お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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26 伝えたい気持ち
宮田くんのぬくもりに包まれて、どの位経ったんだろう。
緩やかに流れる時間。
身体の芯まで伝わるぬくもり。
規則正しく聞こえる鼓動はどちらのものか分からないくらい溶け合って。
「宮田くん」
「ん?」
身体の間に手を入れて見上げるとすぐに目が合った。
癖のない、真っ直ぐな漆黒の髪。
その奥にある、揺ぎ無い確固たる意思を宿した瞳に今は自分の姿が映っている。
「あ、あのね・・・」
「はい」
「あのっ、あたし・・・っ」
宮田くんは何も言わない。
出逢った頃と変わらない、その瞳であたしの言葉を待ってる。
あたしはといえば、これから一体なにを言おうとしてるのか自分でもわかっていなかった。
ただ、もう一人の自分が、この胸に芽生えて、とてつもなく大きくなってしまった気持ちを言葉にして出そうとしている。
「あたし・・・」
ピリリリリリリ
意を決したあたしの言葉をけたたましい電子音が遮った。
ビックリしてお互い顔を見合わせると、宮田くんは何かに気付いたようにあたしの身体を少し離して、ジーンズの後ろポケットから携帯電話を取り出した。
「悪ィ。父さんからだ」
言って受話ボタンを押した。
少し斜めの角度で宮田くんが電話している。
離れた距離に吹き抜ける風の冷たさは、熱に浮かされたあたしの頭をすっかり冷まし、改めて自分のとった行動が恥ずかしくなった。
程なくして電話を切った宮田くんも先程の雰囲気は消えていて、よく知る宮田くんに戻っていた。
「すみません。実は空港からここに直行してきたから先に行った父さんが早くジムに来いって」
「ご、ごめんね、忙しいのに・・・って、え?もしかして今日帰ってきたの?!」
「・・・まぁ。これから今後の打ち合わせがあるからもう行きます」
「う、うん。そうだね」
「澪さんも、今日はもう帰った方がいいですよ。オレ、送りますから」
「い、いいよ!宮田くん忙しいでしょ。お父さん待ってるだろうし」
「今更急いだところで大して変わらないですよ。それより、荷物これで全部ですか?」
ベンチに置きっぱなしになったあたしの荷物を持つと宮田くんはさっさと歩き始めた。
「あっ、ちょっと待ってよ、宮田くん!」
先を行く背中を慌てて追いかけながら、相変わらずな宮田くんにあたしは嬉しくなった。
緑地公園の入り口付近でようやく宮田くんに追いついて、それから荷物を持つ持たないのちょっとした攻防があって、結局あたしは手持ちの鞄のみで画材一式が入った大きなバックは宮田くんが持ってくれた。
「そういえば、さっき何か言いかけてませんでした?」
しばらくは何も言わないまま並んで歩いてると、宮田くんが思い出したように言った。
「へ?な、何かって・・・」
「ほら、さっき、その・・・・」
言いにくそうな口調に、先程の出来事がたちまち蘇る。
「あ?!あれ!い、いや、別に大したことじゃないから気にしないで!」
勢いってものもあるし、今更言えない。
すっかり機を逸してしまったあたしは何とか誤魔化そうと大袈裟に言った。
「澪さん」
そんなあたしとは逆に、やけに神妙な声。
「・・・オレのいない間に・・・その・・・できましたか?」
前を向いたままの宮田くん。
あたしは質問の真意がわからず、疑問符を浮かべた。
「できるって、何が?」
すると、チラッとこっちを見たと思ったらまたすぐに向こうを向いてしまった。
「宮田くん?」
「だからっ・・・その・・彼氏、とか」
「は?」
思いがけない質問に、あたしはものすごく間抜けな声を出してしまった。
「な、なんだよ、その反応!」
「いや、だって、そんな事聞かれると思ってなかったから・・・」
「・・・・・」
「・・・・・そういう宮田くんこそどうなのよ?」
「はぁ?!」
返事に困って思わずオウム返しみたいに返したら、今度は宮田くんがすごい間抜けな声を出した。
