比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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ベットに移動してからも話は尽きなかったが、相槌を打ちながら花 は隣でウトウトし始める、とろんとした目が可愛らしくて腕の中に包んで髪を撫でると気持ち良さそうに寝息をたてる。
柔らかくて長い髪、華奢な身体、触れるだけで安心して溶かされていく意識、久しぶりに味わう眠りに落ちていく感覚に瞼を閉じた。
深い所に沈んでいく……
やっと眠れるそんな気がした。
「……しろ…………いしろ…………」
もう少しだけ眠らせてくれ。
……ピピピピピ……ピピピピピ……
「永四郎……っ……」
『……ンン……』
「ね、永四郎……時間、大丈夫?」
『……な……んじ……』
「10時」
『……………………10.....時……!!!!!!』
ガバッ!!!!
「……大丈夫?」
『……』
「………………ごめん、私も今起きて……」
『花 は時間大丈夫ですか?』
「うん、私は12時出勤だから」
『……よかった。』
「永四郎は……」
『まぁ、遅刻ですけど……』
「怒られない?」
『俺を誰だと?……』
「………………?」
『俺の会社ですよ?』
「社長出勤……」
『今日だけは……』
余裕ぶってみたものの、内心午前中に誰かと約束してなかったと焦りながら予定を見直し、午前は書類の整理だけでホッと胸を撫で下ろした。
『花 何時頃終わりますか?』
「多分9時ぐらいかな。」
『終わったら連絡して下さい』
「うん」
慌ただしくシャワーを浴びて、花 を置き去りにする様に家を飛び出して甲斐君の待つ車へ飛び乗った。
甲『寝坊なんて珍しいなー』
木『久しぶりに眠りが深くてね…』
甲『不眠症の永四郎が?』
木『ええ…』
甲『花 のお陰だな。』
木『会社で余計な事言わない様にね』
甲『……あみちゃんには?』
木『ダメです』
甲『えーーー』
木『甲斐君、喋ったらゴーヤーです』
甲『……っ……言わないさー!』
木『生搾りですからね』
甲『へいへい、分かったさー』
さっさと仕事を終わらせて花 の待つ家へ帰りたい。
さっきまで隣にいたのに、いつも通りの日常を過ごさなければいけないのかとうんざりするが、連絡したい時に出来るのだからとメッセージを送った。