贈り物
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*Convinced Criminal*
今日は央さんに誘われて水族館に来た。
小学生の時以来だったから、懐かしくてわくわくした。
イルカショーは一番前に座ったし、小さな子達に混じってお魚のメリーゴーランドも楽しんだ。あ、乗ったのは央さんね。
乗る前は恥ずかしそうだったのに、動き出した後は子ども達よりノリノリで何だか可愛かった。
ほい、とくれたソフトクリームは美味しかったけど、中にクラゲが入ってると聞いて絶句したら笑われた。
そうして2人して大満足でロビーに戻ると、外は雨が降っていた。
「あぁ、やっぱり降ってきちゃったね。毬江ちゃん、傘ある?」
そう言って斜め掛けのリュックから出したのは青い折りたたみ傘。
折りたたみ傘ならある。
可南が心配症で今日は絶対持って行った方がいい!って言うから。
だが手にしていた携帯で『あります。』と打ちかけて、毬江は指を止めた。
もし、今私が傘を出さなければ、央さんは自分の傘に入れてくれるかな…?
少し迷って携帯をたたいた。
そして央さんに見せた文面は、
『ごめんなさい。持ってません。』
そっか、うーん困ったな。ビニール傘売ってないみたいだし。
うーん、と唸りながら沢多はお土産コーナーや受付に目をやる。
…もう、やっぱり央さんは鈍い!
毬江は内心膨れながらも、ドキドキしながら返事を待っていた。
早く言ってくれないかな、
「ごめん、俺の傘に一緒にでもいいかな?」
って。
そう言って振り向いた顔がひどく申し訳なさそうで、頑張って考えてたんだと思って、何だかこちらも申し訳なくなった。
『すみません、よろしくお願いします。』
文面を見せてポケットにしまい、おずおずと傘に入る。
気はずかしい反面、悪戯が成功したみたいにわくわくして、頬が緩むのを抑えるのに必死だった。…だって憧れてたんだもん、相合い傘。
「大丈夫?狭くない?」
"大丈夫です、ありがとうございます"と小さく言うと央さんは少し驚いたあと、とても嬉しそうに微笑った。
その表情と、内緒話のように よかった、と言った吐息混じりの声がすごく甘くて心臓がドキリと大きく跳ねた。
「あ、歩きづらかったらどっか捕まっていいからね」
そういつも通りのトーンと表情で言う央さんに無言で頷き、傘を持つ袖口を控えめにきゅっと掴んだ。
頭上で微笑った気配がして、毬江はとてもドキドキしたが、何となく悟られたくなくて真っ直ぐ前を向いていた。
沢多はというと、そんな毬江をちらりと見て、またそっと微笑んだ。
確信犯。
(でも、それは一体どちらのこと?)
END