お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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25 おかえり
過ぎていく日常は忙しさに比例して速度を速め流れていった。
時折訪れる心許なさをやり過ごす事にも随分慣れ、淡々と過ぎていく日常はあっという間に冬を迎えた。
久しぶりの休日。
あたしは誰もいない公園でひとりキャンバスに向かっていた。
寒さも手伝ってなかなか作業が進まない。
そうこうしているうちに雪がちらつき始め、あたしは観念して荷物を手早く片付けると、屋根のあるベンチに非難した。
ぼんやりと眺める視界の先にはゆっくりと降り続く雪。
もうすぐ一年か。
そういえば、あの日もここでこんな風に座ってたんだっけ。
今日みたいに昼間なのに誰もいなくて、
雪が降るのがすごくキレイで
なんか、別世界にいるみたいだったんだよね。
「やっぱりここでしたか」
そうそう。
確かそんな声が聞こえてきて
あーこれは現実なんだなーって思ったのよね。
心地いいんだ。この声は。
・・・・って。
「えっ?」
振り返った先に人影があって。
「こんな日に風邪引きますよ」
「あ・・・うん・・・だから、今から帰ろうと・・・って、え?」
頭が混乱して疑問符だらけのあたしを可笑しそうに見ていて。
「え?アレ、何で、ここ日本・・・あれ?」
それは空からゆっくり舞い落ちる雪の作る幻想かと思うくらいまるで現実味がなくて。
「偽者?」
「本物ですよ」
そんな間抜けな質問に柔らかく微笑んで
心地いいその声は
「ただいま、澪さん」
あたしを現実世界に引き戻した。
「・・・み、やた・・くん?」
「はい」
「みやたくん」
「何ですか」
「ホントに、宮田くんなんだ」
「だから、さっきから何度も言ってるじゃないですか」
少し呆れたような声。
ずっとずっと聞きたかった声。
「うん・・・」
俯いたあたしに宮田くんが歩み寄る。
大きくて、すこし骨ばった指がそっとあたしの頬に触れた。
「何で、泣くんですか」
「だって・・・」
込み上がる想いは雫となってあたしの瞳から溢れ出す。
もう止める努力をすることすら無駄みたいに絶え間なく流れるそれは宮田くんの指先を湿らせた。
それに構う事無く触れる宮田くんの手があまりにも暖かくて、あたしはそのぬくもりを確かめるように両手でそっと触れてみた。
「宮田くんの手、あったかい」
「澪さんが冷たすぎるんですよ。一体いつからいるんですか」
「えへへ・・・」
会えなかった時間なんてまるでなかったみたいに、呆れるくらい、変わらない宮田くんの口調。
それが嬉しくて笑うと頬に触れていた手がゆっくり肩を抱き、無抵抗にそれを受け入れる。
見つめ合った視線にまるで引力でもあるかのように、その大きな胸に引き寄せられた。
一度目は病院だった。
泣きじゃくるあたしを支えてくれた。
二度目はちょうど一年前。
耳に残った唇の冷たさと吐息の熱さしか覚えてない。
そして今。
抱き締める腕が一年前よりもずっと逞しい。
それが改めて、時の経過を感じさせた。
心臓は苦しいくらい高鳴ってるのに、直に伝わる宮田くんの鼓動とぬくもりが、もうどうしようもなくあたしを安心させる。
まるで矛盾しているその感覚がたまらなく心地いい。
込みあがる思いを乗せて、やっと言葉が出た。
「おかえり、宮田くん」
返事の代わりに、抱き締める腕に力がこもった。
2010/01/15 UP
+++++atogaki+++++
やっと帰ってきましたー!
