学園テーマパーク

【第六話】


体をひきずられながら辿り着いた先は保健室の前。もちろん、本物ではなくセットだ。
コウセイは腕を掴まれたまま保健室のなかに連れていかれ、白いベッドの上に押し倒される。トモヤスは無言のままコウセイの腕を頭の上に縫い付ける。

「な、何を」驚いてコウセイは目を見開いた。これでは昨夜の場面と同じだ。
「いい?」「ダメだ」の押し問答のあと、結局、体を重ねることはなかったが。

コウセイが考えている間にも、着ているつなぎのファスナーを下ろされる。肩が出るほど前を大きく開かされ、肌にぴったり張りついたタンクトップがあらわになった。

「何する気だ?」

疑問に答えるわけでもなく、トモヤスの手はコウセイの肩から首やタンクトップの上までもすべっていく。
胸の突起辺りを親指でやさしく撫でられる。それだけでコウセイは顔を赤らめるのだが、トモヤスの半開きになった唇が胸に近づいてくると体を強ばらせた。
まさかこんなところで。
コウセイが半ばパニック状態でいると、トモヤスは後ろの襟を見せるほど首をもたげた。しかも両肩が震えるときている。

この男、笑っている。
満面に笑みを浮かべ、コウセイの目尻をなめた。

「コウセイ、ごめん。おれに何かされるって期待しちゃった?」

コウセイにとっては「はあ?」としか言えない状況だ。

「今はしないよ。夜のお楽しみにとっておく。それよりこれに着替えて」

トモヤスが差し出してきたのは茶色の紙袋。

「一応、おれも男だし、着替えるとこ見たら耐えられないから、ここは閉めておくね」

トモヤスはベッドの周りのカーテンを閉めた。カーテンごしのトモヤスの影は離れていき、「ちょっとトイレ行ってくる」と保健室から出ていった。

「というか、着替えるって何にだよ」

残された紙袋のなかにはコウセイを絶句させるものが入っていた。
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