4章
夢小説設定
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「っくしゅん!」
「アリア~大丈夫?」
「ありがとう」
「オレの上着貸そうか?」
「袖ないよね?」
どうせなら村から借りてくれば良かった。
まさかジェラ風穴がこんなに寒いとは思わなかったよ。
「つーか何でカフェオレは凍らないの?ポンコツなクセに」
「温度調節ができるんじゃねぇか?」
「その特典ウザ過ぎるが山の如し」
「ヒドイデス!!」
「文句あんの?」
「アリアネエサン、オレニバッカキビシイ!!……ット!アソコニ、ダレカタオレテルゼ!!」
カフェオレの言葉に、前を見るとメースが倒れていた。
「どうしちゃったの!?」
心配するアランシアをよそにメースの様子を見る。
「気絶してるだけみたいだけど……」
「がっしょん、がっしょん」
ん?
何か聞こえ、辺りを見渡す。
「カフェオレ、何か言った?」
「イエ、ナニモ」
気のせい?
でも確かに聞こえたような。
「がっしょん、がっしょん」
気のせいじゃなかった。
「なに~?変な音~」
「こりゃ奴さんか?」
カシスがそう言うと大きなサミが特徴のモンスターが出てきた。
これは……確か…。
「でた~~~っ!!敵よ!敵ッ!!」
「ヒョア~~~!」
騒ぐ2人を余所に、カシスはアリアに近寄る。
「どうする?」
「どうするって……それは、やるっきゃないでしょ」
「だよな。って事で、ジュリエンヌ!!」
カシスの魔法が蟹にクリティカルヒットする。
「あ。言い忘れてたけど、ハサミのところはなるべく傷付けないでね!あとで食べるから!」
「おう!……え!?食べる!!?」
「魂のノクターン!」
カシスのツッコミをよそに、攻撃を仕掛けるアランシア。
だがあまり効いてないのか反撃を繰り出すヘイルクラブは、カフェオレにダイレクトアタックする。
「ヒョア~~!」
「カフェオレ…!……君のことは忘れないよ」
「まだ死んでねーからな!?」
「冗談だよ」
それから攻防を繰り返した後、カシスのスラッシュ召喚からブロシェットと連携魔法によりヘイルクラブは倒れた。
「お疲れ。こういう時はやっぱ頼りになるよね」
「もっと頼ってくれていいんだぜ」
「じゃあ早速このハサミの部分切ってくれる?」
「マジで食うの!!?」
「こういうのは鮮度が大事。はやくはやく」
カシスを急かしていると、メースが目を覚ました。
「…ここは、どこ?あなた達は……」
「ダイジョウブデスカ…?」
「そうだ……思い出した。花をとったんだ…帰らなきゃ」
朧げな様子に不安を覚えたが、意識がはっきりと覚醒したようで、村へ戻ろうとする背中を見て安堵する。
「や~ん。大丈夫かしら~?」
「大丈夫だと思うけど……」
村人がどんな反応するかは気掛かりだな。
「寒っ……」
思わず辺りを見回す。
モンスターも潜む薄暗い洞窟ではあるし、入った当初から涼しくはあったけれども。
でもこの洞窟、こんなに寒かったっけ。
戦闘で気付かなかっただけ?
いや違う。心の底から冷えていくような。
なんというか……暗い。
「どうした?」
カシスは気遣うように声を掛ける。
「何でも。それより私達も早く…」
「くっくっくっく……」
遅かった。
そう思うも束の間、ショコラを連れ回していたドワーフが氷柱の陰から現れる。
こいつが原因か。
「畜生!こっちが弱るのを待っていたな!」
カシスが睨みつけ叫ぶが、ドワーフは不気味な笑みを浮かべたまま。
「オレ様と戦える体力は残っているかな?」
「オレ………サムイノニガテ。モウ………ゲンカ……イ…」
ええ!?
温度調節どうした!?
「戦うまでもなく一人脱落か。くっくっくっく……」
下卑た笑い声が響くなか、警戒しながら周囲を見渡す。
コイツ以外の敵はいないとみた。
でもショコラの姿がない。
「ショコラをどこにやった!?ショコラを出せ!!」
カシスも気付いたのか、ドワーフに向かって叫ぶ。
しかし答えが返ってくることはなかった。
「オレ様と融合すれば寒さも感じぬし、友情などに惑わされることもなくなるかも知れんぞ。くっくっくっく……」
化けの皮が剥がれるように、ドワーフはエニグマに変化する。
融合を促すということは、ショコラとはまだ融合してないということ。
そこはひとまず安心したいところだけど、この状況は芳しくない。
攻撃の要であるカシスは先ほどの戦闘で魔法を連続で放って疲弊している。
アランシアも同様だ。連戦には慣れてない。
すでに戦意喪失しているカフェオレなんて論外すぎる。
「アリア、来るぞ!!」
「いや~!!もう戦えないッ!」
ここは私が戦うしかないか。
魔法を放つタイミングを伺っていると、突如ダブハスネルを魔法が襲った。
傍には黄色い花弁が舞い散る。
「カシたん。これって」
「ああ……ん?カシたん?」
この魔法は美の魔法だ。
つまり……。
「頼りにならない救助隊だなぁ。そんなんじゃ、誰も助からないよ」
振り替えるとシードルの姿が目に映った。
「シードル~!!」
「覚えてろよ!!」
エニグマがワープで消える。
「あっ!!」
「ニゲルノカ……!!」
「いいよ、今は逃がしてやればいい。戦って勝てるかどうかもわからないしね」
シードルにしては良い判断だと内心思う。
「シードル……さっきは酷い事言ってゴメンね。私、何も知らなかったから」
「僕の方こそ……ごめん」
素直に謝るアランシアとシードル。
「よう、シードル。どんな気分だい?」
「このままママを助けに行きたい。今なら助けられるのに、もうママはどこにもいないんだなぁ」
「助けるべき人はいくらでもいるさ」
そう言いながら、カシスはシードルの肩に手を置く。
するとシードルが、周囲を見回し始めた。
「どうした?」
「今、誰かがこっちを見てるような感じがしなかった……?」
「あー!!」
「いきなり何!?」
突如声をあげたアリアに、シードルが訝しげな目で見る。
「メース!!早く村に戻ろう!」
「だったら普通に言ってよ。まぁとりあえず、マサラティ村にメースの様子を見に戻ろう。ガナッシュとショコラはその後だけどいいよね?」
「OK。マサラティ村へ戻ろう」
「エニグマはどうするの~?」
「あのエニグマを見てて気付いたんだが、どうやら体力が落ちると、宿主と同化するみたいなんだ。だから暫くアイツは、元のドワーフが取るような行動を取るはずだ」
さすが相棒。よく見てる。
「ふーん。でも元のドワーフってのが、そもそもどんなヤツなのかわかんないや」
ほんそれな。