お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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34 とりまく環境
宮田くんの復帰戦の翌日、あたしはいつになく目覚めがよくて軽い足取りでバイト先に向かった。
今日はこの4月から新しく入ってきた、ふたつ年下の大学生の男の子とのシフトだった。
以前接客の仕事をしていたせいか仕事覚えもよくて、今月に入ってから二人で入ることが何度かあった。
「佐倉さん、今日何か仕事早いッスよね」
入荷したおにぎりを並べ終えてレジに戻ると
そんなことを言われた。
「そうかな?」
「佐倉さんいつも手際いいんスけどね、今日はなんつーか、機嫌がいいっていうか・・・何かいいことあったんスか?」
言われて思わず昨夜のことが頭に浮かぶ。
宮田くんと、ふたりで並んで帰った帰り道。
『オレがアンタに来て欲しかったんだよ』
すぐ脳裏に蘇ってきて、あたしは慌ててそれを打ち消した。
「べ、別に何もないよっ」
それでも顔は正直で
頬がどんどん赤くなっていくのを感じた。
.
「佐倉さん、嘘吐くの下手すぎッスね。顔に出まくってますよー」
「そっ、そんなことないよ!」
「どうしたんだい?」
あたしの変化を見逃さず、茶化してくる後輩に困ってると奥から店長が出てきた。
「あ、店長。佐倉さんなんスけど、今日機嫌いいからどうしたんですかって聞いたら急に顔が赤くなったんですよー」
ニヤニヤ話す後輩にあたしがしどろもどろしてると、ああ、と思い出したように店長が言った。
「そうか、夕べは一郎くんの復帰戦だったからね。もちろん観に行ってたんでしょ、佐倉さん」
「宮田さんですか!オレまだ一回しか会ったことないんスけど、あの人プロボクサーなんですよね!すっげー、かっけーよなぁ」
問いかけられたあたし以上に宮田くんの名前に隣の後輩が反応した。
あたしがバイトを始めた頃、宮田くんがプロボクサーであることを知ってるのは店長とあたしのふたりだけだったけど、今では周知の事実だ。
「すごい圧勝だったらしいね。」
店長からの笑顔の問いかけにあたしも笑みがこぼれた。
「はい。3RKOで宮田くん、まともなパンチ一度ももらわなくて」
「それはすごいな。今回こそ祝勝会でもしたいけど、また断られるだろうなぁ」
最後の独り言みたいな店長の呟きにあたしはすかさず問いかけた。
.
「また?」
「デビューした当初は試合の度に声かけてたんだけどね。まぁその時はまわりには内緒だったからメシでもって誘ったんだけど、まだそんな立場じゃないとか言って断られたんだよ」
「そうなんですか」
「一郎くんに言っても埒があかないから親父さんに言ってもこれまたやんわり断られてね。仕事で世話になってるんだからそれで十分だって。あんまり無理に誘っても返って迷惑になるかと思ってね。それ以来、そういう誘いは遠慮してるんだよ」
店長が言い終えたところでちょうどお客さんが来たので話はそこで途切れてしまった。
宮田くんらしいといえばらしいけれど、ちょっと寂しいような気もした。
―――祝勝会、か
それからバイト中に宮田くんの話は出なかったけれど、あたしはの頭の中は祝勝会のことばかり考えていた。
2011/04/03UP
+++++atogaki++++
またもご無沙汰更新です。
更新にあたり、前の話を読み返して、宮田くんの言葉に『ギャッ!』ってなったのは本当です(苦笑)
宮田くんの復帰戦の翌日、あたしはいつになく目覚めがよくて軽い足取りでバイト先に向かった。
今日はこの4月から新しく入ってきた、ふたつ年下の大学生の男の子とのシフトだった。
以前接客の仕事をしていたせいか仕事覚えもよくて、今月に入ってから二人で入ることが何度かあった。
「佐倉さん、今日何か仕事早いッスよね」
入荷したおにぎりを並べ終えてレジに戻ると
そんなことを言われた。
「そうかな?」
「佐倉さんいつも手際いいんスけどね、今日はなんつーか、機嫌がいいっていうか・・・何かいいことあったんスか?」
言われて思わず昨夜のことが頭に浮かぶ。
宮田くんと、ふたりで並んで帰った帰り道。
『オレがアンタに来て欲しかったんだよ』
すぐ脳裏に蘇ってきて、あたしは慌ててそれを打ち消した。
「べ、別に何もないよっ」
それでも顔は正直で
頬がどんどん赤くなっていくのを感じた。
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「佐倉さん、嘘吐くの下手すぎッスね。顔に出まくってますよー」
「そっ、そんなことないよ!」
「どうしたんだい?」
あたしの変化を見逃さず、茶化してくる後輩に困ってると奥から店長が出てきた。
「あ、店長。佐倉さんなんスけど、今日機嫌いいからどうしたんですかって聞いたら急に顔が赤くなったんですよー」
ニヤニヤ話す後輩にあたしがしどろもどろしてると、ああ、と思い出したように店長が言った。
「そうか、夕べは一郎くんの復帰戦だったからね。もちろん観に行ってたんでしょ、佐倉さん」
「宮田さんですか!オレまだ一回しか会ったことないんスけど、あの人プロボクサーなんですよね!すっげー、かっけーよなぁ」
問いかけられたあたし以上に宮田くんの名前に隣の後輩が反応した。
あたしがバイトを始めた頃、宮田くんがプロボクサーであることを知ってるのは店長とあたしのふたりだけだったけど、今では周知の事実だ。
「すごい圧勝だったらしいね。」
店長からの笑顔の問いかけにあたしも笑みがこぼれた。
「はい。3RKOで宮田くん、まともなパンチ一度ももらわなくて」
「それはすごいな。今回こそ祝勝会でもしたいけど、また断られるだろうなぁ」
最後の独り言みたいな店長の呟きにあたしはすかさず問いかけた。
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「また?」
「デビューした当初は試合の度に声かけてたんだけどね。まぁその時はまわりには内緒だったからメシでもって誘ったんだけど、まだそんな立場じゃないとか言って断られたんだよ」
「そうなんですか」
「一郎くんに言っても埒があかないから親父さんに言ってもこれまたやんわり断られてね。仕事で世話になってるんだからそれで十分だって。あんまり無理に誘っても返って迷惑になるかと思ってね。それ以来、そういう誘いは遠慮してるんだよ」
店長が言い終えたところでちょうどお客さんが来たので話はそこで途切れてしまった。
宮田くんらしいといえばらしいけれど、ちょっと寂しいような気もした。
―――祝勝会、か
それからバイト中に宮田くんの話は出なかったけれど、あたしはの頭の中は祝勝会のことばかり考えていた。
2011/04/03UP
+++++atogaki++++
またもご無沙汰更新です。
更新にあたり、前の話を読み返して、宮田くんの言葉に『ギャッ!』ってなったのは本当です(苦笑)