お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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03 後輩と先輩
「調子どう?」
バイトを始めて一週間。
客足が途切れたところを見計らって
奥から出てきた店長に声を掛けられた。
「はい。なんとか頑張ってます」
押し黙ったままの教育係を横目に
笑顔で答えた。
「ま、焦らないでぼちぼち頑張ってよ、佐倉さん」
ニコッと微笑みかけられ、ところで、と店長の話は続いた。
「来月の中間テストはいつからか分かった?」
中間テスト?
大学生のあたしに中間テストはない。
「あぁ、確か18~23日までです」
当然、あたしが答えたんじゃない。
「じゃまたいつもみたいにテスト一週間前から休みでいいか?」
「はい。いつもすみません」
「それより今年は受験だろ?バイトいつまで来れそうだ?」
じゅ、受験?!
「いえ、進学は考えてませんから」
「ちょ、ちょっと、あのっ!」
話の途中で割り込むのは失礼な行為であることは分かっていたけれど
でもどうしても聞かずにはいられない。
「あの、中間テストとか受験とかって・・・もしかして高校生?」
あたしより背の高い教育係に視線を向けながら
どちらに聞くともなく質問してみたが
当然、当事者が返事をくれるわけもなく。
「あれ?言ってなかったかな。そうだよ、一郎くんは高校生だよ。
三年生だけど、誕生日きてないからまだ17だよな?」
相変わらずのポーカーフェイスが頷いた。
「え~~~~~~~~~~!?」
お客さんがいない時でよかった。
あたしは店内に響き渡る声で叫んでしまってた。
「ちょっと、あなた高校生なの?あたしよか年下じゃん」
2人になってから改めて聞いてみる。
「みたいですね」
「みたいですねって、知らなかったの?普通聞かない?教育係なんだし」
何焦ってんだあたし。
なんだか自分でもよくわかんない事聞いてるし。
「別に。落ち着きないからてっきり年下だと思ってましたよ」
仕事の手を休めることなく淡々とした答えが返ってくる。
微妙に敬語になってるあたり、
一応年上として扱われているのかとも思ったけど
言ってる内容は全くそうでなくて。
あたし、なんか凄い言われようなんだけど。
「以後気をつけますね、セ・ン・パ・イ」
その言い方がまた憎らしいのなんのって。
開いた口が塞がらないあたしを一瞥した彼の唇からフッと笑みが零れる。
「ちょっ・・・おまっ・・・・・」
「いらっしゃいませー」
タイミング悪く客が現れ思わず口を噤んだ。
そんなあたしに目もくれないで
まるで何でもなかったように慣れた様子で対応する彼を思い切り睨み付けた。
帰宅してからも怒りは収まるわけもなく。
結局あたしは年下男に散々ガキ扱いされた上に
「変なヤツ」呼ばわりされていたのだ。
あいつ、トコトン根性ねじ曲がってるわ!
近くにあったクッションを壁に向かって思い切り投げつけた。
それから2週間ほど過ぎた日のこと。
初めて宮田くん以外の人と組んでの仕事だった。
あたしより2歳年上の大学生という彼女とは初対面ではないけれど
あたしの勤務時間にはいつも宮田くんがいたので、2人で仕事するのは今日が初めてだ。
「ところでさぁ、佐倉さん」
レジがひと段落したところで声を掛けられる。
「なんですか?」
残り少なくなったレジ袋を補充しながら答える。
空いた時間も有効に使わないと
こわーい教育係に何言われるかわかんないもんね。
「佐倉さんと宮田くんってどうなのよ?」
「はい?」
今しがた考えていた仏頂面な教育係の名前に
思わず手をとめて視線を向ける。
流行の髪型に、今風のメイクで決めたその顔を
人の悪そうな笑顔に歪めながら、少し小声で彼女は続けた。
「だってさ、宮田くんって佐倉さんにはすごく話しかけるじゃない。
こないだ三人で仕事入った時ビックリしちゃった。
あんなに話す宮田くん初めて見たわ。あの子普段は必要最低限しか話さないのよ。
でも結構イイ男じゃない?私ちょっと狙ってた時期あったんだけど、これが全然脈ナシでさぁ。すぐに諦めたんだけどね。
で、佐倉さんはどうなのよ?」
「話しかけるって、ほとんど文句ばっかりじゃないですか。
どんくさいだのトロいだの。あれしろこれしろとか。
冗談じゃないですよ。何であんな無愛想男とどうにかならなくちゃいけないんですかっ」
小声で一気にまくしたてる彼女に間髪いれず言い放つ。
確かに宮田くんが店長以外の人と親しく話してるのを見た事がない。
だからと言ってあたしはといえば、話すというより一方的に文句を言われてるだけだ。
心底極まりない、というあたしの気持ちが伝わったかどうかは定かではないが
そうなんだー、とさも期待外れといった返事が返ってきて
それ以上追求される事はなかった。
その後、先に仕事上がりだった彼女と入れ替わるように店長が出てきた。
仕事の事や学校の事なんかをいくつか聞かれて
あたしは問題なくやっているといった内容の返事をすると
にこにこ笑ってそれはよかった、と安心した風だった。
面接の時から思ってたけど
この店長はいい人だ。
わからないことは何でも聞いてね、と言われていた事を不意に思い出し、
あたしは、話のついでに以前から気になっていた事を聞いてみることにした。
「あのォ・・・ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」
「何だい?」
「ここのバイトって確か高校生はダメですよね?
