比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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カチャッ……
『永四郎ぉ〜♡もー全然会ってくれないんだもん!来ちゃった♡』
『真希さん……はぁ……』
真希『あたしの顔見て溜息?今日も美しいでしょ?』
『えぇ、お綺麗ですよ。』
真希『全然お店にも来てくれないじゃない?』
『すみません、忙しくて……』
真希『顔色良くないわね…はい、鎮痛剤!!!そしてぇ〜レッドブル♡好きでしょ?』
トントン……カチャッ……
林『あの、珈琲を…』
真希『あ、林ちゃんそれあたしが貰うわ〜♡ご苦労様!!』
シッシと手で林を追い出す真希、
ソファーに座って鎮痛剤を飲む俺の隣にベッタリとくっついた真希は耳元に唇を寄せて囁いた。
真希『いい話持ってきたの♡』
『…………なんですか?』
真希『BBCって会社あるでしょ、早目に切った方が良いわ。後数ヶ月で潰れる』
『潰れる?』
真希『ガサ入れよ、巻き添え食う前に♡』
『分かりました、いつもすみません』
真希『またお店に誰か連れて来てよ♡いい男限定で!』
『貴方よりいい男なんて居ませんよ(笑)』
真希『もぉ〜♡今はオンナよ♡美しいでしょ?女よりオンナなの!あたしは♡』
『フフッ……お礼は必ず』
真希『体でお礼してくれてもいいのよ♡』
『現金の方が好きな癖に…』
真希『うふふっ……分かってる♡ 体で済ませようとしない所が好きっ♡あ、同伴だから行くわ!またね永四郎♡』
高級クラブのママには敵わない。
就職したての俺にあんたは曲者、雇われるなんて似合わないと言い、資金提供して起業させた張本人だ。
軌道に乗るまで散々面倒を見てもらった
旧家に政治家、財閥、横の繋がりは未知数、俺が避けている理由はこちらの予定お構い無しで拉致られるからだ。
専用機でマカオに連れて行かれた時はこの俺が記憶を飛ばすまで飲まされ目が覚めたらゴージャスなベットの上だった。
何も無かったと言うより、俺なんかが土下座したって抱かせて貰えない人だ。
きっと一生頭が上がらない。
今日の所は拉致られなかったと胸を撫で下ろす。
トラブルが落ち着いたら重役連れてお礼に行くとしましょうかね。
トントン……カチャッ。
林『社長っ……大丈夫ですか?』
『えぇ……大丈夫ですよ。林君、今日はもう帰って良いですよ、甲斐君を下に呼んで貰えますか? 俺も帰りますから、デートの準備をして下さい。』
林『……はぃっ…(うちの社長やさしっ~♡)』
帰る頃には薬も効いてくる筈、一眠りしたら残りに手を付けますかね。
まだ降り止みませんね…雨……
甲『永四郎〜!さ、乗った!乗った!』
浮かれた甲斐君に急かされて敷地を出る。
いつもよりスピードが少しだけ早い。
『雨ですから、安全運転でお願いしますよ、甲斐君』
甲『分かってるさ〜!』
駅前を通り家までもう少し……
パパパッ!!!
バシャ…
クラクションを鳴らし車は勢いよく水溜まりを走り抜けてエントランスへの道へ進んだ。
『甲斐君、歩行者に水を掛けるのは違反ですよ!デート中はもっと安全運転しないと、嫌われますよ!』
甲『分かってるさ〜!……って、永四郎、デートにこの車で行っていいんば?』
『事故らない、ぶつけない、違反しない、安全運転、約束しなさいよ』
甲『永四郎ぉぉぉ!!!持つべきものは友やっし!!!』
『はい、お疲れ様。』
優しすぎますかね。、
あんなに楽しそうな甲斐君は久しぶりですから、たまには良いでしょう。
真面目に働いてくれていますしね。
跳ね上げた水溜まりの行方を知る由もない俺は、今日も遅くまで働いた。