話数的にはちょっとなのに更新が空いちゃったもんだからえっらい長いコト感じたけどね(爆)
でもお陰で季節感はバッチリだYO!(前向き)
ちょっと尻切れ気味なのと短いのは長かったので無理ムリ切ったからです。
続きは近日中にUPします。
過ぎていく日常は忙しさに比例して速度を速め流れていった。
時折訪れる心許なさをやり過ごす事にも随分慣れ、淡々と過ぎていく日常はあっという間に冬を迎えた。
久しぶりの休日。
あたしは誰もいない公園でひとりキャンバスに向かっていた。
寒さも手伝ってなかなか作業が進まない。
そうこうしているうちに雪がちらつき始め、あたしは観念して荷物を手早く片付けると、屋根のあるベンチに非難した。
ぼんやりと眺める視界の先にはゆっくりと降り続く雪。
もうすぐ一年か。
そういえば、あの日もここでこんな風に座ってたんだっけ。
今日みたいに昼間なのに誰もいなくて、
雪が降るのがすごくキレイで
なんか、別世界にいるみたいだったんだよね。
「やっぱりここでしたか」
そうそう。
確かそんな声が聞こえてきて
あーこれは現実なんだなーって思ったのよね。
心地いいんだ。この声は。
・・・・って。
「えっ?」
振り返った先に人影があって。
「こんな日に風邪引きますよ」
「あ・・・うん・・・だから、今から帰ろうと・・・って、え?」
頭が混乱して疑問符だらけのあたしを可笑しそうに見ていて。
「え?アレ、何で、ここ日本・・・あれ?」
それは空からゆっくり舞い落ちる雪の作る幻想かと思うくらいまるで現実味がなくて。
「偽者?」
「本物ですよ」
そんな間抜けな質問に柔らかく微笑んで
心地いいその声は
「ただいま、澪さん」
あたしを現実世界に引き戻した。
「・・・み、やた・・くん?」
「はい」
「みやたくん」
「何ですか」
「ホントに、宮田くんなんだ」
「だから、さっきから何度も言ってるじゃないですか」
少し呆れたような声。
ずっとずっと聞きたかった声。
「うん・・・」
俯いたあたしに宮田くんが歩み寄る。
大きくて、すこし骨ばった指がそっとあたしの頬に触れた。
「何で、泣くんですか」
「だって・・・」
込み上がる想いは雫となってあたしの瞳から溢れ出す。
もう止める努力をすることすら無駄みたいに絶え間なく流れるそれは宮田くんの指先を湿らせた。
それに構う事無く触れる宮田くんの手があまりにも暖かくて、あたしはそのぬくもりを確かめるように両手でそっと触れてみた。
「宮田くんの手、あったかい」
「澪さんが冷たすぎるんですよ。一体いつからいるんですか」
「えへへ・・・」
会えなかった時間なんてまるでなかったみたいに、呆れるくらい、変わらない宮田くんの口調。
それが嬉しくて笑うと頬に触れていた手がゆっくり肩を抱き、無抵抗にそれを受け入れる。
見つめ合った視線にまるで引力でもあるかのように、その大きな胸に引き寄せられた。
一度目は病院だった。
泣きじゃくるあたしを支えてくれた。
二度目はちょうど一年前。
耳に残った唇の冷たさと吐息の熱さしか覚えてない。
そして今。
抱き締める腕が一年前よりもずっと逞しい。
それが改めて、時の経過を感じさせた。
心臓は苦しいくらい高鳴ってるのに、直に伝わる宮田くんの鼓動とぬくもりが、もうどうしようもなくあたしを安心させる。
まるで矛盾しているその感覚がたまらなく心地いい。
込みあがる思いを乗せて、やっと言葉が出た。
「おかえり、宮田くん」
返事の代わりに、抱き締める腕に力がこもった。
2010/01/15 UP
+++++atogaki+++++
やっと帰ってきましたー!
話数的にはちょっとなのに更新が空いちゃったもんだからえっらい長いコト感じたけどね(爆)
でもお陰で季節感はバッチリだYO!(前向き)
ちょっと尻切れ気味なのと短いのは長かったので無理ムリ切ったからです。
続きは近日中にUPします。