「君が好きだ」

僕はそう叫ぶ。
声が枯れるぐらいに叫ぶ。
そうして、出し切ったと思うぐらい叫んだ後、
僕は倒れた。

そして、目が覚める。
「ここは？」
目を開いた瞬間、目の前には煌びやかな風景が映る。
どうやら、ここは繁華街らしい。
「キミ、大丈夫？」
ふと、声のした方向に目をやると、
年齢は少し幼いように見え、
白髪であり、首に傷のある少女がそこに居た。
「ネェ、聞コエテル？｣
そのカタコトに多少の懐かしさを覚えながらも、
”小生”は言葉を紡ぐ。
「えぇ、大丈夫ですよ。
ご心配なく」
そう言い、クスッと笑う。
「エット、オ名前ハ？」
名前を……と聞かれたので、小生は言う。
「あぁ、小生の名前ですか？…
”夢見 天馬”と申します。｣
そう言い、ニコッと笑う。
自分の口にした言葉に少しの懐かしさを覚える。
自分の名前なのに不思議なものだ。
そうして、倒れていた体をやっと起こす。
「少しお尋ねしても宜しいですか？
ここは何処なのでしょうか？」
「エットネ、此処ハ天草町っていうんだよ」
天草町………聞き馴染みのない言葉に戸惑いつつも、男はそれからどうしようかと、考えを巡らす。
といっても、何も思いつく訳もなく………。
「困りましたね。これからどう致しましょうか……」
「エット、困ッテルナラ助ケテアゲヨウカ？」
彼女のその言葉に悪意が無いと知り、男は彼女に立ち会い、そう告げるのだった。