比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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木手side……
『はぁ……全く、何を考えてるんです?この時期にミスはありえないでしょうが、朝までに何とかして報告して下さい。』
電話を切り車の後部座席に沈み込む。
移動中ぐらいゆっくりしたいけれど、そうも行かないのは自業自得か
『甲斐くん、頭痛薬持ってませんか?』
甲『ないー』
『はぁ……何処か薬局があったら寄ってください』
甲『永四郎、また痛いんば?』
『えぇ……』
運転手の甲斐君がスムーズに薬局に辿り着けるとは思っていない。
甲『永四郎!転職に失敗したから、雇ってくれ!』
6ヵ月前泣き付かれて今に至る。
そろそろナビを使いこなして欲しいですね。
甲斐君が上京して来て昔話に花が咲く事もある、青春だったと今思えば懐かしい日々。
大学を卒業してそれぞれに就職、平古場君は今や2児の父。
無能な上司に嫌気がさした俺は起業し、今はそれなりに大きくなった会社、金には困らない生活だが、たまにふとこれでいいのだろうかと思う。
昔話に花が咲く度に彼女の事を思い出す。
「永四郎!!!」
久しぶりに会った時の彼女の笑顔がとても好きだった。
あの笑顔を守りたいと子供ながらに頑張っていた。
真っ直ぐな彼女が俺には眩し過ぎて、何をするにも緊張の連続だった
あれ程に俺の心を揺さぶった人は1人だけ
甲斐君の口から花の名前が出る度に、まだ胸が痛くなる
初恋と言う物は誰しもどんなに時が経っても忘れられないのだろうか……