比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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18時の約束を手早く終わらせた頃注文してあった花が届いた。
ぎゅっとコンパクトに纏めて貰ったが花の腕に収まるか少し不安だ。
林『社長…お客様です。』
『入ってもらってください』
警備員を従えて通された2名の男女はにこやかに厳重にロックされているであろうアタッシュケースを持ち、促されるとテーブルにケースを並べた。
男『木手様、本日はお呼び頂きまして誠にありがとうございます。』
2人分の名刺を受け取ると挨拶もそこそこにケースの中に目を向けた。
大粒の光り輝くダイヤモンドの数々花の指に似合う物はと視線を滑らせ、大きすぎても邪魔になるか?と思案する。
一生に一度の贈り物ですから、それなりの物を贈りたい
もしこの先、俺に何かあってもこれを売れば暫くは花が凌げる様に財産になる物…
ケースの中でも一際厳重に収まった指輪が目に留まる。
美しいエメラルドカットのダイヤ……
シンプルに他に飾りが無く甘くなくて使い易いデザイン、きっと花の事だから普段使いする何て怖くて出来ないと言うに決まってる。
『……そうですね、10ctのエメラルドカット、サイズは9号でお願いします。同じデザインの1ctはありますか?』
男『はい、御座います。』
丁寧に箱に納められて手渡された指輪を眺める、どんな顔をするか考えるだけでニヤケそうになる。
『急なお願いを聞いて頂いてありがとうございました。』
女『とんでもございません、何時でもお呼びください。』
保証書や付属品の袋を受け取り、カードを渡すと手際良く端末で処理される。
時計を気にする俺を察して2人は静かに社長室を出ていった。
林『社長……レストラン予約します?』
心配そうな顔をした林が端末片手に伺う。
『いえ、大丈夫です。……何です?』
林『社長っ…………察してます……』
勘のいい秘書が嬉しそうに目をうるうるさせてこちらを見ている。
『そんなに嬉しそうな顔しないで下さい』
林『……だって……社長も人間だったんだなーって……グスッ……』
『君ねぇ……』
林『社長…っ…1ヶ月後のお休み、私ちゃんと調整しますからっ……』
『お願いしますよ……』
林『レストランじゃなくても良いんですか?』
『はい、大丈夫です…』
時計は20時を少し回っている。
21時頃に終わると言っていた
『林君…甲斐君を下に。帰ります。』
林『はいっ』
大きな花と荷物を抱えて大急ぎで会社を出た 花の会社に車を向かわせながら昔の記憶を甦らせる。
『甲斐君、花を乗せたら行って欲しい所があります。』