そこは、一般的に野原と言われていそうな場所であり、
そこで彼は戦闘していた。
「足りねぇなぁ、おい。
戦闘と言うものを
全く理解出来ていない。
俺がお前に教えてやるよ、
戦闘の価値観の違いって奴をよ。
アハァ、アハハハハハァ！」
と、彼は甲高く、狂ったような声で目の前の者にそう告げた。
彼は、明らかに様子がおかしかった。
というより、これは、彼のまだ幼い頃の記憶といった方が正しいだろう。
髪は白く染っており、目は赤く、体付きは今よりも段違いに細かった。
そして、大きめの黒いパーカーを
羽織っていた。
そんな彼だが、今で言う
｢戦闘狂｣のようなものなのだろう。
そんな彼が相対するは、
一人の少女という人質を取り、
包丁を持った男である。
そんな男に彼はこう告げる。
｢おいおい、俺はそんなんじゃ、止まんねぇぞ？おいおい、猿は急死に迫ると知恵を絞り出すらしいが、お前はそれ以下じゃねぇか！｣
男はそう言いながら、ジリジリと詰め寄り、男との距離を縮めていく。
｢来るな！近寄んじゃねぇ！
この女を殺されてぇか！｣
男は人質を取っているのにも関わらず、圧倒的な不利を感じていた。
しかし、それは必然的なことであった。
男と彼の中には決して越えられないような絶対的な差があったのだった。
そうして、彼は男が青ざめた瞬間…
彼は自慢の脚力によって、大きく男との距離を縮め、男に普通なら人が死んでしまうのでは無いのかと言うほどの蹴りを食らわせた。
そして、”男”のみを蹴り飛ばすと、彼は男に馬乗りになり、こう告げる。
「どうだ？これが価値観の違いって奴だ、分かったか？雑魚がよ
じゃあ、さよならだ。」
そうして、男は懐から拳銃を出すと、男の脳天に突きつける。
「バンッ！」
決して響くことの無いはずだった
発砲音という名の声だけが鳴り響く。
男はその瞬間、まるで事切れたかのように気絶した。
そうして、救われた少女はというと、
彼に感謝をしていた。
「本当にありがとうございます！
この恩はいつか必ず………」
「黙れ、俺は助けた覚えなんかない。」
男はバツが悪そうに彼女にそう告げ…………
そうして男は目覚めるのだった。

「ん………」
意識が覚醒し、辺りを見渡すと明るく、朝だという事は容易に理解することが出来た。
しかし、疑問点があった。
｢えーと、何故、小生の膝に座っているのでしょうか………｣
彼は困惑しつつも、彼女にそう告げるのだった………。