なのにどうして宮田くんはここで働いてるんですか?」
アイツは嫌な奴だ。
アイツが言うように、あたしも別に興味なんかないけど
でもやっぱりホラ、気になるじゃない。
募集要項には確かに18歳以上・高校生不可、と書かれていたのだ。
「あぁ、その事。一郎くんのお父さんと僕は昔からの知り合いでね。
それで頼まれたんだよ」
「そうなんですか」
「詳しい事情はまぁ・・・プライバシーの問題もあるから言えないけどね。
何、佐倉さん、一郎くんの事が気になるのかい?」
店長。お前もか。
あたしは全力で否定すると店長はさもおかしそうに笑った。
ここでもまた、理解が得られたのかどうかわからないが
これ以上言って変に誤解されるもの迷惑だったので
あたしは敢えてそれ以上この話題を続けることを避けた。
2008/11/01 PCUP
+++++atogaki+++++
話がなかなか進まなくてごめんなさい;;
でも宮田くんって知り合ってすぐ親しくなれるタイプでは絶対にないと思うので
なんかこんな感じになってしまって・・・
もうちょっとしたらきっと熱い、あつーい展開に・・・はならないまでも(ならないのか爆)
それなりに絡んできますのでお付き合いくだされば嬉しいです。
「調子どう?」
バイトを始めて一週間。
客足が途切れたところを見計らって
奥から出てきた店長に声を掛けられた。
「はい。なんとか頑張ってます」
押し黙ったままの教育係を横目に
笑顔で答えた。
「ま、焦らないでぼちぼち頑張ってよ、佐倉さん」
ニコッと微笑みかけられ、ところで、と店長の話は続いた。
「来月の中間テストはいつからか分かった?」
中間テスト?
大学生のあたしに中間テストはない。
「あぁ、確か18~23日までです」
当然、あたしが答えたんじゃない。
「じゃまたいつもみたいにテスト一週間前から休みでいいか?」
「はい。いつもすみません」
「それより今年は受験だろ?バイトいつまで来れそうだ?」
じゅ、受験?!
「いえ、進学は考えてませんから」
「ちょ、ちょっと、あのっ!」
話の途中で割り込むのは失礼な行為であることは分かっていたけれど
でもどうしても聞かずにはいられない。
「あの、中間テストとか受験とかって・・・もしかして高校生?」
あたしより背の高い教育係に視線を向けながら
どちらに聞くともなく質問してみたが
当然、当事者が返事をくれるわけもなく。
「あれ?言ってなかったかな。そうだよ、一郎くんは高校生だよ。
三年生だけど、誕生日きてないからまだ17だよな?」
相変わらずのポーカーフェイスが頷いた。
「え~~~~~~~~~~!?」
お客さんがいない時でよかった。
あたしは店内に響き渡る声で叫んでしまってた。
「ちょっと、あなた高校生なの?あたしよか年下じゃん」
2人になってから改めて聞いてみる。
「みたいですね」
「みたいですねって、知らなかったの?普通聞かない?教育係なんだし」
何焦ってんだあたし。
なんだか自分でもよくわかんない事聞いてるし。
「別に。落ち着きないからてっきり年下だと思ってましたよ」
仕事の手を休めることなく淡々とした答えが返ってくる。
微妙に敬語になってるあたり、
一応年上として扱われているのかとも思ったけど
言ってる内容は全くそうでなくて。
あたし、なんか凄い言われようなんだけど。
「以後気をつけますね、セ・ン・パ・イ」
その言い方がまた憎らしいのなんのって。
開いた口が塞がらないあたしを一瞥した彼の唇からフッと笑みが零れる。
「ちょっ・・・おまっ・・・・・」
「いらっしゃいませー」
タイミング悪く客が現れ思わず口を噤んだ。
そんなあたしに目もくれないで
まるで何でもなかったように慣れた様子で対応する彼を思い切り睨み付けた。
帰宅してからも怒りは収まるわけもなく。
結局あたしは年下男に散々ガキ扱いされた上に
「変なヤツ」呼ばわりされていたのだ。
あいつ、トコトン根性ねじ曲がってるわ!
