入学試験~USJ事件
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教室に近づくと、何やら言い合いしているような声が聞こえた。ヒーロー科って意外と血気盛んな子が多い感じ?
期待と不安が半々になりつつも手にぐっと力を入れて馬鹿みたいに大きな教室の扉を開けた。
「くそエリートじゃねぇか、ブッ殺しがいがありそうだな」
「君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」
うーん、それはそう。流石にメガネの子に同意。会話の流れは分からないけど、赤目の子の口が悪いことは分かる。…これが、雄英の、ヒーロー科かぁ。個性的な子ばかり。緊張するけど、早くクラスメイトとしてみんなと仲良くなりたいな。
最初は誰に声かけよう、とキョロキョロしていると、廊下の下の方から声がした。下の方から?こえ?
チラリと覗くと、寝袋に入った男の人がごそり、と抜け出すところだった。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
「よろしくお願いしま〜す」
よく分からないままに返事をすると、教室がシーンと静まり返った。
…あれ?
…えっ返事するタイミングじゃなかった?
「…早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
そう言い残すとまたのそのそ…と先生らしい人は、(おそらく)運動場に向かって行った。
えーん、お友達作る時間ぐらいちょうだい!
『個性把握…テストォ!?』
おぉ、みんなすでに心が一つになってる。もちろん私も同じ気持ち。一体何するんだろう?
先生が言うには、"個性"禁止の体力テストは合理的じゃない、らしい。
爆豪と呼ばれた、柔らかな金髪のツンツンした髪の子がボールを受け取り前に出た。
「んじゃまぁ、…死ねぇ!!」
FABOOM!!と轟音、少し遅れてすごい風が顔に当たる。ドライアイになりそう。…ていうか死ねって言った?
"個性"を使った体力テストに浮き足立つみんなを見て、先生はなんだか呆れたような、めんどくさそうな顔をした。…なんだか嫌な予感。
「面白そう…か。ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
「…」
「よし、トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?」
「え、本気で?」
流石にぶっ飛んだ意見すぎる。除籍されたら入学金とか、返してもらえるのかな。そもそも、私ってこのクラスだとどれくらいの順位なんだろう。どこまでやれるんだろう…?
特定のレベル以下は、ではなく最下位は、ってなると必ず除籍者が出ることになる。わざわざ選抜した合格者をそんな簡単に除籍にするのは、合理的なのかな。…ってなるとブラフ?にしては目がガチすぎる……!
「ようこそ、これが、雄英高校ヒーロー科だ」
そういう先生の目に、声に、気迫に、雄英高校の本気を感じた。
さて、先生の言う、Puls Ultraを実践しないとどうしようもないみたいだし、やれるだけのことをやろう、と体操をしておく。
1種目目 50m走
番号順に次々と記録をとっていく。最速は…飯田くんの3秒04か。はや〜!みんなの個性を観察しつつ、自分の個性の使い方を考える。まぁ、手っ取り早いのはゴール地点を標にして自分自身を飛ばすことかなぁ。
「次、高瀬。」
「はーい。…よし。」
軽くジャンプして…最速で標まで飛ぶ!!
体がぐっと前に引かれ、一瞬で周りの景色が流れていった。
「うわ、なんの個性だ!?」
「すご、4秒58だ!」
「お〜思ったより早く飛べたみたい。良かった!」
他にも握力測定、反復横跳び等一般的な体力測定の項目をこなしていく。反復横跳びみたいな俊敏性が求められる種目だと、個性の本領を発揮しにくい。お陰で個性なしの時とあんまり変わらなかった。
そして、第5種目 ボール投げ
ここでまさかのお茶子ちゃんが、記録♾を出した。
「えぇ!?そんな記録出ることあるんだ!」
「麗日すげー!!」
お茶子ちゃんの個性、災害時とかにめちゃ役立ちそう。すごい。私だと…目視できなくなるとこまでしか飛ばないかなぁ。何とか程々の値を出して戻ると、ボール待ちで休憩していたらしいピンクの子、もとい芦戸三奈ちゃんが駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ、50m走、凄かったね!どんな"個性"なの?」
「えっとねぇ、見せたほうが早いかな。」
近くに落ちていた小石を指差して、その後到達地点を指差した。
「この小石の目的地をあそこ!って設定すると―…」
小石がヒュンっと目的地まで一直線に飛んでいく。
「こんな感じ!」
「へ〜!」
「見えてるものに、『行き先』を決める個性なんだ。」
「使い勝手良さそう!」
「みんなの個性も教えてよ〜!」
A組女子がわっと集まってきたため、そのまま個性暴露大会だ。先生に怒られない程度に情報交換兼話に花を咲かせる。女の子の数少ないから、仲良くできそうでよかった〜!
