Nevertheless番外編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【aboutで捏造な設定】
可南(中学生)静佳・堂上(大学生)
【堂上家の日常~②バレンタイン~】
「ただい……うわ、なんだこの空気」
リビングのソファーに膝を抱えてる奴から負のオーラが見える。
というかそこだけ地面にのめり込みそうなほどの重力がはたらいてそうだ。
そしてそれとは対照的にテーブルの上にぽつんと置かれた可愛らしい袋。
「……本命にだけ渡せなかったとか阿呆だろ」
「うるさい」
聞こえてたのかと呆れながらも、ちょいっと覗き込んだ顔には泣いた跡があって。
ったく、たかだか中学生が色気づきやがって。
堂上は溜め息をついて袋のリボンを取った。
「…うま、」
思わずボソッと漏れた呟きに、気だるげに顔を向けた可南はくわっと目を剥いた。
「え!?ちょっ、何食べてんのッ」
すごい勢いで向かってきたが、堂上は取られないように袋を高く上げた。
必死に跳んで取り返そうとする可南に、堂上は片手で包装を取った。
「ほら」
そう言って黙らせ半分で口に押し込むと、むぐっ!?という声(?)と一緒に可南の動きが止まった。
「お前食べたがってたろ、それ」
さっき駅ビルで買った紙袋を、大人しくなった##NAME1##に突き出した。
もぐもぐと咀嚼しながら可南は、ついーっと目線をずらして紙袋を受け取った。
「…ありがとぅ」
「ん。じゃあ可南はそっち食え。こっちは俺が食べてやるから」
思ったよりぶっきらぼうな言い方になったが、頭を撫でるのは出来うる限りの優しさで。
可南はぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜられながら、高いチョコは少ししょっぱいと思った。
* * *
「はい、チョコー」
読んでいた雑誌との間に上から下ろされた小さな箱。
「んー」
堂上は雑誌片手に受け取り、ソファーに深く座り直した。
「ちょっとー、もっと感謝してよねぇ」
不満げにポスンと腰を下ろした可南に、堂上は呆れたように鼻で笑う。
「それを言うならお前こそもっとなんかあんだろ、渡し方」
「むー、可愛くなーい」
「可愛くなくて結構だ」
「柴崎さんからなら笑顔で貰うの?」
「勘弁してくれ、俺が個人で貰うとか恐ろしすぎるだろ。今年なんてお返し指定だぞ」
「じゃあ笠原さん?」
「何で笠原が出てくる」
「仲いいじゃない」
「そんなんじゃない」
「ふーん、……」
でも否定はしないんだね、笠原さんからは笑顔で貰うって。
いい事聞いちゃった、とニヤニヤしていると堂上は眉を顰めた。
「そーいえばお前、渡せなくてしょぼくれてたときもあったな」
話題逸らしたなと思いつつ、「あー」と返す。あったなぁそんなこと。
「でもま、もうその子とも普通の友達なんだろ?」
相変わらず相手を男の"子"と思ってる兄に笑ってしまう。
急に笑った可南に堂上は?を浮かべるが、教える気はない。
「んー……」
とテキトーに流して自分用のチョコをパクつくと、堂上は諦めたのか、いつの間にかテーブルに置いてた箱を取り上げた。
チラリと盗み見たラッピングを剥がす手はやっぱり優しい。
そんな所も相変わらずな兄に、可南は隠れてふふっと笑った。
鈍感なこの兄に、実は今もその男の"人"が好き、なんて言ったらどうなるかな?なんて。
(で?俺の分は?)
(え、今朝お姉が来て渡しとくって言ってたから預けたよ?大学行く前もらってないの?)
(アイツ……怒)
END
【あとがき】
時期でもなんでもない突発作品(笑)
結局チョコ貰えなかった大学生堂上教官かわいそうだけど、あの静佳さんなら絶対やってくれるはず(笑)
そしてこの『堂上家シリーズ』が書いてて楽しすぎる。
完全に私得ですが、楽しいんです、ほんと。何てったって書きやすい(笑)
堂上教官の不器用な愛にキュンとしたい(笑)