近くにあったクッションを壁に向かって思い切り投げつけた。
それから2週間ほど過ぎた日のこと。
初めて宮田くん以外の人と組んでの仕事だった。
あたしより2歳年上の大学生という彼女とは初対面ではないけれど
あたしの勤務時間にはいつも宮田くんがいたので、2人で仕事するのは今日が初めてだ。
「ところでさぁ、佐倉さん」
レジがひと段落したところで声を掛けられる。
「なんですか?」
残り少なくなったレジ袋を補充しながら答える。
空いた時間も有効に使わないと
こわーい教育係に何言われるかわかんないもんね。
「佐倉さんと宮田くんってどうなのよ?」
「はい?」
今しがた考えていた仏頂面な教育係の名前に
思わず手をとめて視線を向ける。
流行の髪型に、今風のメイクで決めたその顔を
人の悪そうな笑顔に歪めながら、少し小声で彼女は続けた。
「だってさ、宮田くんって佐倉さんにはすごく話しかけるじゃない。
こないだ三人で仕事入った時ビックリしちゃった。
あんなに話す宮田くん初めて見たわ。あの子普段は必要最低限しか話さないのよ。
でも結構イイ男じゃない?私ちょっと狙ってた時期あったんだけど、これが全然脈ナシでさぁ。すぐに諦めたんだけどね。
で、佐倉さんはどうなのよ?」
「話しかけるって、ほとんど文句ばっかりじゃないですか。
どんくさいだのトロいだの。あれしろこれしろとか。
冗談じゃないですよ。何であんな無愛想男とどうにかならなくちゃいけないんですかっ」
小声で一気にまくしたてる彼女に間髪いれず言い放つ。
確かに宮田くんが店長以外の人と親しく話してるのを見た事がない。
だからと言ってあたしはといえば、話すというより一方的に文句を言われてるだけだ。
心底極まりない、というあたしの気持ちが伝わったかどうかは定かではないが
そうなんだー、とさも期待外れといった返事が返ってきて
それ以上追求される事はなかった。
その後、先に仕事上がりだった彼女と入れ替わるように店長が出てきた。
仕事の事や学校の事なんかをいくつか聞かれて
あたしは問題なくやっているといった内容の返事をすると
にこにこ笑ってそれはよかった、と安心した風だった。
面接の時から思ってたけど
この店長はいい人だ。
わからないことは何でも聞いてね、と言われていた事を不意に思い出し、
あたしは、話のついでに以前から気になっていた事を聞いてみることにした。
「あのォ・・・ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」
「何だい?」
「ここのバイトって確か高校生はダメですよね?
なのにどうして宮田くんはここで働いてるんですか?」
アイツは嫌な奴だ。
アイツが言うように、あたしも別に興味なんかないけど
でもやっぱりホラ、気になるじゃない。
募集要項には確かに18歳以上・高校生不可、と書かれていたのだ。
「あぁ、その事。一郎くんのお父さんと僕は昔からの知り合いでね。
それで頼まれたんだよ」
「そうなんですか」
「詳しい事情はまぁ・・・プライバシーの問題もあるから言えないけどね。
何、佐倉さん、一郎くんの事が気になるのかい?」
店長。お前もか。
あたしは全力で否定すると店長はさもおかしそうに笑った。
ここでもまた、理解が得られたのかどうかわからないが
これ以上言って変に誤解されるもの迷惑だったので
あたしは敢えてそれ以上この話題を続けることを避けた。
2008/11/01 PCUP
+++++atogaki+++++
話がなかなか進まなくてごめんなさい;;
でも宮田くんって知り合ってすぐ親しくなれるタイプでは絶対にないと思うので
なんかこんな感じになってしまって・・・
もうちょっとしたらきっと熱い、あつーい展開に・・・はならないまでも(ならないのか爆)
それなりに絡んできますのでお付き合いくだされば嬉しいです。