家に着き、彼女にシャワーを浴びるように勧めた男は、
ソファーに座り、熟考する。
人を守るとは、
どういうことなのだろう。と、
哲学的ではあるが、男はその質問を自分に問いかける。
彼女に助けると約束したのにも関わず、彼女を救う事は出来なかった。
いや、彼女は救ってもらったというような、虚偽の言葉を紡ぐだろう。
しかし、男はあれが「救う」ということなのだろうかと、終始、思い詰めるのだった。

そうして時は過ぎ、彼女はお風呂からあがると、無防備な姿で寝ている彼を見つける。
「夢見クン………」
彼が助けに来てくれたときの事をを思い返す。
あの時の彼は、なんというか凄く怖かった。
表情の無い顔、
喋る度に空気を劈く(つんざく)ような声音。
どれをとっても、彼は恐怖の感情を引き出すのが上手かった。
そんなことを考えながら、彼女はふと
彼の頚椎(けいつい)に目を奪われる。
ごくっ、と舌鼓をうつ。
「ナ、ナンカ、イケナイ気分二ナッチャイソウ」
彼女は頬を紅潮させながら、彼を見て、そう呟く。
そうして、彼にジリジリと寄っていく。
「厶、無防備ナ、夢見クンガ、悪イヨネ」
彼女はそう言うと、ソファーに座っている彼の膝にあひる座りで座る。
そうして、彼女は……
彼の首元にかぶりついた。

一方、彼はとある夢を見ていた。