お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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01 Prologue
厳しい冬が去り、新しい季節を迎える。
日差しは優しく、植物が芽吹く。
毎年、多くの新生活がスタートするこの季節。
今年はあたしも、そんな中のひとりである。
18歳、春。
桜が咲き誇るこの街で、新しいスタートを迎える。
「荷物の搬入全部終わりましたので、ここにサインお願いします」
額の汗を首にかけたタオルで拭いながら
会社のロゴが入ったツナギを着た四十代半ばくらいの男に促され、差し出されたペンを走らせた。
「ありがとうございましたー!」
帽子を取りながら、もうひとりの二十代後半くらいの男と声を揃えて深々と頭を下げる。
ツナギと同じロゴと電話番号が大きく記された小型トラックに乗り込み、二人は走り去って行った。
角を曲がり、その姿が見えなくなるまで見送ってから
ふぅ、とため息をひとつ。
それからあたしは二階建ての、まだ新しいアパートの階段を上った。
五部屋並んだ一番奥が、
今日からあたしだけの小さなお城だ。
半開きになったままのドアを閉め、サンダルを脱ぐ。
二メートルほどの廊下があり、
途中の左側のドアの向こうには、トイレとバスが一体のユニットバス、右側には申し訳程度のキッチンがある。
正面のガラス張りのドアを挟んだ八畳ほどのフローリングには、溢れんばかりのダンボールが積み上げられていた。その多さに改めてため息が出た。
「ま、ぼちぼちやりますか」
自分の声がやたらと大きく聞こえてビックリした。
その響きがこれから一人暮らしが始まることを実感させる。
だけど寂しいわけじゃない。
念願の大学に合格し、ずっと夢だった勉強ができる。
そう思うと自然に顔がニヤけてしまう。
「いよいよ始まるんだ…」
喜びをかみ締めながら
あたしはひとり、荷解きを始めた。
桜の開花が全国各地で発表される中
あたしは大学の入学式を迎えた。
式典が終わるとキャンパスのあちこちでサークルの勧誘が始まった。あたしはそれを丁重に断りながら門を目指す。
サークルもいいんだけど、バイトしなきゃだし…ね。
地元の大学を勧める両親の反対を押し切って東京に出てきた事もあって、生活費くらいは自分で何とかしようと決めていた。
背後から聞こえる喧騒を背に、
あたしは大学を出た。
アパートの最寄り駅から大学までは二駅と近い。
今日は入学式でスーツを着ていたこともあり、
電車を利用したけれど、今後は自転車で通学する予定だ。
慣れないスーツでこわばった背を伸ばし、身体をほぐしながら駅に向かって歩き始めた。
けれど、突き抜けるような青空を見て、駅を通り越す。
まだ慣れない道のりをゆっくりと歩いた。
「この街は本当に桜が多いなぁ」
大学を出てもう一時間近く経っただろうか。
いくら普段運動不足のあたしでも
普通に歩けば三十分くらいで帰れる距離なのだが、特に急ぐ用もない。
のんびりとこの街を堪能しながら歩いてきた。
あとは履き慣れないヒールのせいっていうのもあるんだけど。
「うわぁ」
そこはアパートから十分ほどの場所にある緑地公園だった。
なだらかに続く遊歩道。
生い茂る木。
広がる芝生。
広場を前に立っていると、吹き抜ける春風が身体全体を優しく包み込む。
「気持ちいい!」
堅苦しい入学式と慣れないスーツで溜まった疲れを晴らすように、両拳を空に向かって突き上げ、思いきり背を伸ばす。
身体にたまった緊張を風が一気に吹き飛ばしてくれたようで、あたしはすっかり満足した。
2008/10/23 PCUP
+++++atogaki+++++
ついにやってしまいました宮田原作沿い長編。
どこまでいけるのか、まるで終わりの見えない連載系ですが
書ける限り書こうと思ってます。気合だけは十分!
