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「輪廻と愛情」

「ご迷惑でなければ、貴方の家に止まらせては貰えないでしょうか?」
「エッ!エッ!エッ!急ニ何言ッテルノ?!」
彼女は頬を紅潮させ、足や手などをバタバタさせながら、驚いた様にそう男に伝える。
「いえいえ、頼み事みたいなものですよ。
なんせ、困ってるにしろ、家が無いんですよね。だから、家に少し泊まらせて貰おうとしたのですが、残念です。」
男は、シュンとした声で肩を落とし、彼女にそう伝えるのだった。
それに対し、彼女は、
「イヤ、別二ダメッテ言ッテルワケデハナインダケド……。
私、女ノ子ダヨ?」
「女だろうと、男だろうと小生は構いませんよ?泊まれるんだったら誰でも泊まります。」
「イヤ、ソウイウ訳ジャナインダケドナァ」
そういうものなのかと、男は考えるように顎に手を添える。
「マ、マァ、イイヤ。
デ、デモ1つダケ、ジョウケンガアル………」
「泊まらせてくれるなら、如何なる条件でも呑みますが?」
「ジャ、ジャア!
チッ、血ヲスワセテホシイノ!!」
「血?………まぁ、そのくらいなら良いですが……。」
男は、彼女にうなじや鎖骨の部分をあらわにする。
「ワァ!!ソコマデシナクテイイヨ!!」
彼女はまた、ジタバタとしながら、近寄ってくると、
首元に齧り付いた。

チュウ………。チュウ……チュウ……。

血を吸われている感覚がある。
どんどんと血液が無くなっていく様なそんな感覚。
「えっと、もうそろそろ……。」
意識が飛びそうになった辺りで彼女にそう告げる。
「アッ、ゴメンナサイ!」
彼女は慌てて、吸っていた牙を抜く。
血はまだ溢れているのだが…。
「血はまだ溢れていますね……」
男はそう告げると、軽い応急処置を済ませると彼女に伝えたい事があり、声を発する。
「吸血鬼……だったんですね。」
「アハハ、アンマリバラシタコトハ無カッタンダケドネ、、、、
君ノ血が美味シソウダッタカラツイ……」
「で?味はどうだったんですか?」
「エ?」
「だから、私の血の味はどうだったのかと聞いているんです。」
「アァ、ソウイウコト?
ウン……スゴク美味シカッタヨ?」
「そうですか。」
男はそう言うと、ニコッと笑うのだった。
「じゃあ、これで契約成立という事で宜しいですか?」
そう言うと、彼女はモジモジしながら、言葉を零す。
「エット、その話ナンダケド、アナタノ血ガアマリニモ美味シカッタカラサ、ソノ、毎日飲ンジャダメカナ?」
彼女は、頬を人差し指で掻きながら、恥ずかしそうに彼にそう告げる。
「勿論、良いですよ?
言ったじゃないですか、住む為なら、どんな条件でも呑むと…」
「エッ!?ホント!?ホントニ!ホントノ!ホント!?」
「えぇ、だから言っているでしょう。」
目の前で子供のようにはしゃぐ彼女を見て、男は微笑を零しながら、そう告げる。
「ジャア、約束……ネ?」
「えぇ、約束です。」
男は目を閉じ頷くように、彼女にそう告げる。
「ジ、ジャア、家行コッカ。」
「えぇ、」
彼女は、夜道、彼と散歩をして想う。
「(身体がポカポカする。なんだろこの気持ち)」
彼女のそんな想いなど、気にも留めず、彼は家に向けて、歩を進めるのだった。
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