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カフェキュイエール

もしも、その背中に追い縋る事が出来たなら、何かが変わっていたのかな・・・。

「真緒ちゃん、ごめんね。僕には君を幸せにする事は、できない。」

「うん、わかった」

私の告白を、聞いてくれただけでも、私は満足できたはずだった。

でも、悲しそうな顔で去っていく樹お兄ちゃんの背中を見ていたら、涙が零れた。

「やっぱり、諦めるなんて無理だよ」

私は、樹お兄ちゃんの背中に追い縋る事も出来ず、ただ涙で濡れた声で、そう呟くのが精一杯だった。

それから、私は、キュイエールを辞めてしまった。

何事もなかったように笑っている樹お兄ちゃんを見ているのが、ただただ辛くて、こんなんじゃ仕事にも支障がでる。

それは、もしかしたら建前かもしれないけど、今は、樹お兄ちゃんに会わす顔もないから。

なんで、諦められないの私!

目を閉じれば、優しい樹お兄ちゃんの顔が浮かんで溢れる。

すがり付きたかった。

一瞬でもいい、近付きたかった。

この恋は、一瞬で一生の恋だった。

泣き疲れ、眠気に襲われる私は、薄れ行く意識のなか、そう思い、樹お兄ちゃんの最後に見た悲しそうな顔を思い出し、一筋涙を流し眠りについたのだった。




お題:@milkmilk_odai様




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