序章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
職員室を後にして、音楽室に向かう。
カフェオレの言った通りカシスとシードル、オリーブにアランシアがいて、こちらも何やら話をしていた。
「そんなのウソだよ。だってそれが本当なら、毎年のようにヴァレンシア海岸に行くワケないじゃないか」
「学校は噂のモミ消しに必死なのさ。毎年この時期になると、何者かに校門を破壊されるって言うし……絶対何かあるぜ」
色々あるのは確かだとは思うけど、カシスくんの言う校門破壊はちょっち違うんじゃないかなぁ。知らんけど。
「キャンプで毎年誰かがいなくなってるってのが本当だったら、誰がいなくなったのさ」
「ガナッシュのお姉さんが……3年前キャンプから帰ってきて、すぐ家出しちゃったわ」
ああヴァニラさんね。すっごい美人で評判だったな。
弟のガナッシュも美形だけど。
「そんなの全然関係ないじゃないか。結局そんな話に尾ひれがついただけさ」
「夢が無ぇなぁ」
「全くだ。夢がないねぇ」
話に加わるまで気付かなかったのか、アランシア以外から一斉に視線を向けられる。
「お、アリアじゃん。いるなら言えよ」
「今さっき来たばっかよ。それより何の話?」
「君には関係ないさ」
「つれないねぇドルくん。さては私の事好きだろ」
「は?何言ってんの?頭おかしいんじゃない?」
マジレスあざす。辛辣さに磨きが掛かってる。
この前ミミズグミ投げ付けたり、色々とやらかしちゃったからな。
「やっぱこのキャンプに何かあると思うか」
唐突に話題が振られ、アランシア以外の視線が刺さる。
「え?私に聞いてる?」
「君以外に誰がいるのさ」
シードルは相変わらず棘のある言い方好きだよね。
流石は芸術家と言うべきか?
「お前の勘はよく当たるしな」
「そうね。アリアなら何かしら、思うことがあるんじゃないかと思うわ」
カシスはともかくオリーブまで。
変なとこで信頼されてる?
「んー……そうね。うまくは言えないけど、きっと何かはあるんじゃないかな」
「何かって?」
「そこまでは。それこそ自分の目で確かめて見ようよ。みんなキャンプに行くんでしょ?さて、そろそろバスに乗る時間です」
「アリアは迎えに来てくれたのね」
「正解!流石ねオリーブ!早く行かないとペシュペシュにみんな怒られちゃうよー」
「お前も行くの?」
「流れでね。ってなわけで、急いでちょ!バスに乗り遅れちゃいますよって」
「大丈夫よ~。慌てないでも~。のんびり行きましょうよ~」
「私はそうしたいんだけどね?ペシュペシュがなんて言うか」
そう言えば、みんな納得してようにぞろぞろと音楽室を出た。
「なぁ、ちょっと教室に寄ってくんね?」
「教室?」
「多分カベルネがいるはずだからよ」
カシスに言われた通り教室に寄れば、言葉通りカベルネがいた。
「カベルネー!」
「アリア……」
あれ?なんだかテンション低い?
「どうしたカベルネ。兄貴のこと思い出してたのか?」
気遣っているか、カシスが気さくに声をかける。
普段は軽薄なナンパ野郎でもあるが、クラスメートの中で最年長だからか、こういうところはお兄さんって感じだ。
「ガナッシュの姉キは学校を辞めたあとも……時々この教室に、オレの兄キに会いに来てたんだヌ~」
――――――――
「今までどこに行ってたの?みんな心配してたよ?」
「心配?するわけないでしょ?」
「まだ怒ってるの?」
「怒るって何を?あなたのお父さんのこと?」
「父に何を言われたの?」
「何も言われてないわ。いつも感じていたことよ。私の中には、闇の精霊の血が流れているの。私を嫌う人がたくさんいるのは、知っていたもの」
「キミの敵になるヤツはボクがすべて倒す!世界がキミの敵になるなら世界なんかブチ壊してやる!ボクを信じて!」
「心配は無用よ。私はやり方をみつけたの。私には力がある。今までみたいな弱虫ヴァニラじゃないわ。さようなら。シャルドネ、カベルネ」
「ヴァニラ!!」
「あんなヤツ!!放っておけばいいヌ~!!」
「ヴァニラは普通じゃない!何かあったんだ!」
「何か!?何かってなんだヌ~!?」
―――――――
「もしかして……泣いてたの……?」
「そんなことないヌ~。ちょっと目にゴミが……」
「お兄さんのこと思い出してたのね」
人の心が読めるオリーブがそう言うなら、間違いないだろう。
悲しみは、そう簡単に癒えるものではないのだから。
思い出に浸るのも仕方ない。
「行こうぜカベルネ。海に行って何もかも忘れようぜ」
「うんうん。一緒にカシスを崖から思いっきり落とそう?レッツ紐なしウォーターバンジー」
「やめろオレが死ぬ」
「チッ」
「舌打ち!?」
「冗談よ。さてと」
「どうしたの~?」
「ちょっと取りに行きたいものが。みんなはバスに先行ってて。あ、カシス以外ね」
「え?なんで?」
「ちょい手伝ってちょ」
.