3章
夢小説設定
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ワープを使って魔バスに戻ると、バルサミコが既にカフェオレの腹を開けていた。
「おう!いいねぇ!!いい感じになったねぇ!!早速、魔バスに繋いでみるけどいいかい?」
「って事はもう行くの?」
「おう!!繋いだらさっさと行っちまうぜ。このプレーンでやり残したことがあるなら、もう少し待ってやってもいいんだが……」
光プレーンでやり残したこと……。
ガナッシュ達は闇のプレーンにいるの分かっているが、カシスはどうしているだろう。
魔バスがあることは伝えてあるし何かあればこっちまで来るだろう。
それに彼の方が先に村に向かったはずなのに、それでも村では会わなかった。
寄り道なんてしてる……かも知れないけど、この状況が分からないほどそこまで呑気なヤツでもない。
もしかして、彼もあちらへ…。
「アリア~、どうする~?」
「え……っと…みんなは?」
「私は~文鳥温泉行きたいなぁ~」
「文鳥?あぁ、文鳥の女将がいる温泉ね。いいじゃん?行ってきたらどう?どうせバス内に温泉セットあるし」
「アリアも行きましょ~!」
アランシアの誘いを受けて、考えることを一旦止める。
今考えても答えは出ないしね。
「そうする。みんなも行く?」
「オイラも行くっぴ!!」
「私も行きますの!」
満場一致で全員で温泉に向かった。
何故かバルサミコもいたが、特に突っ込まないでおこう。
とはいえ長湯する気分でもないため、一足先に魔バスへ戻るとブルーベリーの姿があった。
「早いね。くつろげた?」
「ええ。お陰様で。温泉でゆっくりするのもいいけど、今はここにいたいわ」
確かに賑やかな魔バスは今は静寂に満ちている。
「ねぇアリア」
「なに?」
「闇のプレーンってどんなとこ?」
「どうって……何で私に?」
ブルーベリーなら闇のプレーンくらい行ったことある気がする。
「あなたなら知ってるんじゃないかと思って」
ああ。彼女が聞きたいことはそういうことじゃないか。
「海岸でエニグマが現れた時も動じる所かヤツらを知っていたし、このプレーンに来ても迷う事なく先に進んでたわ」
「いつも思ってたけど、あなたのその洞察力は感心に値するわ」
そう言って、魔バスから見える景色に視線を移す。
美しい木々に光が射しこんでいる。
「確かにエニグマの事も知ってるし、闇のプレーンについても知ってる。プレーンについては過去に行った事あるから。ブルーベリーだって水のプレーンに行ったことあるでしょう」
「ええ」
「それと同じ。でもあなたが聞きたいのはそういうことじゃないよね。闇のプレーンに行けば、今まで以上にエニグマと戦うことになると思うわ」
「………」
闇のプレーンはエニグマの本拠地。いわばエニグマが力を発揮できる場所ってことだ。
ここからもっと熾烈になるに違いない。一刻も早く連れ去られたクラスメート達を見つけないと。
「でもまさか聞かれるなんて思わなかったよ」
「なんとなくそうかな、って。それに…」
言葉を濁すブルーベリーにアリアは首を傾げる。
「あなたがいつも身に付けてた首飾り」
その言葉に息が止まりそうになる。
「おばあちゃんに聞いた事あるの。昔の伝承を」
「…伝承?」
「古の七人の魔法使いのお話よ」
「……………」
それは微かな残り香だ。
「その七人はとても強い魔法の力を持っていて、その中の光の御子と呼ばれる少女があなたによく似ていて……」
「ブルーベリー」
アリアは静かに口を開く。
「伝承は時を重ねて常に変化するもの。そんな凄い人に似ているなんて恐れ多いわ」
「………そうね」
「私はただの魔法使い。空に瞬く星を見ながら、道なき道を歩んでいくの」
その以降、ブルーベリーとは他愛のない会話をしただけだった。
それから数十分後に、バルサミコ達が帰ってきて、出発の準備をし始めた。
「風呂はいいね~。バッチシだよ。コレで闇のプレーンだろうが元の世界へだろうが自由に行けるわなぁ。1回は」
………ん?
「早速、闇のプレーンに行くぜ!覚悟はできてるか!?」
「ちょい待て、キルシュ。バルサミコ、今なんつった? 」
「闇のプレーンだろうが元の世界へだろうが自由に行けるわなぁ。1回は」
「1回だけだっぴか?」
「闇のプレーンになんか何度も行きたくねぇよ。1回でいいだろ?さっさと行こうぜ!のんびりしてられるかよ!」
馬鹿だ。
キルシュ、君はとことん馬鹿なんじゃないか。
どこぞの社長さんがいたらね……凡骨の戯言とかって言われるぞ。
「キルシュ、あなた頭使ってる?一度っきりってことは行ったらもう帰れないってことじゃないの?」
そう。その通りだよ。頭脳派がいてくれて良かったわ。
「でもそれじゃ、ガナッシュたちを助けに行けないじゃな~い?」
「カフェオレのトランスが1回しかもたねぇからよぉ~。学校に戻って魔バスをちゃんと修理すりゃなんとかなんじゃねぇの?」
修理か……思いのほか時間が掛かるんじゃないか。
カフェオレほんとに役に立ってる?立ってるの?
「つまり帰るしかないってことだっぴ」
「マァ、ソウイウコトダ。ココハカエルシカナイト」
「魔バスの修理ってどのくらいかかるんだ?ガナッシュやキャンディは大丈夫なのか?」
私のクラスメート達は決して弱くないけども、闇のプレーンにいるってことは事実。
のんびりしてはいられない。でも。
「焦ってもしょうがないわね。確実な方法を選ぼう。帰ろう、学校に」
そう断言すれば魔バスのエンジンが起動する。
「りょ~~~~~~かい!行くぜっ!ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーップ!」
「イッ……………!!イッ…………!!! イヒャーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
間抜けた声ですね。
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