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青の祓魔師×名探偵コナン






小学校からの帰り道、白杖で地面を探る女性を見つける。先回りして女性の姿を正面から見て確信する。あの不可解な現象の中心にいた人物、結月楓さんだと。

「こんにちは結月さん」

「、あの時の子供。もう下校時間」

「そうだよ!どうして下校時間ってわかったの?」

「ランドセルの、皮に書物が擦れる音がするからですよ。あと筆入れの音も」

耳がいいんだね、と当たり障りのない反応を返して自分の名前が江戸川コナンだと名乗る。珍しい名前、と帰ってきたいつもの反応に苦笑い。

「コナン君!急に走ってどうしたの?このお姉さんと知り合い?」

いくつもの小さな足音に結月さんがピクリと反応して少しだけ後ずさるような動きを見せた。
急に近付く足音が怖いのかもしれない。

「この人は前に事件の時に証言してくれた人で、結月楓さん。あまり結月さんに迷惑かけんじゃねぇぞ」

「あ!お姉さん目に包帯してる!」

「怪我して見えないんですか!?」

「俺らが助けてやろうぜ!なんたって俺たちは…」

少年探偵団!!と声高々に名乗りあげる。
周りをウロウロして結月さんも動くに動けない状態。まだ一言も話してない状態から、ゆっくりしゃがんで掌を上にして手を少しだけ伸ばした。

「結月楓よ。少年探偵団さんたち。私目が見えないから道案内してくれるととても助かるわ。ちょっと疲れちゃって、休憩できる場所知らない?」

「それならポアロがいいぜ!」

「そうですよ!喫茶店で料理をとても美味しく作ってくれるカッコイイ店員さんがいるんですよ」

「サッカーやめてポアロ行こー!!」

「お、おい、お前ら!」

コナンの声も聞こえない程テンションが上がった状態で、目の見えない人が子供に勢いよく手を引かれたらどうなるか。
答えは簡単。バランスを崩して身体を勢いよくコンクリートで打ち付ける。
子供達は彼女の手を離して、してしまった失態に顔から血の気を引かせて大丈夫かと、ごめんなさいと声をかけた。

「大丈夫ですよ。なのでそんなに慌てないでください。次からはゆっくりお願いしますね」

よろけながら立ち上がったら手をゆっくりと支えて、そして十分すぎるほど遅い歩みで歩き出す。
亀の方が早いんじゃないかと疑うほど。
コナンは呆れるが子供達は真剣に結月さんの手を引いていて、急かせることも出来ない。
ボアロに着いたのは日が沈みかけた時間帯。
もう少しくらい遅くなっても大丈夫だと、結月さんのボディガードかのようにピッタリ張り付いて座る。

「いらっしゃい。今日は新しいお客さんも連れてきたんだね。初めまして安室透といいます」

「結月楓です。この子達にそれぞれ好きなジュースご馳走様して下さい。私はアイスティーで」

やったあ!と喜び自分が今飲みたいジュースを注文していく。コナンだけはアイスコーヒーを頼んで、結月さんに大人ね、と誉められて苦笑い。見た目が子供でも中身は高校生だから喜ぶにも喜べない。
安室さんが注文した飲み物を持ってくる。
子供達の前に置いて、最後に結月さんの前に。
恐る恐るといった様子で手を伸ばす彼女に、安室さんは彼女の手を取ってコップとストローを握らせる。

「ありがとうございます。とても優しいんですね」

「いえいえ…それよりも、どこかでぶつけたり転んだりしましたか?」

「…先程少しだけ」

「血がテーブルに着いていたからわかったんですよ。手当てしましょう。少し移動しますね」

彼女が肘を置いたと思われる位置に少し血が付着していた。子供目線のコナンからは見えにくい場所だった。だが背もたれにも僅かな血痕が残っていた。見逃すなんて不覚だとでも言うように関係ない安室さんを厳しい眼差しで見てしまう。
その視線にも笑って返して、彼女を軽々と持ち上げる。急に来た浮遊感に手をばたつかせて安室さんの不自然な部分の服を掴むが、すぐ近くの手当しやすい場所へ謝罪と共に降ろされた。

「袖、捲りますね」

しっかり椅子を動かして、安定して座れるように背もたれまで導く。完璧な気の使い方である。
黒服で分かりずらかったが、肌を見たらわかる。思ったより肘全体の皮膚が傷付いてまだ固まってない血が着いていた。
これに落ち込むのは子供たち。不要に急かせた結果が彼女の怪我だからだ。

「ごめんなさいお姉さん。僕たちこんなに怪我してるって知らなくって」

「あぁ…大丈夫よ。だって私見えないからこの傷?がどれだけの大きさなのかわからないし」

これくらい?と十円玉程度の大きさの輪を指で作るが、子供たちは違うよこのぐらいだよ!と小さな手2つで大きな輪を作って見せていた。
コナンは結月さんそれだと見えない、と言おうとしたが彼女は笑って大きいね、と言った。
話の流れから合わせたのかもしれない。
しかし以前の彼女の動き、まるで全て見えてるかのような姿を知っているからか実は今も包帯の隙間からでも見えてるんじゃないかと疑う。

「コナン君、どうしたんだい」

手際よく手当てをし終わった彼が、コナンが警戒する姿を見て笑顔で聞いてくる。
ここがポアロだったことを思い出す。

「ううん!なんでもないよ」

深く追求されることもなく立ち上がった安室さんを引き止めたのは結月さんだった。

「安室さん、御手を」

「はい、なんでしょう」

一瞬、動きが止まったものの彼女が差し出した掌の上に手を重ねる。
軽く握られ、彼女の反対の手で手の甲に十字を優しく書かれた。

「あまり廃墟や暗い場所に入ってはいけませんよ。お身体をご自愛ください」

「あ、はぁ…ありがとうございます」

不思議と、身体が軽くなったような気がする。と安室は離された手を何度か確認するように拳を作る。
コナンは何をしたのかトリックを見破ろうとするかのように2人を食い入るように見つめた。
しかし何も分からない。
安室がカウンターに向かったのを見送って彼女本人へ聞くことにする。

「今のって何したの?」

「…彼、憑かれやすいみたいだからちょっとだけおまじない」

「確かに安室さん忙しいから疲れてそうだけど」

「…そうでしょ」

それだけしか言われなかった。
その後は子供たちとゆったりとした時間を過ごして、遅い時間に鳴る前に安室の声でその日は解散になった。
結局、結月さんの招待は分からないまま。
心の中のモヤモヤが解消されることはなかった。





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