そして、ものすごい形相で睨みつけてきた。
「何言ってんだよ!オレは強くなるために行ってたんだ!ンな浮ついた気持ちあるわけないだろ!!」
思い切り、全力で否定する宮田くんにあたしは思わず笑ってしまった。
「何がおかしいんだよ!」
「いや、なんか、変わってなさすぎて、すごい、嬉しい」
「え?」
「ほら、前に記者さんに試合の後好みのタイプ聞かれて怒ってたじゃない、あの時」
「あ、ああ・・・」
「宮田くん、急に行っちゃうんだもん。次会った時、変わってたらどうしようって、ずっと思ってた」
同じ歩幅のふたりの足音は、空からゆっくり舞い落ちる雪に溶けるように辺りに響いては消える。
「でも、相変わらずなんだもん、よかった・・・」
ついて出た本音は、あたしの口から零れるように次々と流れ落ちた。
「向こうに行って、初戦は引き分け。二戦目でジミー・シスファーにKO勝ちしてそれからは連戦連勝。あたしもこの一年、ずっと変わらず宮田くんの応援してたんだから。他の人とどうにかなる暇もないくらいに、ずっと」
言ってから、あたしは一番伝えたかった気持ちに気付いた。
そしてそれをちゃんと伝えることができた事が嬉しくてあたしの顔は自然と綻んでいた。
と、宮田くんがフイと視線を外す。
「・・・なんか、オレのせいみたいになってるけど、彼氏ができない理由は他にもあるんじゃないんですか」
「ちょっとそれどういう意味?」
「さぁ?」
「ちょ・・・もう!生意気なトコも全っ然変わってないんだから!」
そう言ってむくれるあたしを見て笑う宮田くん。
それが嬉しくて、あたしはまたちょっと泣きそうになってしまったけど、このうれし涙はそっと胸にしまっておくことにした。
2010/01/17 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんの口から『彼氏』というワードを聞いたら、わたし絶対笑います(断言)
この頃の宮田くんには似合わないっていうか、宮田くんでもそんなコト考えるんだーみたいなね。
・・・わたしは宮田くんを一体何だと思ってるんでしょうか。うん、大好きですよv(爆)
宮田くんのぬくもりに包まれて、どの位経ったんだろう。
緩やかに流れる時間。
身体の芯まで伝わるぬくもり。
規則正しく聞こえる鼓動はどちらのものか分からないくらい溶け合って。
「宮田くん」
「ん?」
身体の間に手を入れて見上げるとすぐに目が合った。
癖のない、真っ直ぐな漆黒の髪。
その奥にある、揺ぎ無い確固たる意思を宿した瞳に今は自分の姿が映っている。
「あ、あのね・・・」
「はい」
「あのっ、あたし・・・っ」
宮田くんは何も言わない。
出逢った頃と変わらない、その瞳であたしの言葉を待ってる。
あたしはといえば、これから一体なにを言おうとしてるのか自分でもわかっていなかった。
ただ、もう一人の自分が、この胸に芽生えて、とてつもなく大きくなってしまった気持ちを言葉にして出そうとしている。
「あたし・・・」
ピリリリリリリ
意を決したあたしの言葉をけたたましい電子音が遮った。
ビックリしてお互い顔を見合わせると、宮田くんは何かに気付いたようにあたしの身体を少し離して、ジーンズの後ろポケットから携帯電話を取り出した。
「悪ィ。父さんからだ」
言って受話ボタンを押した。
少し斜めの角度で宮田くんが電話している。
離れた距離に吹き抜ける風の冷たさは、熱に浮かされたあたしの頭をすっかり冷まし、改めて自分のとった行動が恥ずかしくなった。
程なくして電話を切った宮田くんも先程の雰囲気は消えていて、よく知る宮田くんに戻っていた。
「すみません。実は空港からここに直行してきたから先に行った父さんが早くジムに来いって」
「ご、ごめんね、忙しいのに・・・って、え?もしかして今日帰ってきたの?!」
「・・・まぁ。これから今後の打ち合わせがあるからもう行きます」
「う、うん。そうだね」
「澪さんも、今日はもう帰った方がいいですよ。オレ、送りますから」
