比嘉 長編 初恋の人 (木手永四郎)
君の名は?
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林『社長、おはようございます。本日のスケジュールですが、9時に真田様がいらっしゃいます。昼食は11時より榊グループの榊様と、みくり亭を予約しております。14時より会議となります。それから…17時に真希様がお会いしたいと。如何なさいますか?』
朝から暑苦しい奴が来るかと思うと頭が痛い、食べた気にならない会食に、昨日のミスの言い訳会議ですか……
『17時はキャンセルで。』
林『……あの、理由は何とお伝えすれば……この間も会わない理由をと詰められまして……』
『会いたくないと……そのまま伝えて下さい。』
林『はい。』
『それとね、林君、あまり甲斐君をからかわないであげてくれますか? 彼はなんでも本気にしますからね。』
林『あのっ……社長っ.////……そのっ、』
『なんですか?』
横目で彼女に視線を向けると、強ばった顔で何か言いたげに視線をキョロキョロさせている。
『怒ってる訳ではありません、遊びなら程々にしてあげて下さいとお願いしているんです。田舎者は純粋ですからね………一応、俺の友人でもありますので、彼が泣く事になるのは面倒なんですよ。ね?林君。』
林『……はい。……あのっ、私、決して冷やかしではありませんっ!!! 甲斐さんは私の理想の人ですっ!縮毛矯正したらきっと社長よりイケメンです!』
『……ッ!!!……クククッ……縮毛矯正って……君ね……フフッ……見てみたいですね。では君が甲斐君に縮毛矯正をさせる事が出来たら、ボーナスを差し上げますよ!!!』
林『本当ですかっ!社長!!!』
『頑張って理想の人をイケメンにしてあげて下さいね。』
林『はい!頑張ります!!!』
もし甲斐君がツヤツヤストレートになったら絵葉書にして平古場君に送り付けましょうね。
いつもは凛としている林君が取り乱すなんてね、甲斐君も隅に置けませんね
さぁ、今日も一日気を引き締めて参りましょうか。
淡々と社長業務をこなして、味のしない会食を済ませ、ビクビクした部長連中に雷を落とす。
夏の賞与に響きますよと言うと、皆ペコペコしながら汗を拭く
『何の為に皆さんの給料が他の皆さんより高いと思いますか? ……部下のミスをカバーする為でしょう? ミスした者を叱るより私に任せなさいと言う所ですよね?部下のケツも拭けない上司なら要らないと思いませんか?…ん?、俺は何か間違ってますか?ミスをしない様に育てるのも、ミスをした後どう改善させるかも貴方方の腕の見せ所ですよ。さぁ、働いてその力を俺に証明して下さい。今回のマイナスを1番カバー出来た方に良い物を用意しましょうね。はい、解散。ご苦労様でした。』
青い顔の重役達を残して会議室を出る、
ちょっと一息着きたい所ですね。
メールをチェックしながら社長室へ戻る
前室に腰掛けた林が立ち上がり訴えるような目線でこちらを見ていた。
『林君、すみませんが珈琲をブラックでお願い出来ますか?』
林『はい。……あのっ、社長!』
『大至急お願いします。』
はぁ…… また頭が痛い。
取り敢えず珈琲を飲みながらメールの返事でもしますか。
いや、早めに甲斐君を帰宅させて上げた方がいいかもしれませんね、林君も。