お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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43 通り雨
宮田くんの国内復帰戦から2ヶ月が過ぎ
ようやく落ち着いた日常が戻ってきた。
幕之内くんの再起戦から数日後の
明日にでも梅雨明け宣言が出されるかという7月の中旬に差し掛かる日の午後。
あたしはバイト代を貯めて買ったカメラを片手に
写真を撮りに街に繰り出していた。
高校時代から興味があったカメラ。
学校がアルバイト禁止でお金もなかったので
当時は買えなかったけれど
自分で稼げるようになったらいつか買おうと決めていた。
大学に入ってアルバイトを始めて宮田くんと知り合って
いろんな事があって後回しになっていたけれど
最近になってようやく気持ちの一区切りみたいなものができたので思い切って買ってみた。
目についたものをとりあえず撮ってみる。
そのまま撮ったり角度を変えて光を取り入れてみたり。
絵を描くのとはまた違った楽しさがあって
あたしは夢中でシャッターを切った。
ファインダー越しに雲が出てきたなと感じた時だった。
ポツポツと降り出した雨は瞬く間に本降りになり
あたしは慌ててどこかの店の軒下に避難した。
すぐにカメラは鞄にしまい
さっきまでの晴れ間が嘘みたいに
どんよりとした雨雲が覆った空を見上げた。
——————確か、前もこんなことあったな
梅雨入りしてずっと雨が続いた中
梅雨の晴れ間に喜び勇んで傘も持たずに緑地公園に行って
そこで見事に雨に降られた。
画材を守りながらずぶ濡れになってるあたしを見つけて
宮田くんが助けてくれた。
——————こんなとこ見られたら
また呆れられるんだろうな
宮田くんの仏頂面を思い出して
思わず苦笑いしてしまった。
「何やってんですか」
今しがた考えていた、
ある意味今はあまり聞きたくない声が聞こえた。
あたしは恐る恐る声のした方を見ると
思った通りの人が立っていた。
「宮田くん」
「ずぶ濡れじゃないですか・・・また傘も持たずに出歩いてたんですか」
雨が降り出した時
カメラを優先しているうちに
実のところ結構濡れてしまっていた。
呆れ顔の宮田くんに「えへへ」と笑って誤魔化す。
「えへへ、じゃないですよ」
はぁ、と隠す気もない溜息を吐くと
手にした傘をあたしに差し出した。
「え?」
「これ持って早く帰って着替えた方がいいですよ」
その言葉に、過去の記憶が蘇る。
思わず、両手で胸元を隠した。
そんなあたしの行動を見て
宮田くんはあっという顔になった。
「いやっ・・・えっと、そういう意味じゃなくて・・・」
ちょっと顔を赤くして
慌てて視線を逸らし弁解する宮田くん。
あたしも恥ずかしくて思わず顔を背けてしまった。
緑地公園で助けてもらった時
あたしは綿シャツ一枚だったので
雨に濡れて下着が透けてしまった。
それに気づいた宮田くんは
その時着ていたパーカーを貸してくれた。
幸い今日は透けるような服ではなくてそれは免れたけれど
あまりにもデジャブな状況に
あたしも宮田くんもヘンな事を思い出してしまった。
「わ、わかってるよ!だって、今日はそんな恰好じゃないもん」
とはいえ自分の取った行動が
それを思い出させるキッカケになったのは確かなので
あたしはどうにか話題転換のキッカケを作ろうと思った。
「とにかく大丈夫だから。それにあたしが傘持ってったら宮田くんが濡れちゃうじゃない」
「オレの家はここから近いから大丈夫ですよ」
「そんなワケにはいかないよ!宮田くんが風邪引いたら大変じゃない」
「うるせぇなぁ。とにかくこれ持って早く帰れよ」
そう言って、強引に傘を押し付けてきた。
だけどそれを頑として拒否する。
「イヤだ!」
「〜〜〜〜っとに頑固だなぁアンタ。風邪引いても知らねぇぞ」
「身体の丈夫さだけは取り柄なんですぅ・・・くしゅん!」
「ホラ見ろ」
強がってみたものの
濡れた洋服が体温を奪っていく感覚はあって
実のところちょっと寒いなぁと思っていたのは事実だったけれど
それを悟られるのも嫌であたしは無言のまま宮田くんから視線を逸らした。
「・・・・・わかった。もういい」
頭上から聞こえてきた声。
強情さにいい加減呆れられたかと思った刹那。
「ちょっと来い」
返事をする間もなくあたしは強引に右腕を掴まれて
宮田くんの隣に引き寄せられた。
さっきまで差し出してくれていた傘にあたしと宮田くん。
片手に傘を持ち
空いた方の手はあたしを離さないまま
宮田くんは無言で歩き始めた。
「ちょっと、どこ行くのよ!」
訳が分からずあたしは必死に問いかけてみたけれど
どれだけ声を掛けても
黙々と歩き続ける宮田くんの態度に根負けして
大人しく付いて行く事にした。
2025/10/08 UP
+++++atogaki+++++
この辺りから書き置きナシのプロットのみで
