このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

「輪廻と愛情」

「えっと?状況を整理しましょうか」
そうして、彼は一旦、
彼女2人をソファーに座らせると、
溜息をつきながら、状況を整理しようと試みる。
一方、もう1人の彼女は頬を膨らましながら、
こちらを睨み続けていたが…
「さて、もう一度、状況を整理しましょうか」
「だから!夢見の彼女なんだって!」
隣からの視線があまりにも痛々しい為、
彼女を黙らせた方がいいと判断し、
彼はこう告げる。
「よし………一旦黙ろうか。」と。
そうして、
一旦彼女を彼の言う事を素直に聞き、
黙らせるのだった……。

「私はまず、貴女に会った事がないと思うのですが?」
彼は、疑問のような形で、
彼女に尋ねる。
彼の記憶上、彼女に出会った事は多分無い。
故に、彼女の思惑を考える必要があると考えた。
本当に彼1人の為に逢いに来たのか、
はたまた、
彼を陥れようとしているのか。
色んな考えを巡らすことは出来るが、
それが答えに辿り着くことは”まだ”無い。
そうしていると、彼女は口を開く。
「ほんとに覚えていないんだな……夢見
なら!思い出させてあげよう!
私と夢見の出会いを!」
聞くに絶えない、
というか、隣からの視線が、
痛いほど突き刺さるのを実感しつつ、
彼は彼女の話を聞いてみる事にした……

そして、話の区切りが付き、
彼女は一息ついた。
実際真面目に話は、
あんまり聞いてはいなかったが、要約すると、
昔、1人の男に襲われた所を彼は助け、
それに惚れた結果、何故か相思相愛であると、
勘違いしたらしい。
「なるほど、
つまり私に助けられたから、貴方は私が好き、
私は貴方が好きだと思い、
相思相愛だという結論に至ったと……
正直、話が噛み合ってないし、
支離滅裂な発言をしている様な、
気がしますが………
しかし、私にはそのような記憶は存在しない。
故に、大変申し訳無いのですが、
生憎と私は少し、
記憶が欠落しているようです。」
彼は思った事をそのまま
彼女にそう告げるや否や、
衝撃のあまり、
彼女は唖然と立ち尽くすのだった。

「えっ!?
覚えてないのか?
私、”伊織 雫”を!」
伊織、雫……………。
ふむ、さてここからどこしようか。
覚えてないなら、取り敢えず、
色々情報を聞き出してみるか、と、
彼はそう思い、彼女に聞いてみるのだった。
「では、雫さんに色々聞いてみますか」
「おう!夢見の質問ならなんでも聞こう!」
「ワタシハ?」
やっぱり突っかかってきたかと彼は、少し嘆息しながら、
彼女の耳元で、後で血を吸わせてあげますから、
少し静かにしていてください。
と、告げると、
彼女は多少頬を紅潮し、
顔を俯かせながら、
ずるい、とだけ、
彼にしか聞こえない声で呟いた。
「さて、話を戻しましょう。
まず、貴方は何者ですか?」
「私に聞いているんだとしたら、
私はこの辺では結構有名とだけ言っておこう」
8/10ページ
スキ