一通りの測定が終わった子同士で喋りながら残りの子を見てると、緑谷くんの番が来たようだ。試験で0点ロボをぶっ飛ばしてた子…と、おそらく同一人物だと思うんだけど、今までの種目では個性を使っていなかった。
一日の使用制限があるとか、超パワーの引き換えに反動が大きい個性なのかな。
「次、緑谷。」
「は、はい…!」
緑谷くんはすごく思い詰めた顔をしたまま進んでいく。
そして、覚悟を決めた顔をしてグッと力を入れてボールを投げた。ように見えたが、結果は46m。個性を使ったようには見えなかった。
「な…今、確かに使おうって…」
「"個性"を消した。」
「!?」
細かい話は聞こえないものの、緑谷くんが抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!と叫ぶのが聞こえる。ヒーローに詳しくないから分かんないけど、話の流れからして先生は"個性"を消す"個性"?らしい。
何やら指導を受けている緑谷くんにみんなもざわついている。緑谷くんは思い詰めた顔でブツブツと何かを呟いていた。
爆豪くんは、除籍宣告でもされたんだろと吐き捨てるように言った。…でも。緑谷くんのあの顔は、絶望の顔じゃなくて、むしろ…
緑谷くんがもう一度大きく振りかぶった。その腕…違う、指先だけがきらりと光り、指先だけに個性を使ったのが見えた。ボールがビュンと爆豪くんの時と大差ない速さで飛んでいく。
「…先生……!まだ、…動けます!」
その一言に、個性の使い方に、先生がどんな顔をしていたかは見えない。てっきり、最下位の可能性が高い緑谷くんを先生は見込みなしと捨てるつもりでいたのかと思ったけど…どうなっちゃうんだろう。
「緑谷の最後の爆発力すごかったね!」
「やっとヒーローらしい記録出したよーー!」
「そうだね、でも…最下位は、最下位。緑谷くんは…除籍になっちゃうのかな…。」
「ううーん、…結果を聞くのが怖いぃ〜!」
お茶子ちゃんはとりあえず結果が出たことに喜び、三奈ちゃんが頭を抱えている。三者三様の反応だ。たとえ自分が最下位じゃなくても、誰かが除籍になるかと思うと怖いよね…。この後の結果発表を思い気分が下がっている中、それを振り切るように目の端を何かが飛び出した。
「どーいうことだこら、ワケを言えデク!」
バチバチと爆破の個性を出しながら緑谷くんに掴みかかろうとする爆豪くんに、先生の止めが入った。先生の個性は『抹消』、相手の個性を消せるらしい。でもドライアイ。…有能なのに難儀な個性の人だなぁ。
先生に止められた後も、爆豪くんは何か切羽詰まったような、ありえないものを見たような顔で緑谷くんを睨みつけていた。あの2人は、何か確執でもあるのかな。
…そして、結果発表!!流石に除籍ではないと思うけど…必ず最下位の人がいる。そして、それは除籍を意味する…そう思うとなんか…胸?お腹?が痛い……。先生前言撤回してくれたりなんか「ちなみに除籍は嘘な」…??
「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」
そう言って相澤先生はハっと乾いた笑いをこぼした。みんなが驚く中、八百万百ちゃんは冷静に、ちょっと考えたら分かりますわ…と零していた。
えぇ、嘘だったのぉ…?私はさっきまで完全に信じきっていたよ。見抜いた百ちゃん、凄すぎる〜。
この学校はいきなり除籍なんて言う破天荒なところもあるけど、だけど、しっかりと私たちがヒーローになれるかを見定めてくれている、そんな気がした。現に、先生は結果だけじゃなくて、その過程を見た。個性をどう活かすのか、その考える余地をくれた。
「私も、個性の使い方考えなくちゃ!」
「おっ高瀬やる気だね〜私も酸の使い道って難しいし、これから一緒に頑張ろ!!」
「私も透明化の活用方法考えるぞ〜!」
「三奈ちゃん、透ちゃん、これから一緒に頑張っていこうね」
「お〜!」
期待と不安が半々になりつつも手にぐっと力を入れて馬鹿みたいに大きな教室の扉を開けた。
「くそエリートじゃねぇか、ブッ殺しがいがありそうだな」
「君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」
うーん、それはそう。流石にメガネの子に同意。会話の流れは分からないけど、赤目の子の口が悪いことは分かる。…これが、雄英の、ヒーロー科かぁ。個性的な子ばかり。緊張するけど、早くクラスメイトとしてみんなと仲良くなりたいな。
最初は誰に声かけよう、とキョロキョロしていると、廊下の下の方から声がした。下の方から?こえ?
