【忘れろは、嘘】

【ベタなオチで会話文】


 余計な説明は省くことして、3人ははじめて同時に顔を合わせた。邦紀と蒼空と後輩の充で、花壇前のベンチに集合していた。

「で、これが後輩の安屋充」
「あ、どうも」
「充くんか、どうも、今回は色々迷惑かけたみたいで」
「充、ありがとうな」
「いいえ。邦紀せんぱい、また、いつでも来てくださいね。俺、諦め悪いんで」
「当分は来なくて済むと思うよ、俺が大事にするからね」
「そうですかね。わざとせんぱいを突き放すようなカビ臭さ野郎じゃ苦労する気がしますけど」
「い、言うね、充くん」
「ちなみに、俺の下の名前を呼べるのは邦紀せんぱいだけなんで、やめてくださいね、ウラカワせんぱい」
「み、充」
「でも、邦紀せんぱいを振らなかったのは、認めてやります。せんぱい、お幸せに」
「充。やっぱりお前って口は悪いけど、いいやつだな」
「いつでも来てください、せんぱい」
「お前、しつこい!」
「本性出したな、カビせんぱい!」
「お前こそ、無表情のくせに下心満載じゃん!」
「親友の顔して、むっつりのくせに!」
「もう親友じゃないし!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐふたり。
それを邦紀は嬉しそうに眺める。
「……お前ら、仲良いな」
「「良くない!!」」

〈おわり〉
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