白菜
君の名は?
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照り付ける太陽が今日もうぜぇ。
俺、なんで真面目に部活なんてやってんだろ…
折角の夏休みを汗だくで過ごしている自分に驚く、ただ強くなりてぇと思った。
太『先輩はズルいです。恵まれた体を持っているのに、強くなれるのにならないのはズルいです!!僕に下さいっ!!』
涙目で小さな太一がそんな事言うから、うるせぇと言いつつも少しだけ今より強くなってやるか……なんて、俺らしくもない。
何の為になんて今はどうでもいいか……
「亜久津君」
『あぁ?』
最近入ったマネージャーの山田にコップを差し出される。
このクソ暑い炎天下と言うのに、何でこいつの腕はこんなに白いんだ…
無意識にコップを持った手首を掴んだ、折れそうな程に細くて白い。
「……亜久津君……」
『テメェ……何でこんなに白い…』
「……日焼け止め塗ってるもん」
『……』
見上げた顔は白いと言うか、少し顔色が良くない。
手首を掴んだままコップを奪い取り、少しだけ含むと、残りを山田の頭からかけた。
『帽子ぐらい被れ……』
貧相な体で運動部のマネージャーなんて良くやろうと思ったもんだ。
コップを返してコートへ向かう……
『次は誰だ、コートに入れ。』
ニヤついた千石が対面に立つ。
日が暮れるまで打ちのめしてやった
物足りねぇ……
さっさと着替えて駅へ向かう
駅の中にある洋菓子店のモンブランは絶品で、部活後の糖分補給に持って来いだ。
家に帰ったら1つ、シャワー上がりにもう1つ、仕方がねぇからババァの分も1つ。
箱に隙間が空くと崩れるからもう1つ。
保冷剤をたっぷり入れてもらって駐輪場に隠したバイクに跨った。
ヘルメットを引っ掛けて走り出す。
モンブランは崩れない様にリュックに入れたキンキンに冷えた保冷剤が火照った背中を冷やしてくれる。
ふと信号待ちで歩道に見慣れた後ろ姿が目が止まる。 フラフラした足取り、ガードレールに手を置いたかと思ったらその場に座り込んだ。
『チッ……何やってんだあいつ……』
急いでバイクから降りると、歩道に車体を押し上げて停める
『おい……お前っ……』
「……あ、亜久津……君……」
『…………チッ……大丈夫か……』
「……うん、ちょっと……クラっとしただけ……大丈夫。」
ゆらっと立ち上がる山田は白い顔で少し笑って見せる。
『馬鹿か……白い顔しやがって……乗れ。送ってやる』
「……え…大丈夫だって……あの、本当に……バイクとか乗った事ないし……」
『うるせぇ……早くしろ!』
イラつきながら横に引っ掛けてある友達用のヘルメットを山田に被らせた。
「あ、亜久津君っ……私達制服だし…あのっ2人乗りって……」
『黙れ……免許ぐらい持ってる……制服で2人乗りしちゃいけない法律でもあんのか?』
「え、あ、それは……分かんないけど……」
『心配すんな……捕まる事なんてねぇよ』
山田を強引に引っ張ってバイクに跨り、早く乗れと急かす。
「ど、どうやって乗れば。」
『はぁ?自転車と同じだ馬鹿っ、あ、待て』
俺は背中のリュックを前に回した。
『来い。』
「う、うん。」
遠慮がちに捕まってくる山田の手を掴んだ。 冷たくて細い指は強く掴んだら折れそうだ……
『ちゃんと掴まってないと落ちるぞ、家まで道案内しろ』
「うん……」
ぎゅっと掴まったのを感じてバイクを立てスタンドを蹴った。
エンジンを吹かし、後方確認ゆっくりと走り出した
男しかケツに乗せた事が無いからか、軽すぎる山田は居ないみたいに車体はブレない。
落ちたんじゃねぇかとたまに心配になって掴まってる手に触れて確認した
曲がる所に来ると山田はそちら側の手をさっと離し指差した。
そんなに遠くない場所にある大きな一軒家の前で背中を叩かれてバイクを停めた
『ここか?』
「うん」
ズルりと後ろから降りた山田は青い顔をしている。
『おい……』
慌ててバイクから降りると山田を腕を掴んだグラりと揺れる体を抱き留める。
俺と山田の体に挟まれてリュックが潰れる感覚がした……
門柱のインターホンを押すが誰も出て来ない、玄関まで山田を抱き上げ連れて行く、まだ暑いはずの気温なのに山田の体が小さく震えている。
『おい、鍵は……』
「……ココ……」
山田は首を指差す
『あ?首?』
玄関ドアの前で山田を膝に乗せ片手で首を触る、細いネックレスの先に小さな特殊な形の鍵が付いていた。
『これか!』
山田を落とさないようにしゃがんだままの体制で鍵穴に差し込み回すと重みのあるロックが開いた。
『おい、家入るぞ!』
「うん……」
山田を抱き上げドアを足で抑える、体を捩じ込んで何とか中に入った……
デケェ家だな……
靴を脱ぎ散らかして正面のドアを開けた
広がるリビングには豪邸にしか入らないであろうクソデカソファーが鎮座している。
座った事もない柔らかさのソファーに山田を寝かせ傍にあったブランケットをかけた。
まだ青い顔で小さく震えている山田をどうしてやればいいか分からない。
