お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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39 晴れない心
宮田くんに手料理を食べてもらってから数日が過ぎた。
六月に入り連日雨の続く中
梅雨の中休みなのか
昨日までの雨が嘘みたいに今日の空は晴れ渡っていた。
だけどあたしの心が晴れることはなくて
宮田くんが部屋に来てくれた日から
ずっとどこか気持ちが燻っていた。
気付けば宮田くんのことばかり考えていて
それでもあたしが知ってる宮田くんのことなんて
たかが知れていて
本当に気になってる部分は
霧がかかったみたいにモヤモヤとしていた。
どれだけ考えても答えが見つかるわけもなく
だからといってあの時の宮田くんの様子から
本人に聞くわけにもいかず
大学からの帰り道
あたしは答えの出ないことを
延々と考えながら歩いていた。
「おねーさん、いい花あるけど、寄ってかない?」
不意に聞こえた声に立ち止まると
いつの間にか木村園芸の前まで来ていた。
店先に立つ笑顔の木村さんと目が合った。
「こんにちは。大学の帰り?」
手にしていた鉢植えを一旦置いて
店から出てきた木村さんに
あたしは慌てて「こんにちは」と頭を下げた。
「どした?元気ないじゃん」
「そんなコトないですよ!」
慌てて笑顔で取り繕ってみたけれど
木村さんにじっと見つめられて
あたしは少し困ってしまった。
「あ!せっかくだし、何か買っていこうかなぁ」
誤魔化すように、わざと大袈裟に言うと
木村さんはビックリしたみたいだけど
「どうぞどうぞ」と店内に案内してくれた。
「今のオススメって何ですか?」
「そうだなぁ……スズランなんてどう?」
木村さんが「これ」と示したスズランの花。
茎に沿って小さな白い花が鈴状に並んでいる。
「うわぁ!小さくてめちゃくちゃ可愛い!!あたし、もしかしたらスズランってちゃんと見るの初めてかも」
「スズランの花言葉は『幸福が帰る』とか『幸福の再来』でね。受け取った人に幸運が訪れるってことでフランスでは五月一日に親しい人や愛する人にスズランを贈る風習もあるんだよ」
「へぇー。さすが木村さん、よくご存知ですね」
「いつも言ってるけど、これでも花屋だからね」
ちょっと苦笑してから「これにする?」と聞かれ、
あたしは「はい」と頷いた。
「はい、どうぞ。二百円になります」
「え?」
包装されたスズランを受け取り
会計を済ませようと財布を取り出すあたしに
木村さんは明らかに安い値段を言ってきた。
「二百円になります」
聞き間違えたのかと思ったけど
驚くあたしに木村さんが改めて言った値段は
やっぱり同じだった。
「あの、それおかしいです。安すぎます」
「本当はプレゼントって言いたいトコロなんだけど、そうすると澪ちゃん遠慮するだろ」
「当たり前です。そうでなくてもいつもおまけしてもらってるのに」
「いーからいーから。澪ちゃん、少しでも元気になったみたいだし、それで十分だよ」
そして、いつもの笑顔を向けられる。
この人のこの笑顔って、無敵だと思う。
「木村さん……」
「それでも納得いかないってんなら、何を悩んでるのか話してくれると嬉しいな」
「え?」
「何かあったんだろ、宮田と」
「……!」
「ちょっとそこ座って。他に客もいないし、ちょっと休憩につきあってよ」
2025/09/05 UP
+++++atogaki+++++
この辺の話って十数年前に書いた部分だから
書いた時のことは正直あんまり覚えてなくて
読み直す度になんか自分で書いてない気持ちになります(苦笑)
宮田くんに手料理を食べてもらってから数日が過ぎた。
六月に入り連日雨の続く中
梅雨の中休みなのか
昨日までの雨が嘘みたいに今日の空は晴れ渡っていた。
だけどあたしの心が晴れることはなくて
宮田くんが部屋に来てくれた日から
ずっとどこか気持ちが燻っていた。
気付けば宮田くんのことばかり考えていて
それでもあたしが知ってる宮田くんのことなんて
たかが知れていて
本当に気になってる部分は
霧がかかったみたいにモヤモヤとしていた。
どれだけ考えても答えが見つかるわけもなく
だからといってあの時の宮田くんの様子から
本人に聞くわけにもいかず
大学からの帰り道
あたしは答えの出ないことを
延々と考えながら歩いていた。
「おねーさん、いい花あるけど、寄ってかない?」
不意に聞こえた声に立ち止まると
いつの間にか木村園芸の前まで来ていた。
店先に立つ笑顔の木村さんと目が合った。
「こんにちは。大学の帰り?」
手にしていた鉢植えを一旦置いて
店から出てきた木村さんに
あたしは慌てて「こんにちは」と頭を下げた。
「どした?元気ないじゃん」
「そんなコトないですよ!」
慌てて笑顔で取り繕ってみたけれど
木村さんにじっと見つめられて
あたしは少し困ってしまった。
「あ!せっかくだし、何か買っていこうかなぁ」
誤魔化すように、わざと大袈裟に言うと
木村さんはビックリしたみたいだけど
「どうぞどうぞ」と店内に案内してくれた。
「今のオススメって何ですか?」
「そうだなぁ……スズランなんてどう?」
木村さんが「これ」と示したスズランの花。
茎に沿って小さな白い花が鈴状に並んでいる。
「うわぁ!小さくてめちゃくちゃ可愛い!!あたし、もしかしたらスズランってちゃんと見るの初めてかも」
「スズランの花言葉は『幸福が帰る』とか『幸福の再来』でね。受け取った人に幸運が訪れるってことでフランスでは五月一日に親しい人や愛する人にスズランを贈る風習もあるんだよ」
「へぇー。さすが木村さん、よくご存知ですね」
「いつも言ってるけど、これでも花屋だからね」
ちょっと苦笑してから「これにする?」と聞かれ、
あたしは「はい」と頷いた。
「はい、どうぞ。二百円になります」
「え?」
包装されたスズランを受け取り
会計を済ませようと財布を取り出すあたしに
木村さんは明らかに安い値段を言ってきた。
「二百円になります」
聞き間違えたのかと思ったけど
驚くあたしに木村さんが改めて言った値段は
やっぱり同じだった。
「あの、それおかしいです。安すぎます」
「本当はプレゼントって言いたいトコロなんだけど、そうすると澪ちゃん遠慮するだろ」
「当たり前です。そうでなくてもいつもおまけしてもらってるのに」
「いーからいーから。澪ちゃん、少しでも元気になったみたいだし、それで十分だよ」
そして、いつもの笑顔を向けられる。
この人のこの笑顔って、無敵だと思う。
「木村さん……」
「それでも納得いかないってんなら、何を悩んでるのか話してくれると嬉しいな」
「え?」
「何かあったんだろ、宮田と」
「……!」
「ちょっとそこ座って。他に客もいないし、ちょっと休憩につきあってよ」
2025/09/05 UP
+++++atogaki+++++
この辺の話って十数年前に書いた部分だから
書いた時のことは正直あんまり覚えてなくて
読み直す度になんか自分で書いてない気持ちになります(苦笑)