序章
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職員室を後にして、音楽室に向かう。
カフェオレの言った通りカシスとシードル、オリーブにアランシアがいて、こちらも何やら話をしていた。
「そんなのウソだよ。だってそれが本当なら、毎年のようにヴァレンシア海岸に行くワケないじゃないか」
「学校は噂のモミ消しに必死なのさ。毎年この時期になると、何者かに校門を破壊されるって言うし……絶対何かあるぜ」
色々あるのは確かなんだが、カシスくんの言う校門破壊はちょっち違うと思う。
「キャンプで毎年誰かがいなくなってるってのが本当だったら、誰がいなくなったのさ」
「ガナッシュのお姉さんが……3年前キャンプから帰ってきて、すぐ家出しちゃったわ」
ああヴァニラさんね。
すっごい美人で評判だったな。
だからガナッシュも美形なのか。
「そんなの全然関係ないじゃないか。結局そんな話に尾ひれがついただけさ」
「夢が無ぇなぁ」
「夢がないねぇ」
話に加わるまで気付かなかったのか、アランシア以外から一斉に視線を向けられる。
「お、アリアじゃん。いるなら言えよ」
「さっき来たばっかよ。それより何の話?」
「君には関係ないさ」
「つれないねぇドルくん。さては私の事好きだろ」
「頭おかしいんじゃない?」
いやー辛辣過ぎるわ。
まぁこの前ミミズグミ投げ付けたり、色々とやらかしちゃったからな。
「お前もやっぱ、このキャンプに何かあると思うか」
唐突に話題が振られ、アランシア以外の視線が刺さる。
「え?もしや私に聞いてる?」
「君以外、誰がいるのさ」
シードルは棘のある言い方好きだよね。
流石は芸術家と言うべきか?
「お前の勘はよく当たるしな」
「そうね。アリアなら何かしら、思うことがあるんじゃないかと思うわ」
カシスはともかくオリーブまで。
変なとこで信頼されてない?
「んー……うまくは言えないけど、きっと何かはあるんじゃないかなぁ」
「何かって?」
「それは自分の目で確かめて見よう。みんなキャンプには行くんでしょ?そろそろバスに乗る時間です」
「迎えに来てくれたのね」
「オリーブ正解!早く行かないとペシュペシュにみんな怒られちゃうよ」
「ん?お前行くの?」
「ああ、うん。ってなわけで、ほら急いで!バスに乗り遅れちゃいますよって」
「大丈夫よ~。慌てないでも~。のんびり行きましょうよ~」
「私はそうしたいんだけどね?ペシュペシュがなんて言うか」
そう言えば、みんな納得してようにぞろぞろと音楽室を出た。
「なぁ、ちょっと教室に寄ってくんね?」
「教室?」
「多分カベルネがいるはずだからよ」
「ああ、了解」
教室に寄れば、カシスに言う通りカベルネがいた。
「カベルネー!」
「アリア……」
あれ?なんだかテンション低い?
「どうしたカベルネ。兄貴のこと思い出してたのか?」
気遣っているか、カシスがカベルネに気さくに声をかける。
普段は軽薄なナンパ野郎でもあるが、クラスメートの中で最年長だからか、こういうところはお兄さんって感じだ。
「ガナッシュの姉キは学校を辞めたあとも……時々この教室に、オレの兄キに会いに来てたんだヌ~」
――――――――
「今までどこに行ってたの?みんな心配してたよ?」
「心配?するわけないでしょ?」
「まだ怒ってるの?」
「怒るって何を?あなたのお父さんのこと?」
「父に何を言われたの?」
「何も言われてないわ。いつも感じていたことよ。私の中には、闇の精霊の血が流れているの。私を嫌う人がたくさんいるのは、知っていたもの」
「キミの敵になるヤツはボクがすべて倒す!世界がキミの敵になるなら世界なんかブチ壊してやる!ボクを信じて!」
「心配は無用よ。私はやり方をみつけたの。私には力がある。今までみたいな弱虫ヴァニラじゃないわ。さようなら。シャルドネ、カベルネ」
「ヴァニラ!!」
「あんなヤツ!!放っておけばいいヌ~!!」
「ヴァニラは普通じゃない!何かあったんだ!」
「何か!?何かってなんだヌ~!?」
―――――――
「もしかして……泣いてたの……?」
「そんなことないヌ~。ちょっと目にゴミが……」
「お兄さんのこと思い出してたのね」
人の心が読めるオリーブがそう言うなら、間違いないだろう。
悲しみは、そう簡単に癒えるものではないのだから、思い出すのは仕方ない。
「行こうぜカベルネ。海に行って何もかも忘れようぜ」
「うんうん。カシスを崖から思いっきり落とそう?レッツ紐なしウォーターバンジー」
「やめろオレが死ぬ」
「チッ」
「舌打ち!?」
「あ」
「どうしたの~?」
「ちょっと取りに行きたいものが。みんなはバスに先行ってて。あ、カシス以外ね」
「え?なんで?」
「ちょい手伝ってちょ」
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