見た目も華やかで人気もあって
影の部分なんて見当たらないように見えるけど
本当はそうじゃなくて
小さい頃から誰に甘えるでもなく
色んなものを犠牲にして
手放さざるを得なかったりを繰り返して
一人でここまで来たのかもしれない。
宮田くんに必要とされたい
どこかそんな風に思っていたあたしの想いは
どれだけ的外れな事なのかを痛感した。
2025/11/14 UP
+++++atogaki+++++
原作でお母さんの事を読んだ時はめっちゃびっくりしたなぁ。何となく死別かなぁと思ってたから。
あと宮田くんどんだけパパ好きやねんとも思ったなぁ(笑)
連載開始からかなり経ってから宮田くんのプライベートが色々明かされてそれはとっても喜ばしい事なんだけど、知りたくない事までは今後も明かしてくれなくてもいいよと願うばかりです。