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冬組

この世界に神なんていない。

俺は、じいちゃんが死んだときに、そう思った。

でも、違ったんだ。

みんなに出逢ってから・・・。

「翼くん!またラボを黒こげにしましたね!」

「こ、これは違うのだそらそら!決してわざとではないのーだー!」

「まぁ、颯斗。翼の爆発なんていつもの事だ。そんな怒るなよ、な?」

「ですが会長!」

「まぁまぁ、おい翼。ラボの掃除をしてこい」

「わかったぬーん!月子手伝ってほしいのだ!」

「駄目ですよ翼くん。1人で掃除してください。これだけは譲れませんよ。良いですね会長。」

「でも、私は、翼くんのお手伝いをしても大丈夫だけど?」

「ぬーん。月子は優しいのだ!そらそらは、極寒の心の持ち主なのだ!」

「つーばーさーくーん。誰が極寒ですか!」と黒い笑み。

「そらそらが怖いのだぬがが!」

「今のは翼が悪い!早く掃除してこい!」

「はーい!」

俺はラボの掃除をはじめた。

こんなの、毎日同じやり取りなのに、涙が出てくる。

嬉しくて。

なんで、こんなに嬉しいんだろう。

ラボの外から、聞こえてくる賑やかな声も嬉しい。

俺は、もうひとりじゃない。

みんなが、一緒にいる。

それが、嬉しくて堪らなくて涙が止まらないんだ。

俺は、涙を袖で拭って、賑やかな声のする方へ「俺もまぜてくれー!」と月子に抱きついて、ぬいぬいとそらそらにつっこまれる。

ああ、楽しい、嬉しい、幸せ。

また、うっすらと涙が浮かんだ。




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