取り敢えずこう言う時は……
履いたままだった靴を脱がせその辺に投げる、それから締め付ける物を緩めるんだったか……
ブランケットを捲り、迷わずスカートのホックを外しファスナーを降ろした。
それから少し山田を抱き起こし制服に手を入れた。
背中にあるはずの繋ぎ目を探す……
「亜久津……っ……」
冷たい手が俺の熱い首に……
「あったかい……」
一気に湧き上がる邪な衝動……
抱き起こした山田が腕の中で震えながら俺の熱を欲しがってる
滑らかな背中に直に触れている……繋ぎ目を妻めばハラりとそれが緩んだのが分かった。
柔らかい……冷えた背中……
あぁ……やばい……相手は病人だぞ……
「亜久津っ……寒い……」
『ああ!もう……ったく!!』
俺は仕方なく隣に寝転んで山田を腕の中に抱いた。 ブランケットで包んで寒がる背中を撫でた
熱い……
逆上せそうな俺の体温を山田が奪っていく
こいつ、熱が上がんのか…
しがみついた山田の額を唇で確かめる、まだ冷たい
寒がる山田は俺の制服の中に冷たい手を入れると背中にぴとっと掌を這わせた。
思わず息を吐く……
落ち着け、こいつは今正気じゃねぇ。
ゆっくりと山田の体温が馴染んで行く、何か飲ませた方がいいのか……
離れてくれそうにない細い体に困惑しながらしばらくそのままでいた。
静まり返ったリビングに蝉の声が微かに聞こえる……
部活で疲れ切った体が柔らかいソファーに埋もれていく
いつの間にか山田を抱いたまま眠りに落ちてしまった。
「……つ……くつ…………あくつ……」
遠くで誰かが俺を……うるせぇな……もう少し寝かせろ……疲れてるんだ……
『うるせぇ……な…………』
…………
……………………
隣には顔を赤くした山田が腕の中で俺を見上げている……
熱は下がったのか?…
俺はまた額に唇を付けて体温を確かめる。
小さい頃ババァが俺にしてたみたいに……
少しだけ温かい……
『熱……大丈夫……だな…………』
「…………………………」
黙って真っ赤になっている山田を寝ぼけたままもう一度抱き寄せた…
あ、
ああ……
『……チッ……悪い……寝惚けた。』
自分のしている現実に目が覚めた。
ゆっくりと腕を緩めて山田を解放した。
ソファーから降りると投げ出したリュックを拾い上げる。
『ああっ……クソっ……』
「亜久津……っ……君……」
『はぁ……俺の……モンブラン……』
潰れた箱を取り出し恐る恐る開けると、形の崩れた4つの可哀想な姿……
「……あ……ごめん……私の……せい……だよね……」
『はぁ……』
「ごめんっ……弁償する……」
『……チッ……別に構わねぇよ……』
「でもっ……」
『食えねぇ訳じゃねぇ……はぁ……』
「でもっ……」
『……責任取って……お前も食え……』
潰れたモンブランを指で掬い山田の唇に塗り付け、ポカンとした熱い唇を割りクリームを咥内に押し込む。
引き抜いた指でモンブランを掴むと自分の口に入れる…
保冷剤のおかげでまだ冷たさが残ったモンブランが口に解けていく、疲れが飛んでいく気がした。
残り3つの潰れたモンブランは家で味わうかと諦めて箱を閉めた
『もう、大丈夫だな……俺は帰る』
「あ、ありがとう…亜久津君……」
『ゆっくり、寝ろ馬鹿。』
山田の頭を叩いてリビングを後にした。
玄関を出ると室内に向かって叫ぶ
『おい、戸締りしろ!』
バタバタと足音が聞こえたからそのままバイクに跨り走り出した。
すっかり日が落ち暑さが和らいだ夏の夜
m「仁!!遅かったね!」
『うるせぇ!』
m「心配したのに…」
『チッ……』
リュックから出した箱を押し付け浴室へ向かった。
m「何これ、潰れてるじゃない!」
『うるせぇ……』
m「……冷蔵庫入れとくね……」
熱いシャワーを浴びながら何故か山田の顔が脳裏から離れない…
背中にまだあいつの冷たい手の感触が残ってる。
俺にしがみついた手の感触……
あいつの柔らかな肌質が、熱い唇が離れない……
『クソっ………』
何時もより長いシャワーになっちまいそうだ……
m「仁〜まだ入ってんのー?」
『チッ!!うるせぇ!!クソババァ!!』
END
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おまけ↓
一方その頃山田は1人ベッドでローリングしていた。
亜久津君って……距離近くない?
何時も近くない? 意地悪だけど、じっと見て来たり、手首掴んだり、頭熱いからって冷たい水で冷やしてくれたり、今日だって何回もおでこにちゅーって……勘違い?気のせい? 見送ろうとしたらブラ外れてるし、スカートファスナー降りてるし、モンブラン口に突っ込まれるし、普通口の中まで指入れる?は?え?
何これ、何これ、やばい、ドキドキする。
どうしよう、明日どんな顔すればいいの。
え?やばい、私…これ、落とされた?
無理っ無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理…やばい……好きかも……
私チョロい?……むりぃ〜!!!
キャ───(ฅωฅ//)♡───ァ