創作再開し始めてから書いた分になります。
なんか書きたい!って気持ちだけで書き始めたから
とにかく楽しかったなぁ。
宮田くんの国内復帰戦から2ヶ月が過ぎ
ようやく落ち着いた日常が戻ってきた。
幕之内くんの再起戦から数日後の
明日にでも梅雨明け宣言が出されるかという7月の中旬に差し掛かる日の午後。
あたしはバイト代を貯めて買ったカメラを片手に
写真を撮りに街に繰り出していた。
高校時代から興味があったカメラ。
学校がアルバイト禁止でお金もなかったので
当時は買えなかったけれど
自分で稼げるようになったらいつか買おうと決めていた。
大学に入ってアルバイトを始めて宮田くんと知り合って
いろんな事があって後回しになっていたけれど
最近になってようやく気持ちの一区切りみたいなものができたので思い切って買ってみた。
目についたものをとりあえず撮ってみる。
そのまま撮ったり角度を変えて光を取り入れてみたり。
絵を描くのとはまた違った楽しさがあって
あたしは夢中でシャッターを切った。
ファインダー越しに雲が出てきたなと感じた時だった。
ポツポツと降り出した雨は瞬く間に本降りになり
あたしは慌ててどこかの店の軒下に避難した。
すぐにカメラは鞄にしまい
さっきまでの晴れ間が嘘みたいに
どんよりとした雨雲が覆った空を見上げた。
——————確か、前もこんなことあったな
梅雨入りしてずっと雨が続いた中
梅雨の晴れ間に喜び勇んで傘も持たずに緑地公園に行って
そこで見事に雨に降られた。
画材を守りながらずぶ濡れになってるあたしを見つけて
宮田くんが助けてくれた。
——————こんなとこ見られたら
また呆れられるんだろうな
宮田くんの仏頂面を思い出して
思わず苦笑いしてしまった。
「何やってんですか」
今しがた考えていた、
ある意味今はあまり聞きたくない声が聞こえた。
あたしは恐る恐る声のした方を見ると
思った通りの人が立っていた。
「宮田くん」
「ずぶ濡れじゃないですか・・・また傘も持たずに出歩いてたんですか」
雨が降り出した時
カメラを優先しているうちに
実のところ結構濡れてしまっていた。
呆れ顔の宮田くんに「えへへ」と笑って誤魔化す。
「えへへ、じゃないですよ」
はぁ、と隠す気もない溜息を吐くと
手にした傘をあたしに差し出した。
「え?」
「これ持って早く帰って着替えた方がいいですよ」
その言葉に、過去の記憶が蘇る。
思わず、両手で胸元を隠した。
そんなあたしの行動を見て
宮田くんはあっという顔になった。
「いやっ・・・えっと、そういう意味じゃなくて・・・」
ちょっと顔を赤くして
慌てて視線を逸らし弁解する宮田くん。
あたしも恥ずかしくて思わず顔を背けてしまった。
緑地公園で助けてもらった時
あたしは綿シャツ一枚だったので
雨に濡れて下着が透けてしまった。
それに気づいた宮田くんは
その時着ていたパーカーを貸してくれた。
幸い今日は透けるような服ではなくてそれは免れたけれど
あまりにもデジャブな状況に
あたしも宮田くんもヘンな事を思い出してしまった。
「わ、わかってるよ!だって、今日はそんな恰好じゃないもん」
とはいえ自分の取った行動が
それを思い出させるキッカケになったのは確かなので
あたしはどうにか話題転換のキッカケを作ろうと思った。
「とにかく大丈夫だから。それにあたしが傘持ってったら宮田くんが濡れちゃうじゃない」
「オレの家はここから近いから大丈夫ですよ」
「そんなワケにはいかないよ!宮田くんが風邪引いたら大変じゃない」
「うるせぇなぁ。とにかくこれ持って早く帰れよ」
そう言って、強引に傘を押し付けてきた。
だけどそれを頑として拒否する。
「イヤだ!」
「〜〜〜〜っとに頑固だなぁアンタ。風邪引いても知らねぇぞ」
「身体の丈夫さだけは取り柄なんですぅ・・・くしゅん!」
「ホラ見ろ」
強がってみたものの
濡れた洋服が体温を奪っていく感覚はあって
実のところちょっと寒いなぁと思っていたのは事実だったけれど
それを悟られるのも嫌であたしは無言のまま宮田くんから視線を逸らした。
「・・・・・わかった。もういい」
頭上から聞こえてきた声。
強情さにいい加減呆れられたかと思った刹那。
「ちょっと来い」
返事をする間もなくあたしは強引に右腕を掴まれて
宮田くんの隣に引き寄せられた。
さっきまで差し出してくれていた傘にあたしと宮田くん。
片手に傘を持ち
空いた方の手はあたしを離さないまま
宮田くんは無言で歩き始めた。
「ちょっと、どこ行くのよ!」
訳が分からずあたしは必死に問いかけてみたけれど
どれだけ声を掛けても
黙々と歩き続ける宮田くんの態度に根負けして
大人しく付いて行く事にした。
2025/10/08 UP
+++++atogaki+++++
この辺りから書き置きナシのプロットのみで
創作再開し始めてから書いた分になります。
なんか書きたい!って気持ちだけで書き始めたから
とにかく楽しかったなぁ。