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USJ







「環先輩!こんにちは!」

3年生の教室に堂々と入ってきたレイに教室は騒然。相手が天喰で、しかも下の名前呼びだからというのもある。
昼休み始まって数分の出来事だから教室にはほとんどの人がいて、その視線の中心となった天喰は猫背を更に倒して机に頭をぶつけた。
そんなことお構い無しに席の前へやって来てケーキでも入れるような箱を置いた。

「左から順に甘いから控えめまで入ってますのでもし苦手でも食べられます!多かったら誰かに差し上げてもOKですので。怪我はあの後リカバリーガールに治して頂いたんで綺麗さっぱり無くなりました!では、私午後からヒーロー基礎学があるので失礼します。良かったら今度感想聞かせてください。失礼します!」

口を挟む余裕は一切ない。捲し立てて去る嵐の様な存在が置いていって爆弾は自身の机の上に鎮座。開けようと手を伸ばした瞬間我に返ったクラスメイトに質問責めに合う。助けて。




ーーーーー




「今日のヒーロー基礎学は俺とオールマイトともう1人の3人体制で見ることになった」

なった、ってことは先日のマスコミが関係してるのかな。コスチュームに着替えて委員長になった飯田の指示でバスに乗り込んだ先はまさにU(うその)S(災害や)J(事故ルーム)。
プロヒーロー13号先生から増えていく小言と名演説を聴きながら周りにバレないよう欠伸を噛み殺す。私無個性だから聞いてもムダムダ。

「そんじゃあまずは…」

手すりによしかかっていた体を起こした相澤先生はピタリと足を止めて噴水のある方を見た。
同じ方角を見ると噴水の近くに黒煙のようなものが揺らめいていた。ただしそれはただの黒煙じゃない。全身を駆け巡る悪寒がこれからの身の危険を知らせていた。

「先生!!」

「ひとかたまりになって動くな!!」

先生に危険を叫べば、怒声ともとれるほどの大きな声で私たち生徒に指示する。
私が感じたものが皮肉にも間違いじゃなかったと証明された。ああ。殺意と悪意に震えが止まらない。

「あれは敵だ!!」

黒煙が広がって、その中心から人が出る。1人、また1人。かなりの数の敵に生徒側に緊張が走る。

「おかしいですね。カリキュラム通りならここにオールマイトも居たはずなのですが」

顔が黒煙の男が確かにそう言った。カリキュラムと。どうして雄英の授業の内容をコイツらが知ってるんだ。

「せっかくこんな大衆連れてきたのにオールマイトがいないなんて……子供を殺せば来るかな」

侵入者用のセンサーは鳴らない。それは向こうにそういうことができる個性がいて、そしてこのUSJの施設内から出さないと敵が宣言してるようなものだ。
轟の言う通り、これは目的がかって用意周到に画策された奇襲。相澤先生は13号に生徒を逃がすようにいい、自分は広場の敵目掛けて突っ込む。
早く逃げようとする私たちに、いつの間にかここまで上がってきたのか黒煙の男が個性を広げた。

「初めまして我々は敵連合。僭越ながら雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴オールマイトに息絶えて頂くため」

「…は?」

誰かの声が皆思ってることを代弁してくれる。
その瞬間2人が動いた。爆豪と切島。先制攻撃のつもりだろうが、違う。13号が後手に回った。個性ブラックホールがこの2人が邪魔で使えないのだ。

「どけバカども!」

「邪魔すんなクソ女!!」

「邪魔はてめぇだ!!」

横からタックルする勢いで2人一緒に突き飛ばすが、遅かった。黒いモヤが大きく広がってみんなを吸い込んでいく。

「散らして、嬲り殺す」

視界が闇に染まる中で男の声だけがハッキリ聞こえてゾクリと肌が泡立つ。ぐるぐるどこかへ落下していく感覚。落ちてく方へ体制を立て直して着地する準備ができた途端に視界が晴れる。
闇から光へ、目が一瞬白に覆われたがすぐに慣れてボロボロのビルへ無事着地した。
大きな爆発音に顔を向けると爆豪と切島が既に敵と戦っていた。ああ。これだよ。このピリつく空気。懐かしい。

「おい女が震えてらぁ!」

「ひひ!上物じゃねぇか」

俯いてるからか、私の表情は見えないらしい。
だがこの顔はダメだ。きっとヒーローらしかぬ顔で笑ってるはず。ダメだダメだ。顔引きしめて。

「おい大丈夫か!?」

切島の声に顔を上げて頷く。切島はなんとなく想像つくがなんと爆豪も、私を守ろうと目の前に立っていた。すごい。普段の横暴さからかけ離れてる姿。こんな状況だけどギャップ萌え。

「戦えやクソ女!」

「震えてるのは、武者震いだよ」

自分で驚くぐらい低音の声だった。しかし敵に向かって走り出した足は止まらずに勢いよく敵を吹っ飛ばしていく。

「身体強化の個性か!」

私は無個性だっての。これぐらい努力すれば誰でもできる。途中で諦めるか、プルスウルトラするかの違いだ。
湧いて出てくる敵を軽々とぶっ飛ばしながら棒付きキャンディの包み紙を開けて口に入れる。おっいちご味。

「こっち飛ばしてくんなやクソ女!!」

「そんなのも避けれないの?」

「上等だ!全部爆破してやる!!」

煽られ耐性無さすぎか。あれだけオラついてるのにされたことないのか。いや、プライド高そうだもんなぁ。そして器用だから全部できちゃうっていう天才ぶり。羨ましい。






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