チラリと覗くと、寝袋に入った男の人がごそり、と抜け出すところだった。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
「よろしくお願いしま〜す」
よく分からないままに返事をすると、教室がシーンと静まり返った。
…あれ?
…えっ返事するタイミングじゃなかった?
「…早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
そう言い残すとまたのそのそ…と先生らしい人は、(おそらく)運動場に向かって行った。
えーん、お友達作る時間ぐらいちょうだい!
『個性把握…テストォ!?』
おぉ、みんなすでに心が一つになってる。もちろん私も同じ気持ち。一体何するんだろう?
先生が言うには、"個性"禁止の体力テストは合理的じゃない、らしい。
爆豪と呼ばれた、柔らかな金髪のツンツンした髪の子がボールを受け取り前に出た。
「んじゃまぁ、…死ねぇ!!」
FABOOM!!と轟音、少し遅れてすごい風が顔に当たる。ドライアイになりそう。…ていうか死ねって言った?
"個性"を使った体力テストに浮き足立つみんなを見て、先生はなんだか呆れたような、めんどくさそうな顔をした。…なんだか嫌な予感。
「面白そう…か。ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
「…」
「よし、トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?」
「え、本気で?」
流石にぶっ飛んだ意見すぎる。除籍されたら入学金とか、返してもらえるのかな。そもそも、私ってこのクラスだとどれくらいの順位なんだろう。どこまでやれるんだろう…?
特定のレベル以下は、ではなく最下位は、ってなると必ず除籍者が出ることになる。わざわざ選抜した合格者をそんな簡単に除籍にするのは、合理的なのかな。…ってなるとブラフ?にしては目がガチすぎる……!
「ようこそ、これが、雄英高校ヒーロー科だ」
そういう先生の目に、声に、気迫に、雄英高校の本気を感じた。
さて、先生の言う、Puls Ultraを実践しないとどうしようもないみたいだし、やれるだけのことをやろう、と体操をしておく。
1種目目 50m走
番号順に次々と記録をとっていく。最速は…飯田くんの3秒04か。はや〜!みんなの個性を観察しつつ、自分の個性の使い方を考える。まぁ、手っ取り早いのはゴール地点を標にして自分自身を飛ばすことかなぁ。
「次、高瀬。」
「はーい。…よし。」
軽くジャンプして…最速で標まで飛ぶ!!
体がぐっと前に引かれ、一瞬で周りの景色が流れていった。
「うわ、なんの個性だ!?」
「すご、4秒58だ!」
「お〜思ったより早く飛べたみたい。良かった!」
他にも握力測定、反復横跳び等一般的な体力測定の項目をこなしていく。反復横跳びみたいな俊敏性が求められる種目だと、個性の本領を発揮しにくい。お陰で個性なしの時とあんまり変わらなかった。
そして、第5種目 ボール投げ
ここでまさかのお茶子ちゃんが、記録♾を出した。
「えぇ!?そんな記録出ることあるんだ!」
「麗日すげー!!」
お茶子ちゃんの個性、災害時とかにめちゃ役立ちそう。すごい。私だと…目視できなくなるとこまでしか飛ばないかなぁ。何とか程々の値を出して戻ると、ボール待ちで休憩していたらしいピンクの子、もとい芦戸三奈ちゃんが駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ、50m走、凄かったね!どんな"個性"なの?」
「えっとねぇ、見せたほうが早いかな。」
近くに落ちていた小石を指差して、その後到達地点を指差した。
「この小石の目的地をあそこ!って設定すると―…」
小石がヒュンっと目的地まで一直線に飛んでいく。
「こんな感じ!」
「へ〜!」
「見えてるものに、『行き先』を決める個性なんだ。」
「使い勝手良さそう!」
「みんなの個性も教えてよ〜!」
A組女子がわっと集まってきたため、そのまま個性暴露大会だ。先生に怒られない程度に情報交換兼話に花を咲かせる。女の子の数少ないから、仲良くできそうでよかった〜!
