短編
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home sweet home
クリスマスなんてどうでもよかった。
街のイルミネーション、装飾されたツリー、ケーキにターキー・・・
何一つオレには縁のないものだった。
ガキの頃はそれなりに興味があったような気もするが
枕元に届けられるであろうプレゼントを楽しみに眠りについた記憶も
今となっては遠く霞んではっきりと思い出せない。
ここ数年はバイト先が12月に入る少し前から
赤や緑を基調に、金色も交えた派手目の内装に変わるので
その程度の認識だった。
休み希望を出す連中が多い中、オレは普段通りに仕事をこなし
帰る頃に降り出した雪に特別な感慨もなく、
道行くカップル達をどう見るでもなく。
一年365日のうちのただの一日として
今年も何ら変わりなく過ぎると思っていた。
12月24日。バイトを終えた帰り道。
オレは派手なクリスマス柄の箱を手にしていた。
『じゃ、ケーキはバイトの帰りに買って来てね』
今日の予定を聞かれ、答えた時に返ってきた言葉。
『そんな顔しなくてもいいじゃん。料理はあたしが作るんだからさー』
意味がわからない、という顔をしたつもりが
澪さんにはどうもオレがケーキを買うことを不満に思ったように見えたらしい。
そうじゃなくて、と言葉を足す。
『だって、クリスマスだよ?ツリー飾ってチキンとケーキ食べてプレゼント交換しなくちゃ』
プレゼントは一人500円ね、と付け加えられ
それがさも当然と言わんばかりだったので
オレは思わず笑ってしまった。
そんなオレを見て澪さんは少しムッとしながらなんで笑うかなと言って
それからオレにつられるように笑った。
それにしても。
プレゼント交換と言われたものの
今の今まで、何の用意もしていない。
「まいったな・・・」
ひとりごちて、さてどうしたものかと考えた時
シャッターの降りた商店の前に陣取る露店が目に入った。
この時期特有のカップルが何組かいて
何かを手にしながらアレコレ話していたので
恐らくそのテの商品が売られているのだろう。
オレは少し道を逸れて露店に向かった。
そこには所狭しとシルバーアクセサリーが並んでいたが
店員の格好から見て取れるように
並んだ商品はどれもゴツいデザインばかりで
どう見ても澪さんのイメージではない。
諦めて店を後にしようとした時、視界の隅に映ったのは
布製の髪飾りのようなもの。
こんな風にすればお洒落ですよと言わんばかりに広げられた雑誌には
それで髪をまとめたり腕につけた女性モデルがにこやかにポーズを決めていた。
何種類かある中で、暖か味のあるこの素材が気に入った。
価格もちょうど500円。
オレは迷わずそれを買った。
簡単な包装を頼むと
手にしたケーキとオレの顔を交互に見て
店員がニヤリと意味ありげな表情をしたのが印象に残った。
あまり感じのいいものではなかったが
何故か不快な気はしなかった。
ただ何となく気恥ずかしくなり
商品を、受け取ったその手でポケットに入れると
オレは足早に帰路についた。
考えてみれば他人へのプレゼント、
しかも女に向けて買ったのは初めてかもしれない。
ケーキだってそうだ。
今回のように、澪さんと知り合ってから
オレは今までしたことのない経験を色々している気がする。
それらは全て、これまでの生活では縁のなかった事ばかりで
また必要性も感じていなかった。
だけど実際体験してみると、これが案外悪くない。
いや、それは
相手が澪さんだからなのか。
気付けば自宅はもう目の前だった。
いつもは暗い部屋の窓から
カーテン越しに明かりが洩れる。
その光景も、回を重ねるうちに随分見慣れたが
いつの頃からだろう。
あの明かりの灯る部屋が自分の帰る場所だと思った時
心が解きほぐされたような気持ちになったのは。
ケーキを見て、澪さんはどんな顔をするだろう。
ポケットの中の、予算500円のプレゼントは気に入ってもらえるだろうか。
そんな事を考えながらゆっくりと階段をのぼると
静まり返った空間に、オレの足音だけが小さく響いた。
ドアまであと3メートル・・・2メートル・・・・・・
そろそろだな。
・・・・1メートル・・・・・・・
「おかえりっ!」
絶妙のタイミングで開いたドア。
「・・・だから、オレじゃなかったらどうするんだよ」
「大丈夫。絶対間違えないもん。それより お・か・え・り!」
「・・・・・ただいま」
ボソリと言って、まずはケーキの箱を差し出す。
パァっと、澪さんが笑顔になる。
「ありがと!ねね、もう用意できてるから早く食べよう!」
「ああ。腹減った」
大事そうにケーキを抱えて部屋に向かう澪さんの背中に向かって
もう一度、聞こえないくらいの小さな声呟いてからゆっくりとドアを閉めた。
『 た だ い ま 、 澪 さ ん 』
END
2008/12/23 PCUP
+++++atogaki+++++
宮田くん偽者警報発令(爆)
超絶苦手なキャラ視点。見事に当たって砕けました。
いろいろホントごめんなさい。
ちなみに宮田くんの買ったプレゼントはシュシュです。
え?ヒロインがショートヘアの場合?