けどいきなり宮田くん出てこなくてごめんなさい;;
次に出会いますので懲りずにお付き合い頂ければ嬉しいです。
厳しい冬が去り、新しい季節を迎える。
日差しは優しく、植物が芽吹く。
毎年、多くの新生活がスタートするこの季節。
今年はあたしも、そんな中のひとりである。
18歳、春。
桜が咲き誇るこの街で、新しいスタートを迎える。
「荷物の搬入全部終わりましたので、ここにサインお願いします」
額の汗を首にかけたタオルで拭いながら
会社のロゴが入ったツナギを着た四十代半ばくらいの男に促され、差し出されたペンを走らせた。
「ありがとうございましたー!」
帽子を取りながら、もうひとりの二十代後半くらいの男と声を揃えて深々と頭を下げる。
ツナギと同じロゴと電話番号が大きく記された小型トラックに乗り込み、二人は走り去って行った。
角を曲がり、その姿が見えなくなるまで見送ってから
ふぅ、とため息をひとつ。
それからあたしは二階建ての、まだ新しいアパートの階段を上った。
五部屋並んだ一番奥が、
今日からあたしだけの小さなお城だ。
半開きになったままのドアを閉め、サンダルを脱ぐ。
二メートルほどの廊下があり、
途中の左側のドアの向こうには、トイレとバスが一体のユニットバス、右側には申し訳程度のキッチンがある。
正面のガラス張りのドアを挟んだ八畳ほどのフローリングには、溢れんばかりのダンボールが積み上げられていた。その多さに改めてため息が出た。
「ま、ぼちぼちやりますか」
自分の声がやたらと大きく聞こえてビックリした。
その響きがこれから一人暮らしが始まることを実感させる。
だけど寂しいわけじゃない。
念願の大学に合格し、ずっと夢だった勉強ができる。
そう思うと自然に顔がニヤけてしまう。
「いよいよ始まるんだ…」
喜びをかみ締めながら
あたしはひとり、荷解きを始めた。
桜の開花が全国各地で発表される中
あたしは大学の入学式を迎えた。
式典が終わるとキャンパスのあちこちでサークルの勧誘が始まった。あたしはそれを丁重に断りながら門を目指す。
サークルもいいんだけど、バイトしなきゃだし…ね。
地元の大学を勧める両親の反対を押し切って東京に出てきた事もあって、生活費くらいは自分で何とかしようと決めていた。
背後から聞こえる喧騒を背に、
あたしは大学を出た。
アパートの最寄り駅から大学までは二駅と近い。
今日は入学式でスーツを着ていたこともあり、
電車を利用したけれど、今後は自転車で通学する予定だ。
慣れないスーツでこわばった背を伸ばし、身体をほぐしながら駅に向かって歩き始めた。
けれど、突き抜けるような青空を見て、駅を通り越す。
まだ慣れない道のりをゆっくりと歩いた。
「この街は本当に桜が多いなぁ」
大学を出てもう一時間近く経っただろうか。
いくら普段運動不足のあたしでも
普通に歩けば三十分くらいで帰れる距離なのだが、特に急ぐ用もない。
のんびりとこの街を堪能しながら歩いてきた。
あとは履き慣れないヒールのせいっていうのもあるんだけど。
「うわぁ」
そこはアパートから十分ほどの場所にある緑地公園だった。
なだらかに続く遊歩道。
生い茂る木。
広がる芝生。
広場を前に立っていると、吹き抜ける春風が身体全体を優しく包み込む。
「気持ちいい!」
堅苦しい入学式と慣れないスーツで溜まった疲れを晴らすように、両拳を空に向かって突き上げ、思いきり背を伸ばす。
身体にたまった緊張を風が一気に吹き飛ばしてくれたようで、あたしはすっかり満足した。
2008/10/23 PCUP
+++++atogaki+++++
ついにやってしまいました宮田原作沿い長編。
どこまでいけるのか、まるで終わりの見えない連載系ですが
書ける限り書こうと思ってます。気合だけは十分!
けどいきなり宮田くん出てこなくてごめんなさい;;
次に出会いますので懲りずにお付き合い頂ければ嬉しいです。
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