一通りの測定が終わった子同士で喋りながら残りの子を見てると、緑谷くんの番が来たようだ。試験で0点ロボをぶっ飛ばしてた子…と、おそらく同一人物だと思うんだけど、今までの種目では個性を使っていなかった。
一日の使用制限があるとか、超パワーの引き換えに反動が大きい個性なのかな。
「次、緑谷。」
「は、はい…!」
緑谷くんはすごく思い詰めた顔をしたまま進んでいく。
そして、覚悟を決めた顔をしてグッと力を入れてボールを投げた。ように見えたが、結果は46m。個性を使ったようには見えなかった。
「な…今、確かに使おうって…」
「"個性"を消した。」
「!?」
細かい話は聞こえないものの、緑谷くんが抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!と叫ぶのが聞こえる。ヒーローに詳しくないから分かんないけど、話の流れからして先生は"個性"を消す"個性"?らしい。
何やら指導を受けている緑谷くんにみんなもざわついている。緑谷くんは思い詰めた顔でブツブツと何かを呟いていた。
爆豪くんは、除籍宣告でもされたんだろと吐き捨てるように言った。…でも。緑谷くんのあの顔は、絶望の顔じゃなくて、むしろ…
緑谷くんがもう一度大きく振りかぶった。その腕…違う、指先だけがきらりと光り、指先だけに個性を使ったのが見えた。ボールがビュンと爆豪くんの時と大差ない速さで飛んでいく。
「…先生……!まだ、…動けます!」
その一言に、個性の使い方に、先生がどんな顔をしていたかは見えない。てっきり、最下位の可能性が高い緑谷くんを先生は見込みなしと捨てるつもりでいたのかと思ったけど…どうなっちゃうんだろう。
「緑谷の最後の爆発力すごかったね!」
「やっとヒーローらしい記録出したよーー!」
「そうだね、でも…最下位は、最下位。緑谷くんは…除籍になっちゃうのかな…。」
「ううーん、…結果を聞くのが怖いぃ〜!」
お茶子ちゃんはとりあえず結果が出たことに喜び、三奈ちゃんが頭を抱えている。三者三様の反応だ。たとえ自分が最下位じゃなくても、誰かが除籍になるかと思うと怖いよね…。この後の結果発表を思い気分が下がっている中、それを振り切るように目の端を何かが飛び出した。
「どーいうことだこら、ワケを言えデク!」
バチバチと爆破の個性を出しながら緑谷くんに掴みかかろうとする爆豪くんに、先生の止めが入った。先生の個性は『抹消』、相手の個性を消せるらしい。でもドライアイ。…有能なのに難儀な個性の人だなぁ。
先生に止められた後も、爆豪くんは何か切羽詰まったような、ありえないものを見たような顔で緑谷くんを睨みつけていた。あの2人は、何か確執でもあるのかな。
…そして、結果発表!!流石に除籍ではないと思うけど…必ず最下位の人がいる。そして、それは除籍を意味する…そう思うとなんか…胸?お腹?が痛い……。先生前言撤回してくれたりなんか「ちなみに除籍は嘘な」…??
「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」
そう言って相澤先生はハっと乾いた笑いをこぼした。みんなが驚く中、八百万百ちゃんは冷静に、ちょっと考えたら分かりますわ…と零していた。
えぇ、嘘だったのぉ…?私はさっきまで完全に信じきっていたよ。見抜いた百ちゃん、凄すぎる〜。
この学校はいきなり除籍なんて言う破天荒なところもあるけど、だけど、しっかりと私たちがヒーローになれるかを見定めてくれている、そんな気がした。現に、先生は結果だけじゃなくて、その過程を見た。個性をどう活かすのか、その考える余地をくれた。
「私も、個性の使い方考えなくちゃ!」
「おっ高瀬やる気だね〜私も酸の使い道って難しいし、これから一緒に頑張ろ!!」
「私も透明化の活用方法考えるぞ〜!」
「三奈ちゃん、透ちゃん、これから一緒に頑張っていこうね」
「お〜!」