4章
夢小説設定
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シードルと別れ、リーダーの家に行くと割りと親切に出迎えてくれた。
「私がマサラティ村のリーダー、ジンジャーだ。この村が、闇のプレーンの中でも平安を保っていられるのは私がいい仕事をしているからだ」
自分で言いますかそれ。
「お前達も、この平和を存分に楽しむがよい。ただし、沼の真ん中の氷の島へは行かぬことじゃ。氷の島にあるジェラ風穴。そこにはとんでもない魔物がおるからの」
「リーダー、娘さんのことですがちょっとよろしいか?」
「なんだ?またいつもの話か?」
部下っぽい人が割り込んでくる。
どうやら別件みたいだけど。
「今日もシナモン様は例の場所へおいでのようで……村の者達も、いつまでも大目に見るとは限りませぬ。実際に『リーダーの娘だから、ルールは守らなくても良いのか?』…との声も聞かれまする。このままでは何か事件が起きるのではないかと心配でなりませぬ」
「分かっている。村のルールは守らせる。リーダーの娘であろうと例外ではない。私は公平なリーダーだ」
ルールねぇ……この村も訳ありだったり?
家を出ると門の方には先程リーダーと話していた部下と誰かがいた。
「君をこの家に入れるなとのリーダーのお達しがある。帰りなさい」
「でもシナモンの忘れ物……じゃなくて…シナモンのハンカチが森に落ちてたから………」
傍から聞いてても拙い言い訳だが、遠巻きから様子を見守る。
「ならば私が預かろう」
「直接渡したい……」
「それはできぬ」
「どうして?」
「ルールだ。どうしてもと言うならリーダーの許可を仰がねばならない」
「リーダー…?シナモンのお父さんのこと?だったら今すぐ許可を……」
「リーダーはお疲れだ。またあとで来なさい」
いや、リーダーさんは疲れてないよね?
さっき私達と話してましたよ。
「それじゃ、また明日来ます…今日は宿に泊まりますから何かあったら、宿のほうへ連絡お願いします」
少年はそれだけ言って去っていった。
とやかく言うことじゃないんだけどさ、感じ悪くない?
やっぱり、この村も何かあるんだろうか。
夕暮れ時に近付き、明日に備えようと早めに宿へ向えば、先ほどのヴォークスの少年がいた。
「こんにちは。アリアって言います」
「やぁ、さっきはどうも。僕はメース。なんだか恥ずかしいところを見られちゃったな」
「うふふっ。愛してるのね」
照れるメースに、アランシアは笑顔で微笑む。
流石は恋する乙女。他人の恋にも敏感よね!
「ハハハハ……そうだね。さっきのハンカチを届けるっていうのは、シナモンが考えた作戦だったんだ。少しずつ村の人と馴染めるように……ってさ」
「あなたは村に住んでないの?」
「村の外れに住んでるんだ。シナモンの為にも少しずつ、諦めないで村の人と馴染めもうと思って……だから明日また行ってみる」
あんな除け者扱いされているのに立派だ。
でもどうして村人は彼を…?
「よしな、メースちゃん。あんまり目立ったことしてると痛い目にあうよ」
後ろから聞こえた声に振り返ると、宿屋さんがいた。
「オオット!ダレデイ!クチヲハサムノハ!?」
「カフェオレ、江戸っ子口調になってるぜ」
カシスが静かに突っ込むが、カフェオレは特に反応なし。
「メースちゃんの両親が死んだのは村の者のせいさね。メースちゃんの目を正面から見れる大人は一人もいないのさね」
「どういう事なの~?」
「ウーズ熱はアイスシードさえあれば、簡単に治せる。沼の真ん中の氷の島の洞窟にグラッシュの花があり、その花がアイスシードを実らせることもみんな知っておる。ただ誰にも、それを取りに行く度胸がなかったんじゃ」
ああ、つまり臭い物に蓋をしたってわけか。
「大昔の言い伝えを引っ張り出してきて、やれ『悪魔の熱だ』とか『呪いの熱』だと騒いで、誰もアイスシードを取りに行こうとはしなかったのさ。それだけの話さね」
「酷い……」
「旅の人の前でそんなことを言わないでください……知ってましたよ。そのことで村人を責めるなと言うのが、父の最後の言葉でした。自分の為に命をかけろとは言えないでしょう? 父は笑ってましたよ」
「うわ~。壮絶~」
「ク~ッ!ナカセルネェ~!ナカセルジャネェ~カ!コンチクショイッ!!」
「だから江戸っ子」
「なに言っても無駄だよカシス。ポンコツだもん」
寝てる間に沼に沈めてやろうかしら。
「村の人にわかってもらうために大切なのは言葉ではなく、ボクが何をするかなんです」
「大人になったね…メースちゃん。ご両親が亡くなった時はあんなに小さかったのにね…。ごめんね、おじさん何にもしてあげられなくて……今日は泊まって行きな。みんなも一緒に……タダでいいからね」
まじ?あざっす!
しばらくメースと談笑した後、宛がわれた部屋へ移動すれば、恒例の場所取りが始まった、
「お泊まりお泊まり~♪」
「みんなどこにする?」
「オレここォ!」
カシスは一番奥のベッドに寝っ転がる。
テンション高いな。
「アリアは隣な!」
「はいはい」
「やっぱり仲がいいのね~♪」
どこか楽しげにこちらを見ているアランシア。
なにか期待されてるような気がしなくもない…。
「アランシアもああ言ってるし、オレ達付き合っちゃう?」
「私まで口説くの?冗談は顔だけかと思ってたわ」
「うひゃー!手厳しい!」
冗談なのか本気なのか知らないけど。
そういうことを軽く言っちゃうから、ブルーベリーも憤慨するのよね。
顔は悪くないのに。
「そういやさ」
「ん?」
「再会してから気になってたんだけど、首飾りはどうしたんだ?」
「あ~私も気になってた~!トルーナ村まではちゃんと着けてたよね?」
二人は気付いてたかぁ。
やっぱり見てる子は見てるよね。
「んーちょっとね」
「何かあったのか?」
「いや、何かあったと言うわけでは……」
はぐらかそうにも、アランシアとカシスは納得してくれなさそうだな。
仕方ない。正直に話すか。
「あのですね。実は……」
2人に首飾りの経緯を説明した。
「そうだったの~!?気付かなかった~」
「オレはてっきり無くしたのかと」
「失礼ね。あれだけは手放さないわよ」
あれは……証なんだから。
「でもガナッシュに渡した理由は?」
「んー……彼に必要そうだったから?多分」
「なんだそりゃ」
少しでも彼の支えになれれば。
「とりあえず今は手元にはないの。ガナッシュ合流したら、返してもらう予定」
そもそも私のだしね。
「今日はなんだか疲れたわ。もう寝よ」
「さんせ~い♪」
「んじゃおやすみ」