比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
花 side……
会社に到着して直ぐに上司の元へ向かう、
色んな事があった5年間だった
「おはようございます。あの……」
上『おはよう。……どうしたの山田さん』
「急なんですが……退職を…」
上『………………え?』
「…………」
上『真面目に?』
「はい」
上『………………なんか…嫌な事でもあった?』
「いえ、あの……結婚が決まりまして。」
自分で言っといて顔から火が出そうな程恥ずかしい、何の心の準備も出来ていない事をここに来て再確認させられる、ホンの数日前までぼっちだった私が…結婚なんて言ってる… ぼっちだと知ってる上司も口を開けたままパクパクさせていてお互いに黙り込む。
しまった、辞表を持ってくるべきだった…手ぶらで来ちゃったよ私、何やってんだ…
上『…………お、おめでとう……』
「…ありがとうございます」
上『…………えっと、すぐ辞めるよね……有休消化してね……えっと……うん、びっくりしちゃって……長い間お疲れ様。また働きたくなったらいつでも声掛けてね、歓迎するよ!』
「ありがとうございます…急ですみません」
上『あと1ヶ月ぐらいは来る?』
「……はい、今出てるシフトは出ます」
上『良かった…』
コールセンターなんて毎日は忙しいけれど引き継ぎなんてものはそれ程無い。
ひたすらに電話対応、研修、改善会議その繰り返しなだけだ。
バックレる人も多いし、急に人が居なくなるのも人数が多ければそれ程珍しくはない。
上『じゃぁ、人事には連絡しておくから、』
「はい、お世話になりました。」
あっさりした上司で助かった。
根掘り葉掘り聞かれても正直困る…
人の入れ替わりが激しい職場、特別仲が良い人が居る訳でもない。
だから余計にプライベートな事を話すのは恥ずかしい。
早く終わって永四郎の所に帰りたい。
思い出してはニヤつきそうな顔を引き締めて鬼電当番の始まりだ……
今日は変な人に当たりませんように!