お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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24 朗報
鴨川ジムを訪ねて幕之内くんと話した日から
あたしは今までの一ヶ月が嘘みたいに動き出した。
宮田くんの穴を埋めるためにバイトの回数を増やし、学校との合間にできる時間は料理教室に通い始めた。
スポーツ選手に食事管理は必要不可欠だが、ボクシングには何と言っても減量がある。
木村さんの話を聞く限りでも試合前だけでなく、日々の摂生の重要性を聞いていたし、以前宮田くんからもそれは聞いたことがある。
ただ応援するだけじゃなく、少しでも宮田くんの助けになる力をつけようと思った。
大学・バイト・料理教室、この三つの行き来で最近は全くと言っていいほど絵を描く時間がなかったけれど、それは全く苦にならず、
忙しくも充実した毎日を過ごしていた。
春が過ぎ梅雨が去り
そして、季節は夏を迎えた。
「こんにちは」
「お、いらっしゃい」
大学の帰り、あたしは自転車で木村園芸に立ち寄った。
ここでハーブティーをご馳走になって以来、あたしは部屋に花を飾るようになった。
この時間は大抵木村さんが店番をしているので、大学帰りに寄る事が多かった。
「なんだ、まだ夏休みに入んないの?」
前籠に積んだ、ファイルやテキストが溢れんばかりに入った大きめのトートバックを漁るあたしに木村さんは言った。
「休みには入ってるんですけど、ちょっと調べたいことがあって・・・今日はその帰りです」
答えながら探し当てた財布を手に、あたしは店内を見回す。
「何かいいのありますか?」
「今の季節はやっぱこれだろう」
ちょうど木村さんの足元にある、小ぶりのひまわりを勧められる。
「かわいい!」
「ベタだけど、この花見ると夏だなーって思うよな」
「ですよね。じゃそれ10本ください」
「毎度!」
そう言って木村さんは今日も頼んだ数より多めに包んでくれた。
「いつもありがとうございます」
「頑張ってる澪ちゃんにプレゼントだよ」
支払いを済ませ、笑顔でそれを受け取ってもう一度お礼を言うと
そうそう、と木村さんが意味深な笑みを浮かべた。
「今日は嬉しいお知らせがあるんだけど、聞きたい?」
「?何だろ・・・聞きたいです」
ひまわりの花束を抱えなおして木村さんを見た。
「昨日ジムで聞いた話だけど、 復帰2戦目を4RKOで飾ったんだってさ」
―――――え?
「宮田だよ、宮田。あいつ、タイで強豪相手にKO勝利したんだって」
「・・・ほんと、ですか?」
「あぁ。記者さんから聞いた話だから間違いないよ。来月号には記事も載るんじゃないかな」
どこか夢を見ているような感覚で聞こえる声。
あたしは思わず空いた方の手で口元を覆った。
「よかったな」
その一言が心に沁みて、ゆっくり頷いてそのまま俯いたあたしの頭を木村さんの手がポンポンと触れた。
その優しすぎる感触に気持ちが抑えきれなくなったあたしの瞳から、自然に涙がこぼれた。
もう泣かないって決めてたのに。
でも、うれし涙だからいいよね。
2009/12/29 UP
+++++atogaki+++++
タイトル獲ったときの宮田くんはホントかっこよかったですよねぇvま、宮田くんはいつでもかっこいいですけど(爆)
鴨川ジムを訪ねて幕之内くんと話した日から
あたしは今までの一ヶ月が嘘みたいに動き出した。
宮田くんの穴を埋めるためにバイトの回数を増やし、学校との合間にできる時間は料理教室に通い始めた。
スポーツ選手に食事管理は必要不可欠だが、ボクシングには何と言っても減量がある。
木村さんの話を聞く限りでも試合前だけでなく、日々の摂生の重要性を聞いていたし、以前宮田くんからもそれは聞いたことがある。
ただ応援するだけじゃなく、少しでも宮田くんの助けになる力をつけようと思った。
大学・バイト・料理教室、この三つの行き来で最近は全くと言っていいほど絵を描く時間がなかったけれど、それは全く苦にならず、
忙しくも充実した毎日を過ごしていた。
春が過ぎ梅雨が去り
そして、季節は夏を迎えた。
「こんにちは」
「お、いらっしゃい」
大学の帰り、あたしは自転車で木村園芸に立ち寄った。
ここでハーブティーをご馳走になって以来、あたしは部屋に花を飾るようになった。
この時間は大抵木村さんが店番をしているので、大学帰りに寄る事が多かった。
「なんだ、まだ夏休みに入んないの?」
前籠に積んだ、ファイルやテキストが溢れんばかりに入った大きめのトートバックを漁るあたしに木村さんは言った。
「休みには入ってるんですけど、ちょっと調べたいことがあって・・・今日はその帰りです」
答えながら探し当てた財布を手に、あたしは店内を見回す。
「何かいいのありますか?」
「今の季節はやっぱこれだろう」
ちょうど木村さんの足元にある、小ぶりのひまわりを勧められる。
「かわいい!」
「ベタだけど、この花見ると夏だなーって思うよな」
「ですよね。じゃそれ10本ください」
「毎度!」
そう言って木村さんは今日も頼んだ数より多めに包んでくれた。
「いつもありがとうございます」
「頑張ってる澪ちゃんにプレゼントだよ」
支払いを済ませ、笑顔でそれを受け取ってもう一度お礼を言うと
そうそう、と木村さんが意味深な笑みを浮かべた。
「今日は嬉しいお知らせがあるんだけど、聞きたい?」
「?何だろ・・・聞きたいです」
ひまわりの花束を抱えなおして木村さんを見た。
「昨日ジムで聞いた話だけど、 復帰2戦目を4RKOで飾ったんだってさ」
―――――え?
「宮田だよ、宮田。あいつ、タイで強豪相手にKO勝利したんだって」
「・・・ほんと、ですか?」
「あぁ。記者さんから聞いた話だから間違いないよ。来月号には記事も載るんじゃないかな」
どこか夢を見ているような感覚で聞こえる声。
あたしは思わず空いた方の手で口元を覆った。
「よかったな」
その一言が心に沁みて、ゆっくり頷いてそのまま俯いたあたしの頭を木村さんの手がポンポンと触れた。
その優しすぎる感触に気持ちが抑えきれなくなったあたしの瞳から、自然に涙がこぼれた。
もう泣かないって決めてたのに。
でも、うれし涙だからいいよね。
2009/12/29 UP
+++++atogaki+++++
タイトル獲ったときの宮田くんはホントかっこよかったですよねぇvま、宮田くんはいつでもかっこいいですけど(爆)