入学
ジャージに着替えてグラウンドに移動。
全員が集まれば先生はこれから個性把握テストをするといった。
入学式やガイダンスはないらしい。まぁ長い話を聞かされても眠くなるだけだ。万歳。
しかし誰かが発した余計な一言で、テスト最下位は除籍となった。
おい、この世界のマンガどうなってるんだ。
私というイレギュラーがいたとしてもコレはさすがに原作通りなはずだよな…?作者の発想力すごいよ。
このマンガ読んでたら絶対ハマってたよ。
「1番除籍の可能性が高いのは補欠の治田だからな」
名指し…!?そこまでするか??
「治田ってあいつか?」
「先生ガン見じゃん」
「あれ?外人さんじゃねぇの?」
「やべぇおっぱい」
最後に連れておかしいぞ。個性派すぎるだろ。
「だからって手抜くなよ。まずは50メートル走だ。出席番号順に並べ。治田は最後」
「…はい」
殺しそうな勢いで睨み付ける。それを見た周りは引くが睨まれてる本人は50メートル走の位置に移動している。
先生自ら除籍の可能性が高いと宣告されて、良くも悪くも彼女に注目が集まっていた。最後というのもあって注目されやすい。
スタートの位置に立って、クラウチングスタートの姿勢に入る。
スタートの合図と共に走る。もう必死に。後ろから猛獣が追いかけて来て捕まったら死ぬと思って。
「4秒01!」
「おお!!」
クラスメイト達の驚きの声が後ろから聞こえる。あとちょっとで切れたのに。
列に戻る途中で鋭い眼光で睨まれて思わず止まってしまった。朝から大声で怒鳴っていたツンツン君。
なんで睨まれなきゃならないんだ。
そんな意味を込めて小首を傾げながら微笑むと人でも殺しそうな眼光でさらに強く睨まれる。
握力、立ち幅跳び、反復横跳び、ボール投げ、上体起こし、最後に長距離走。
そこそこいい成績を残してやっと長距離走。
これは上位に入れる自信がある。あの短距離走のペースで2キロは走れるんだから。
全員がスタートに立って開始の合図を待ち、走る。全員がそれぞれのペースで走る中、ずば抜けて飛ばす存在に当然意識が向く。
「まだ序盤だぜ!?」
「すぐバテるのがオチだろ」
「…って八百万まさかのバイク!?」
バイク、その声に振り返らずに前だけを見る。
この風を切る瞬間が好きだ。早く流れる景色も、運動で限界まで熱を上げる体も。自然と笑みが零れる。
まだ1周目のクラスメイトの背中を追い越す。
そういえばバイク乗ってる割に全く追いついてこないな。好都合だけど。
当然のように1位の座に着いて、息を整える。
「よゆー」
バイクから降りてヘルメットを外した八百万に何か言いたげな顔をされた。言えばいいのに。
ーーーーー
全員がゴールして競技の記録を合計した順位が出された。
私の結果は割といい2位だ。
1位は八百万で私の下に轟って人。車3つ書いてなんて読むんだこれ。読めない。
ああ、そういえば除籍は誰だ?あれ、主人公じゃん。じゃああの除籍って、、、
「合理的虚偽」
だよね。嘘じゃなきゃ物語終わる。
てかオールマイトさっきから木の影に隠れて何してるんだ?誰かクラスメイトの中で気になってる人いたり、かな。ああ、主人公か。
あんな有名人が誰か1人の生徒を気にかけるとしたら主人公しかいないよね。
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