1.始まり
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糸織さん、櫻木さん、七瀬さん、霧生さん、有明さん、……と、名前だけ聞こえてきた早乙女さん。
あと一人は?
「あの、すみません。あと一人の方って」
手を挙げて聞けば全員で目を合わせて、あと一人? と首を傾げた。
「そういえば糸織さん、オレらの紹介はしてましたけど、主任たちの話しました?」
「もちろん。今いないのと、その理由と……」
「はーい、俺横で聞いてたけどこの人主任の名前も何も言ってませーん」
「……うっそ!」
七瀬さんに聞かれて答える糸織さん、そしてそれに茶々を入れるように口をはさむ櫻木さん。子供のように目を丸くしてふためく彼に、かつてチーフ……主任であったという事実に少しばかり首を傾げることになった。少々子供らしいところはあれどしっかりした人に見えていたが、思ったよりも抜けているらしい。
「ええっと……ごめんなさい、僕のミスで……今から軽く紹介しますね」
しょげた様子で口を開く糸織さんを、櫻木さんが愉しげに笑っていた。
「まず名前出してなかった子の方から話そうか。……九重 優希 さん、うちで唯一の、女性刑事だよ」
少しばかり中性的な名前だ、そんな印象を抱く。
紅一点の刑事。どのような人なのだろう。この部署ができてから約半年。その年月をこの集団で過ごすことができるのだから、いい人なのだろう。……どうにも手玉に取っている、というようには聞こえない。
「真面目な子で……ちょっとキツイところもあるかもしれないけど、悪い子じゃないよ。仲良くしてあげてね」
ふわりと糸織さんが微笑んだ。
「それから主任の早乙女 一輝 くん。彼も真面目な人で、優秀な子だ。階級は警部。一番上だね」
「ここの設立に伴って、でしたっけ?昇任」
七瀬さんが口を挟む。
「まぁ概ね。丁度席も空いたみたいだったからね」
そう言って言葉を締めた。
ちら、と櫻木さんが時計を見る。
「昼っすね。今日はこっからどーするんです」
彼が糸織さんに目線を向ければ、全員の視線が黒髪の彼に集まった。
元主任ということもあり、ここでも頼りにされているのだろうか、それとも……。
きょと、とした顔の糸織さんは数度瞬きをした後、「ああ」と声を漏らした。
「そうだね。まずは七瀬くんと夢崎さんに仕事に慣れてほしいし……ちょっと軽く調査にでも行ってもらおうかな。少し郊外のほうにある廃ビルなんだ。よく気を付けること。詳細は追って説明と資料を配布するから」
「はい」
糸織さんと七瀬さんの雰囲気が変わる。硬い表情と声色で淡々と会話していく彼らが、すっと目を細めてこちらを見た。
「いい?」
糸織さんが聞く。
一つうなずいて言葉を返せば、彼は満足そうに笑って頷き返した。
「よし。それじゃあ次ね。僕と櫻木くんは東の地区を中心に警邏。知ってると思うけど不穏な噂が最近あるからね」
けだるげに櫻木さんが返事をする。
「最後に、有明くんと霧生くんはここで待機。なにかあったら動けるようにしておくことと、前回の資料をまとめておいてください」
元気に返事をする霧生さんと、強張った表情の有明さん。
「午後は以上で行動する。なにかあれば可能な限り連絡、あるいは記録を行うこと。それじゃあ各々昼休憩。きちんと食うこと」
パンッと手を軽く叩いた糸織さんを合図に、それぞれが先ほどの雰囲気に戻る。
「夢崎さぁん」
七瀬さんに呼ばれる。顔を見れば、垂れた優しそうな目が細められた。
「一緒に飯食いましょ。いっぱい買ってきたのもありますし、一時的とはいえバディなんで。午後から一緒に仕事だし、ちょっとでも仲良くなっときたいなぁ~って」
ヘラヘラと笑う彼に、気づけばその提案を承諾していた。
あまり、人と関わるのは得意じゃないのだけど。……。
あと一人は?
「あの、すみません。あと一人の方って」
手を挙げて聞けば全員で目を合わせて、あと一人? と首を傾げた。
「そういえば糸織さん、オレらの紹介はしてましたけど、主任たちの話しました?」
「もちろん。今いないのと、その理由と……」
「はーい、俺横で聞いてたけどこの人主任の名前も何も言ってませーん」
「……うっそ!」
七瀬さんに聞かれて答える糸織さん、そしてそれに茶々を入れるように口をはさむ櫻木さん。子供のように目を丸くしてふためく彼に、かつてチーフ……主任であったという事実に少しばかり首を傾げることになった。少々子供らしいところはあれどしっかりした人に見えていたが、思ったよりも抜けているらしい。
「ええっと……ごめんなさい、僕のミスで……今から軽く紹介しますね」
しょげた様子で口を開く糸織さんを、櫻木さんが愉しげに笑っていた。
「まず名前出してなかった子の方から話そうか。……
少しばかり中性的な名前だ、そんな印象を抱く。
紅一点の刑事。どのような人なのだろう。この部署ができてから約半年。その年月をこの集団で過ごすことができるのだから、いい人なのだろう。……どうにも手玉に取っている、というようには聞こえない。
「真面目な子で……ちょっとキツイところもあるかもしれないけど、悪い子じゃないよ。仲良くしてあげてね」
ふわりと糸織さんが微笑んだ。
「それから主任の
「ここの設立に伴って、でしたっけ?昇任」
七瀬さんが口を挟む。
「まぁ概ね。丁度席も空いたみたいだったからね」
そう言って言葉を締めた。
ちら、と櫻木さんが時計を見る。
「昼っすね。今日はこっからどーするんです」
彼が糸織さんに目線を向ければ、全員の視線が黒髪の彼に集まった。
元主任ということもあり、ここでも頼りにされているのだろうか、それとも……。
きょと、とした顔の糸織さんは数度瞬きをした後、「ああ」と声を漏らした。
「そうだね。まずは七瀬くんと夢崎さんに仕事に慣れてほしいし……ちょっと軽く調査にでも行ってもらおうかな。少し郊外のほうにある廃ビルなんだ。よく気を付けること。詳細は追って説明と資料を配布するから」
「はい」
糸織さんと七瀬さんの雰囲気が変わる。硬い表情と声色で淡々と会話していく彼らが、すっと目を細めてこちらを見た。
「いい?」
糸織さんが聞く。
一つうなずいて言葉を返せば、彼は満足そうに笑って頷き返した。
「よし。それじゃあ次ね。僕と櫻木くんは東の地区を中心に警邏。知ってると思うけど不穏な噂が最近あるからね」
けだるげに櫻木さんが返事をする。
「最後に、有明くんと霧生くんはここで待機。なにかあったら動けるようにしておくことと、前回の資料をまとめておいてください」
元気に返事をする霧生さんと、強張った表情の有明さん。
「午後は以上で行動する。なにかあれば可能な限り連絡、あるいは記録を行うこと。それじゃあ各々昼休憩。きちんと食うこと」
パンッと手を軽く叩いた糸織さんを合図に、それぞれが先ほどの雰囲気に戻る。
「夢崎さぁん」
七瀬さんに呼ばれる。顔を見れば、垂れた優しそうな目が細められた。
「一緒に飯食いましょ。いっぱい買ってきたのもありますし、一時的とはいえバディなんで。午後から一緒に仕事だし、ちょっとでも仲良くなっときたいなぁ~って」
ヘラヘラと笑う彼に、気づけばその提案を承諾していた。
あまり、人と関わるのは得意じゃないのだけど。……。
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