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*make a date!!*
大学生って、比較的時間に余裕があるイメージだったけど甘かったみたいだ。
「…専門課程前にこんなにやらなきゃいけないことがあるなんて思わなかった……」
目指せ、図書隊!
小牧さんみたいに武器をとることは出来なくても、館員として広く知的サービスの提供をすることで少しでも良化法に対抗する助けになりたい。
そう意気込んで司書課程のある大学に進学したんだけど、専門的な勉強をする前に「大学で勉強するために必要なこと」を勉強しなくちゃいけなくて。しかもそれが思いがけず多岐にわたるものだから、そもそもあまり勉強が得意でないわたしは各講義が始まった途端いっぱいいっぱいな状態になってる。
先生方の都合で休講にでもならない限り、毎日わりとみっちり講義が詰まってたけど。
でも、やっぱり今日だけは。
『図書館で待ってます。 なまえ』
最後の講義が終わるなりメールを送ったわたしは、新しい友達の誘いも断って地下鉄の駅に飛び込んだ。
そして。
去日までの雨が嘘みたいな梅雨の晴れ間。陽の傾きかけたちょっぴり黄色い空の下、わたしは武蔵野第一図書館の正門の前で立ち尽くしていた。
地下鉄とJRを乗り継いで、急いで来たのに---
「……そっか。今日、月曜日だったっけ…」
図書館はお休みの日だ。
今日は小牧さんと出逢った日。
日付ばかりを気にして曜日にまで気が回らなかったわたしは、すっかりそのことを忘れてた。
「…やっちゃった……」
呟いた時、携帯電話が長い着信音を繰り返した。
『なまえちゃん、今どこ!?』
出るなり切羽詰まった大好きな恋人の声。わたしとしては、ちょっと恥ずかしかったけど。
「図書館の正門の前です…」
* *
「ごめんよ。射撃訓練中で、メールの確認が遅くなっちゃって」
「いえ、わたしがうっかりだったので…」
約束は、駅前のカフェで六時半。でも、今日の小牧さんが定時で上がれるのは聞いてたから、少しでも早く会いたくて---結果、間が抜けてしまったんだけれど。
図書基地の正門に来て。と言われて向かえば、そこには小牧さんが迎えに来てくれていて。シュンとするわたしの頭に手を置いて、警衛の詰所で手続きをすると寮のロビーまで連れて来てくれた。
「夕方に女の子を外でなんか待たせられないからね」
ちょっとだけ待ってて。そう言って男子寮のドアに消えた小牧さんは、本当にすぐに戻って来てくれたけど。
「……小牧さん。ちょっとお洒落してます?」
「そりゃあね。可愛い恋人と記念日のデートなんだから、ちょっとくらい若作りしないとさ」
きれいに微笑ってそう言う歳上の恋人に、わたしは声もなく茹で上がるばかりだった。
END
大学生って、比較的時間に余裕があるイメージだったけど甘かったみたいだ。
「…専門課程前にこんなにやらなきゃいけないことがあるなんて思わなかった……」
目指せ、図書隊!
小牧さんみたいに武器をとることは出来なくても、館員として広く知的サービスの提供をすることで少しでも良化法に対抗する助けになりたい。
そう意気込んで司書課程のある大学に進学したんだけど、専門的な勉強をする前に「大学で勉強するために必要なこと」を勉強しなくちゃいけなくて。しかもそれが思いがけず多岐にわたるものだから、そもそもあまり勉強が得意でないわたしは各講義が始まった途端いっぱいいっぱいな状態になってる。
先生方の都合で休講にでもならない限り、毎日わりとみっちり講義が詰まってたけど。
でも、やっぱり今日だけは。
『図書館で待ってます。 なまえ』
最後の講義が終わるなりメールを送ったわたしは、新しい友達の誘いも断って地下鉄の駅に飛び込んだ。
そして。
去日までの雨が嘘みたいな梅雨の晴れ間。陽の傾きかけたちょっぴり黄色い空の下、わたしは武蔵野第一図書館の正門の前で立ち尽くしていた。
地下鉄とJRを乗り継いで、急いで来たのに---
「……そっか。今日、月曜日だったっけ…」
図書館はお休みの日だ。
今日は小牧さんと出逢った日。
日付ばかりを気にして曜日にまで気が回らなかったわたしは、すっかりそのことを忘れてた。
「…やっちゃった……」
呟いた時、携帯電話が長い着信音を繰り返した。
『なまえちゃん、今どこ!?』
出るなり切羽詰まった大好きな恋人の声。わたしとしては、ちょっと恥ずかしかったけど。
「図書館の正門の前です…」
* *
「ごめんよ。射撃訓練中で、メールの確認が遅くなっちゃって」
「いえ、わたしがうっかりだったので…」
約束は、駅前のカフェで六時半。でも、今日の小牧さんが定時で上がれるのは聞いてたから、少しでも早く会いたくて---結果、間が抜けてしまったんだけれど。
図書基地の正門に来て。と言われて向かえば、そこには小牧さんが迎えに来てくれていて。シュンとするわたしの頭に手を置いて、警衛の詰所で手続きをすると寮のロビーまで連れて来てくれた。
「夕方に女の子を外でなんか待たせられないからね」
ちょっとだけ待ってて。そう言って男子寮のドアに消えた小牧さんは、本当にすぐに戻って来てくれたけど。
「……小牧さん。ちょっとお洒落してます?」
「そりゃあね。可愛い恋人と記念日のデートなんだから、ちょっとくらい若作りしないとさ」
きれいに微笑ってそう言う歳上の恋人に、わたしは声もなく茹で上がるばかりだった。
END