比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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『………嫌だ。』
木『でしょうね……』
冷めた顔の彼は静かに拒否をする、分かり切った返事にどう説得しようかと頭を巡らす。 回り諄い言い方をしても仕方が無いと覚悟して唇を噛んだ。
じっとりと俺を見る不満げな目が何を言われても嫌なものは嫌だと訴えている。
その隣で甲斐君は何で呼ばれたのが分かって居なさげに静かに林が持って来たシークワーサージュースを飲んでいる。
木『知念君……正直に話します。少し前に花と再会しました。近い内に結婚します、今まで休みなく働いてきましたが、これからは花との時間も大切にしたい。』
知『花?じゅんにか!!良かったさー。でも、副社長はやらない。』
木『…他に任せられる人が居ないでしょ』
知『専務連中がいるさー』
木『確かに優秀な人はいますよ、しかしね、心から信頼してるとは言えません。独自に拓いたルートや人脈、裏まで教える訳に行かないんです。君も分かってるでしょ?』
知『………』
木『社長代理なだけで、責任を取る必要はありません。今まで俺のワンマンでやってきましたが会社の規模的にも1人では限界です。もし、引き受けてくれないなら……会社を手放すつもりです。』
知 甲『『!!!!!!!!!!!!』』
甲『永四郎っ!やー何言ってるば!!!!!手放す?売り飛ばすのか!会社無くなるって事か!!!!!!』
知『永四郎、マジで言ってるんば!?』
木『跡部財閥に売ります。』
甲『……何もそこまでしなくてもいいやっし……なぁ、知念……』
知『やっとここまでデカくしたのにか…』
木『……10割やってくれとは言ってません、2割でいい。花と食事したり、旅行に連れて行ってあげたいんです。11年の空白を早く埋めたい。』
知『俺1人じゃ、不安があるさ…』
木『勿論しばらく俺に付いて全て把握して貰います、代理室、秘書、運転手、車、給料賞与2倍で手を打ってくれませんか?』
知 甲『『!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』
甲『ずるいっ!!!知念ずるいさー!』
木『甲斐君、君は運転手勤務でしょーが!』
甲『あーぁ、俺も会社の立ち上げが一緒にやりたかったさー』
木『仕方が無いでしょーが、君は沖縄で就職してたんだから。』
甲『あーぁ……早く転職すれば良かったさー』
木『知念君……どうです?』
知『……ベンツのゲレンデヴァーゲン』
木『えぇ、いいですよ。交渉成立ですね』
甲『ずるいやっしーーーー!!!!!!』
木『甲斐君は車を買っても休みの日にしか乗らないでしょーが!』
駄々を捏ねる甲斐君の隣で早速タブレットからディーラーのページを検索する知念君… 引き受けてくれた事に胸を撫で下ろした。 知念君なら半年程で一通りの事を把握して動ける筈、怯まない強気の姿勢に無口なのがまた威圧感で負ける事は無いでしょう、冷静に曲者の狸とも渡り合っていけるし企画部でその働きぶりは証明している。
恐らく文句を言う人はいないでしょう
林『社長…報告会のお時間です』
甲『あみちゃん♡』
木『知念君、早速重役達に報告しますので、そのつもりで。』
知『…………。』
2人を引き連れて向かった会議室、重役達を前に社長代理を紹介すると、ざわめく室内。
木『……俺の決定に何か問題でも?……では、他に責任もって俺の代わりを完璧に出来る人がいるなら、手を挙げて下さい。お任せしますよ、俺の隣に付いて半年間で全て把握して貰います。どうです?寧ろね、知念君は俺と違って優しいですから、皆さん働き安くなるかも知れませんね。』
顔を見合わせた重役達が気まずそうにしていたのに、働き安くの言葉に拍手を始めた。
木『知念君が指示する事は俺の指示だと肝に銘じておいてください。皆がやりたくない事を引き受けてくれたと思ってよろしくお願いしますね。はい、では報告始めて下さい。』
後は18時の打ち合わせが終われば帰れる…
一日がこんなに長く感じるなんて……
早く花に会いたい