比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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木手永四郎side……
何もかも全て奪ってしまいたい。
強引に事を動かしてしまえばいいと引っ越しまで済ませた。
離れてしまう事が不安だったのは俺も同じだった
何かの悪戯でまた引き離されてしまうのでは無いかと怖かった。
幻影の様に君が消えてしまいそうで…
君の存在を確かめずにはいられない。
君が俺の為に書いてくれた手紙
涙で滲んだインクが切なくて、会いたい、迎えに来て、待ってる、並べられた言葉の数々が胸を苦しくさせた。
こんなにも長い時間俺を思っていてくれた、迎えに来ると待っていた、どんな思いで戻って来てしまう手紙を取っておいたのかと思うと堪らなくて……
指輪もないのにプロポーズしてしまった。
花 を前にすると俺は理性が保てない……
保てない所かカッコ悪い程総崩れだ。
花 の目にはどう映っているのか……
お互い知らない時間をどう過ごしたか知りたくて、眠るのが惜しくて、夜通し話し続けた。
編入した後テニスを辞めた理由や大学を卒業して外資系企業に就職した事、真希さんからの勧めで起業した事、
仕事の内容、甲斐君の転職失敗の事、平古場君の事、寝る間も惜しんで働いて来た事、花 を探さなかった理由
話せる事は全て話した。
謎だった花 の海外生活についても沢山聞いた。 予想していた優雅な海外生活ではなく開拓民生活話に驚き、まだご両親がそこにいらっしゃる事にも驚いた。
日本に戻ってからコールセンターで働いている事
苦労続きで人生絶望の淵にいた事
俺の夢を見た事……
俺も花 の夢を見たと言ったら
驚いていた。
『ねぇ、花 もし今の職場に未練がないなら、辞めても良いですよ』
「え……いいの?」
『寿退社と言えば文句も言われないでしょ?』
「……本当に?」
『はい。どうしても仕事がしたいなら俺の秘書とかどうですか?一緒に居られますし』
「お給料は?……」
『勿論お支払いします』
「明日上司に話してみる。」
『あー、でも花嫁修業もして貰わないといけないですし、結婚式の準備も……何よりご両親にご挨拶に行かなくてはいけませんね。』
「あんなジャングルに?行くの?」
『勿論です。こちらから出向かなくては…』
「ダメっ、絶対!! 蛇もいるんだから!」
『沖縄にも蛇ぐらいいますよ』
「違うのホントにジャングルだから!私が嫌なのっ!!」
『分かりました、では御両親にご都合を伺って航空券を手配しますから、』
涙目の花 が可哀想になって折れた。 どんな所だったのか1度は行ってみたい気もしましたが、まぁ、仕方がないでしょう。
『結婚式が終わって一通りの事が終わったら、働くかどうかは考えたらどうですか?』
「うん。そうする。永四郎ありがとう」
『いいえ、俺に合わせて色々生活を変えさせてしまってすみません。慣れるのに苦労するかも知れませんが、嫌な時はちゃんと言ってくださいね』
「うん…」
慌ただしく過ぎていくだろうと予想はしているが、こうして顔を見て笑い会える奇跡に感謝せずにはいられない。