手首に付けてオシャレのポイントにって雑誌に書いてあったじゃなーい(笑)
タイトルですが、聞き覚えあるなーと思ったらYUKIちゃんの歌でした。
せっかくなので久しぶりに聞いてみたんですが
(思いつきでつけた割りに)なかなか合う感じしないですか?しないですね。ハイ。
Merry Christmas!(逃)
クリスマスなんてどうでもよかった。
街のイルミネーション、装飾されたツリー、ケーキにターキー・・・
何一つオレには縁のないものだった。
ガキの頃はそれなりに興味があったような気もするが
枕元に届けられるであろうプレゼントを楽しみに眠りについた記憶も
今となっては遠く霞んではっきりと思い出せない。
ここ数年はバイト先が12月に入る少し前から
赤や緑を基調に、金色も交えた派手目の内装に変わるので
その程度の認識だった。
休み希望を出す連中が多い中、オレは普段通りに仕事をこなし
帰る頃に降り出した雪に特別な感慨もなく、
道行くカップル達をどう見るでもなく。
一年365日のうちのただの一日として
今年も何ら変わりなく過ぎると思っていた。
12月24日。バイトを終えた帰り道。
オレは派手なクリスマス柄の箱を手にしていた。
『じゃ、ケーキはバイトの帰りに買って来てね』
今日の予定を聞かれ、答えた時に返ってきた言葉。
『そんな顔しなくてもいいじゃん。料理はあたしが作るんだからさー』
意味がわからない、という顔をしたつもりが
澪さんにはどうもオレがケーキを買うことを不満に思ったように見えたらしい。
そうじゃなくて、と言葉を足す。
『だって、クリスマスだよ?ツリー飾ってチキンとケーキ食べてプレゼント交換しなくちゃ』
プレゼントは一人500円ね、と付け加えられ
それがさも当然と言わんばかりだったので
オレは思わず笑ってしまった。
そんなオレを見て澪さんは少しムッとしながらなんで笑うかなと言って
それからオレにつられるように笑った。
それにしても。
プレゼント交換と言われたものの
今の今まで、何の用意もしていない。
「まいったな・・・」
ひとりごちて、さてどうしたものかと考えた時
シャッターの降りた商店の前に陣取る露店が目に入った。
この時期特有のカップルが何組かいて
何かを手にしながらアレコレ話していたので
恐らくそのテの商品が売られているのだろう。
オレは少し道を逸れて露店に向かった。
そこには所狭しとシルバーアクセサリーが並んでいたが
店員の格好から見て取れるように
並んだ商品はどれもゴツいデザインばかりで
どう見ても澪さんのイメージではない。
諦めて店を後にしようとした時、視界の隅に映ったのは
布製の髪飾りのようなもの。
こんな風にすればお洒落ですよと言わんばかりに広げられた雑誌には
それで髪をまとめたり腕につけた女性モデルがにこやかにポーズを決めていた。
何種類かある中で、暖か味のあるこの素材が気に入った。
価格もちょうど500円。
オレは迷わずそれを買った。
簡単な包装を頼むと
手にしたケーキとオレの顔を交互に見て
店員がニヤリと意味ありげな表情をしたのが印象に残った。
あまり感じのいいものではなかったが
何故か不快な気はしなかった。
ただ何となく気恥ずかしくなり
商品を、受け取ったその手でポケットに入れると
オレは足早に帰路についた。
考えてみれば他人へのプレゼント、
しかも女に向けて買ったのは初めてかもしれない。
ケーキだってそうだ。
今回のように、澪さんと知り合ってから
オレは今までしたことのない経験を色々している気がする。
それらは全て、これまでの生活では縁のなかった事ばかりで
また必要性も感じていなかった。
だけど実際体験してみると、これが案外悪くない。
いや、それは
相手が澪さんだからなのか。
気付けば自宅はもう目の前だった。
いつもは暗い部屋の窓から
カーテン越しに明かりが洩れる。
その光景も、回を重ねるうちに随分見慣れたが
いつの頃からだろう。
あの明かりの灯る部屋が自分の帰る場所だと思った時
心が解きほぐされたような気持ちになったのは。
ケーキを見て、澪さんはどんな顔をするだろう。
ポケットの中の、予算500円のプレゼントは気に入ってもらえるだろうか。
そんな事を考えながらゆっくりと階段をのぼると
静まり返った空間に、オレの足音だけが小さく響いた。
ドアまであと3メートル・・・2メートル・・・・・・
そろそろだな。
・・・・1メートル・・・・・・・
「おかえりっ!」
絶妙のタイミングで開いたドア。
「・・・だから、オレじゃなかったらどうするんだよ」
「大丈夫。絶対間違えないもん。それより お・か・え・り!」
「・・・・・ただいま」
ボソリと言って、まずはケーキの箱を差し出す。
パァっと、澪さんが笑顔になる。
「ありがと!ねね、もう用意できてるから早く食べよう!」
「ああ。腹減った」
大事そうにケーキを抱えて部屋に向かう澪さんの背中に向かって
もう一度、聞こえないくらいの小さな声呟いてからゆっくりとドアを閉めた。
『 た だ い ま 、 澪 さ ん 』
END
2008/12/23 PCUP
+++++atogaki+++++
宮田くん偽者警報発令(爆)
超絶苦手なキャラ視点。見事に当たって砕けました。
いろいろホントごめんなさい。
ちなみに宮田くんの買ったプレゼントはシュシュです。
え?ヒロインがショートヘアの場合?
手首に付けてオシャレのポイントにって雑誌に書いてあったじゃなーい(笑)
タイトルですが、聞き覚えあるなーと思ったらYUKIちゃんの歌でした。
せっかくなので久しぶりに聞いてみたんですが
(思いつきでつけた割りに)なかなか合う感じしないですか?しないですね。ハイ。
Merry Christmas!(逃)