「い、いいよ!宮田くん忙しいでしょ。お父さん待ってるだろうし」
「今更急いだところで大して変わらないですよ。それより、荷物これで全部ですか?」
ベンチに置きっぱなしになったあたしの荷物を持つと宮田くんはさっさと歩き始めた。
「あっ、ちょっと待ってよ、宮田くん!」
先を行く背中を慌てて追いかけながら、相変わらずな宮田くんにあたしは嬉しくなった。
緑地公園の入り口付近でようやく宮田くんに追いついて、それから荷物を持つ持たないのちょっとした攻防があって、結局あたしは手持ちの鞄のみで画材一式が入った大きなバックは宮田くんが持ってくれた。
「そういえば、さっき何か言いかけてませんでした?」
しばらくは何も言わないまま並んで歩いてると、宮田くんが思い出したように言った。
「へ?な、何かって・・・」
「ほら、さっき、その・・・・」
言いにくそうな口調に、先程の出来事がたちまち蘇る。
「あ?!あれ!い、いや、別に大したことじゃないから気にしないで!」
勢いってものもあるし、今更言えない。
すっかり機を逸してしまったあたしは何とか誤魔化そうと大袈裟に言った。
「澪さん」
そんなあたしとは逆に、やけに神妙な声。
「・・・オレのいない間に・・・その・・・できましたか?」
前を向いたままの宮田くん。
あたしは質問の真意がわからず、疑問符を浮かべた。
「できるって、何が?」
すると、チラッとこっちを見たと思ったらまたすぐに向こうを向いてしまった。
「宮田くん?」
「だからっ・・・その・・彼氏、とか」
「は?」
思いがけない質問に、あたしはものすごく間抜けな声を出してしまった。
「な、なんだよ、その反応!」
「いや、だって、そんな事聞かれると思ってなかったから・・・」
「・・・・・」
「・・・・・そういう宮田くんこそどうなのよ?」
「はぁ?!」
返事に困って思わずオウム返しみたいに返したら、今度は宮田くんがすごい間抜けな声を出した。
そして、ものすごい形相で睨みつけてきた。
「何言ってんだよ!オレは強くなるために行ってたんだ!ンな浮ついた気持ちあるわけないだろ!!」
思い切り、全力で否定する宮田くんにあたしは思わず笑ってしまった。
「何がおかしいんだよ!」
「いや、なんか、変わってなさすぎて、すごい、嬉しい」
「え?」
「ほら、前に記者さんに試合の後好みのタイプ聞かれて怒ってたじゃない、あの時」
「あ、ああ・・・」
「宮田くん、急に行っちゃうんだもん。次会った時、変わってたらどうしようって、ずっと思ってた」
同じ歩幅のふたりの足音は、空からゆっくり舞い落ちる雪に溶けるように辺りに響いては消える。
「でも、相変わらずなんだもん、よかった・・・」
ついて出た本音は、あたしの口から零れるように次々と流れ落ちた。
「向こうに行って、初戦は引き分け。二戦目でジミー・シスファーにKO勝ちしてそれからは連戦連勝。あたしもこの一年、ずっと変わらず宮田くんの応援してたんだから。他の人とどうにかなる暇もないくらいに、ずっと」
言ってから、あたしは一番伝えたかった気持ちに気付いた。
そしてそれをちゃんと伝えることができた事が嬉しくてあたしの顔は自然と綻んでいた。
と、宮田くんがフイと視線を外す。
「・・・なんか、オレのせいみたいになってるけど、彼氏ができない理由は他にもあるんじゃないんですか」
「ちょっとそれどういう意味?」
「さぁ?」
「ちょ・・・もう!生意気なトコも全っ然変わってないんだから!」
そう言ってむくれるあたしを見て笑う宮田くん。
それが嬉しくて、あたしはまたちょっと泣きそうになってしまったけど、このうれし涙はそっと胸にしまっておくことにした。
2010/01/17 UP
+++++atogaki+++++
宮田くんの口から『彼氏』というワードを聞いたら、わたし絶対笑います(断言)
この頃の宮田くんには似合わないっていうか、宮田くんでもそんなコト考えるんだーみたいなね。
・・・わたしは宮田くんを一体何だと思ってるんでしょうか。うん、大好きですよv(爆)