比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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その夜は久しぶりに懐かしい人の夢を見た。
遠い日の夏
あの人と出会った
最初は怖くて感じの悪い人だったけど、仲良くしてくれない理由は彼なりの優しさだった。
怖いもの知らずだった私は冷たい彼に鬱陶しいぐらい話し掛けてた。
「ねー木手さん、どこ行くの?」
『また君ですか…』
「一緒に行っていい?」
『ダメです。』
「なんでよー」
ダメだって言っても本気で付いて来るなとは言わない。
口調は怖いけど、ため息をつきながらも私へ向けられる視線は何処か優しかった。
たった数日間の出来事だった。
私の危なっかしさに巻き込んで困らせたけれど、
『全く……君って人は本当に…』
最後は手を差し伸べてくれた
距離なんて障害にはならないそう言ってくれた
私の初恋は叶ったけれど子供の自分達にはどうする事も出来ない事ばかりで、一緒に居られた時間はそう長くはなかった。
年に数回会えた後のお別れはいつも辛くて胸が張り裂けそうな程苦しかった、溢れそうになる涙を必死に堪えているのに永四郎は嬉しそうに頭を撫でて笑ってた。
『そんな顔をされたら連れて帰りたくなるでしょうが……大人になったらいつも一緒に居られる様にします。だから、今は我慢しなさいよ。』
その言葉はいつか現実に叶うんだと思ってた。
大人ってそう言う事が簡単に出来る様になるんだと信じてた。
ね、永四郎…
今何処で何してる?
私を思い出したりする?
しないか……