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「また、あの梅雨が来る」

ある梅雨の時期の昼下がり。
僕は自室でベットの上に寝転がりながら、惰眠を貪っていた。
すると突然、コンコン、と誰かが部屋のドアをノックした。
母が来たと思い、はーいと1つ、返事を返すと、
何の用だろうと部屋のドアを開けようとしたが、
何者かの手により、目の前の扉は強引に開かれる。
そこには母ではなく、僕の幼なじみが立っていた。
僕に話があるらしい。
僕は大事な話だと思い、
幼なじみを部屋に通した。
そんな彼女は、僕の机の椅子に座るや否や、ぽつりぽつりと話し始める。

「雨……….強くなったね。
やっぱり君の家に、避難して正解だった。
ここんところ毎日来てる気がするし……。
でもしょうがないでしょ。
ボクの家までこの雨の中歩くのしんどいし、
ここは結構高校から近くて良い位置なんだよねぇ。
高校入ったらさ、
もうちょうど通学路の中間地点だから、
住まわせてよ、ここ。
通学時間半分になるからさ。いやマジで。」

僕が間違っていたのだろう。
大事な話だと思っていたが、ただの世間話のようだ。
誰が聞いているんだそんな話と言いたくなる、
だから、僕は幼なじみの話を適当に、
相槌をしながら聞いていた。

「ずーっといるのも、悪くないんだけど
まぁ、でも、さ。君も久々にボクとの時間作れて、悪くはないんじゃないの?
でも何だかんだ、
ボクとの時間も、居心地は良い方でしょ? 
良くない?」

幼なじみといて別に気まずい訳でもない。
それよりも、良いのだ。
幼なじみといると居心地が良く、とてもリラックスできるのだ。
だから、僕は………………。
悔しかった。
彼女と、一緒に居ることが出来ないという事実に。
何故、こんな事になってしまったのか。
結論から、僕は死んだ。
昨年の梅雨、僕は氾濫した川に落ち、息を引き取った
その時は、丁度、自主練習をしていた。
慢心していた。自分なら大丈夫だろうと。
そんな軽い気持ちが僕をこんな結果にした。
当然だと言われれば何も言えないが、
その時の事を僕は今でも悔しく思っている。

幼なじみを見ると、変化が沢山ある。
例えば、可愛くなった。
小学生の頃よりも顔は小さくなり、所々にメイクを施しているのが分かる。
それに、服装も小学生の様な幼稚な服から、大人びた高校生と呼ぶに相応しい服装に変化していて、彼女の変化をこれでもかと実感させられた。

しかし、昔から
この梅雨の時期に、ここに来ては、僕と駄弁るという
一種の行動は変わらない唯一のことだった。
幼馴染なんだから。とか、女友達だから。とかそういうのは関係なく、
ただ、ただ、その行為が嬉しく感じた。
でも、彼女は僕のせいでここに囚われているんだろうと考えると……

「うん。変わんない」
と呟くのだった。
僕は何も変わってないよ、あの頃から。
僕は僕。
一人称も、
中身も。

それから幼なじみが”1人”で話し続けていた。

梅雨の時だけ、
僕は君の前に現れる事ができる。
いや、現れてるように見えるのだろう。
君は、その時、いつも楽しそうな顔をする。
それははしゃいでるような、悲しいような、そんな顔をする。

この雨も止まないでほしいなぁ。
梅雨終わってほしくないなぁ

こんなこと思うのはきっと、僕だけではなく、目の前の君もそうなのだろう。。

それだけ、君と一緒にいたい

君は………どうかな?


(雨がどんどんとの音が大きくなっていく……
これを続けられるのも、梅雨という期間だけ、
期間が終われば、僕は…………。
自分の心の様に曇った空を僕は憎らしく思った。)
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