短編
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春が好きだ。
桜が咲き始める頃の風の香りが好きだ。
ふわふわと心地よく、冬から春へ移り変わるこの瞬間が好きだ。
「さなちゃーん、そろそろいくよぉ」
「はぁい」
今日は万事屋でお花見。
わたしの行きたい気持ちをみんなが賛成してくれて、行くことになった。
前日にお団子を作って、神楽ちゃんと朝からいっぱいお弁当も作った。
最近料理を一緒にするようになった神楽ちゃんは今日はおにぎりの係り。
たくさん握るアル!とはしゃいでいた横で銀さんが茶々を入れたりして。
こんな風景も春だなと感じる。
「忘れ物ない?」
「大丈夫だろ」
戸を開けると強い風が吹いていた。
お登勢さんに見送られて、道を4人で歩き出す。
「晴れてよかったね」
「花見日和だ」
「咲いてるといいね」
「咲いてるのテレビで確認して出てきただろ」
「それもそうだ」
わたしが笑うと銀さんも嬉しそうに笑った。
銀さんは髪を2人にばれないように触れた。
2人ははしゃいでいて気づかない。
あれよあれよという間に先に行ってしまった。
「銀ちゃーーん!さなーー!遅いアルーーーー!!」
「神楽ちゃん!!あわわ、銀さん、先行ってますよーーー!!」
新八も神楽ちゃんも楽しそうだ。
春の風に流されるように先に行ってしまった。
「都合いいなぁ」
そう言って銀さんは手を握る。
2人になった時のお決まりごとのようなものだった。
「ふふ」
「すっげー楽しみにしてたもんなぁ」
「桜は好きな花だからね」
「さなが楽しみだと俺も嬉しいわ」
きゅっと銀さんが握る。
わたしもきゅっと握り返す。
体からしあわせな気持ちが溢れているし、それが春の暖かい風になってさらにふわりふわりと揺れる。
「ほんとは2人で行きたかったんだけどな」
「でも銀さん嫌でしょ?ばれるの」
「騒ぐしな。俺はさなとぐらい穏やかに生きたいんだよ」
ふぅん、とわたしは流す。
銀さんは噛み締めているようだった。
春も、わたしとも、神楽ちゃん新八とも。
そしてそれは彼の中に入っていって渦巻いて、消えて行く。
「銀さんはね、わたしのだからね」
「わかってるよ」
「わたしは、銀さんの?」
「当たり前だろ」
会話が春に流されていく。
風や街や人に流されていく春。
「決めたから、きちんと時が来たら話す。
心配すんな、ちゃんと考えてるよ。」
「べつに心配してなんか…」
「ここでキスしようか?」
銀さんは急に立ち止まって言った。
真剣だった。
髪がふわふわとなびく。
「冗談だよ」
「あんまりからかわないでよ…」
「あまりにもさなが心配そうだったからな」
「どっか行っちゃいそうだからね」
「どこにも行かねぇよ」
そう言って、銀さんは握る手を強めた。
彼の身体の方へ引っ張られて、密着する。
触れた箇所が熱い。
「俺だっていつもさなと同じ気持ちだよ」
「ほんと?」
「ほんと。今も触れた所が熱い。そうだろ?」
「馬鹿なの?」
「馬鹿だよ」
神楽ちゃんと新八の声が聞こえる。
桜は、ちょうど満開だった。
桜が咲き始める頃の風の香りが好きだ。
ふわふわと心地よく、冬から春へ移り変わるこの瞬間が好きだ。
「さなちゃーん、そろそろいくよぉ」
「はぁい」
今日は万事屋でお花見。
わたしの行きたい気持ちをみんなが賛成してくれて、行くことになった。
前日にお団子を作って、神楽ちゃんと朝からいっぱいお弁当も作った。
最近料理を一緒にするようになった神楽ちゃんは今日はおにぎりの係り。
たくさん握るアル!とはしゃいでいた横で銀さんが茶々を入れたりして。
こんな風景も春だなと感じる。
「忘れ物ない?」
「大丈夫だろ」
戸を開けると強い風が吹いていた。
お登勢さんに見送られて、道を4人で歩き出す。
「晴れてよかったね」
「花見日和だ」
「咲いてるといいね」
「咲いてるのテレビで確認して出てきただろ」
「それもそうだ」
わたしが笑うと銀さんも嬉しそうに笑った。
銀さんは髪を2人にばれないように触れた。
2人ははしゃいでいて気づかない。
あれよあれよという間に先に行ってしまった。
「銀ちゃーーん!さなーー!遅いアルーーーー!!」
「神楽ちゃん!!あわわ、銀さん、先行ってますよーーー!!」
新八も神楽ちゃんも楽しそうだ。
春の風に流されるように先に行ってしまった。
「都合いいなぁ」
そう言って銀さんは手を握る。
2人になった時のお決まりごとのようなものだった。
「ふふ」
「すっげー楽しみにしてたもんなぁ」
「桜は好きな花だからね」
「さなが楽しみだと俺も嬉しいわ」
きゅっと銀さんが握る。
わたしもきゅっと握り返す。
体からしあわせな気持ちが溢れているし、それが春の暖かい風になってさらにふわりふわりと揺れる。
「ほんとは2人で行きたかったんだけどな」
「でも銀さん嫌でしょ?ばれるの」
「騒ぐしな。俺はさなとぐらい穏やかに生きたいんだよ」
ふぅん、とわたしは流す。
銀さんは噛み締めているようだった。
春も、わたしとも、神楽ちゃん新八とも。
そしてそれは彼の中に入っていって渦巻いて、消えて行く。
「銀さんはね、わたしのだからね」
「わかってるよ」
「わたしは、銀さんの?」
「当たり前だろ」
会話が春に流されていく。
風や街や人に流されていく春。
「決めたから、きちんと時が来たら話す。
心配すんな、ちゃんと考えてるよ。」
「べつに心配してなんか…」
「ここでキスしようか?」
銀さんは急に立ち止まって言った。
真剣だった。
髪がふわふわとなびく。
「冗談だよ」
「あんまりからかわないでよ…」
「あまりにもさなが心配そうだったからな」
「どっか行っちゃいそうだからね」
「どこにも行かねぇよ」
そう言って、銀さんは握る手を強めた。
彼の身体の方へ引っ張られて、密着する。
触れた箇所が熱い。
「俺だっていつもさなと同じ気持ちだよ」
「ほんと?」
「ほんと。今も触れた所が熱い。そうだろ?」
「馬鹿なの?」
「馬鹿だよ」
神楽ちゃんと新八の声が聞こえる。
桜は、ちょうど満開だった。