2章
夢小説設定
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ようやく宮殿に入ると、先程見かけた姿が目に止まる。
「ここまでだ!宮殿への立ち入りは許さん!!」
「ムスコさん!」
「ムスコではない!!トルティーヤだ!」
知ってます。わざと言いましたすみません。
「行っちゃダメなの~?」
「お前達の為に言ってるのだ。エニグマの話は聞いているだろ?」
「危険なんか、いつも承知の上だぜ」
「承知だと?お前に何がわかるかッ!!この中にいるエニグマは3体。しかも、手強い相手だ」
3体か……。
光輝く宮殿とはいえ、それは遥か昔のことで今は形骸化。
このプレーンで生き長らえるなら、この城の地下こそ格好の場所だろう。
そこを根城にするのだから、ピスカプークやヴァルカネイラとは比べ物にならないだろうな。
「けど中からブルーベリーとぺシュの匂いがするっぴ~」
それでもなお食い下がるクラスメートに、トルティーヤは顔をしかめる。
「不用意な……なぜわざわざ危険な場所へ……」
「友達がいるからだよ」
とても大切な友達が、この先にいる。
「あなたにはそんな理由でなんて思うかも知れないけど、私達にはそれだけでも充分な理由なんだ」
その為にわざわざここまで来たのだから。
「ムスコさん…… あっしらも力を貸して、共にエニグマを倒すのがいいのでは?」
「しかし…」
親衛隊の言葉に俯くトルティーヤ。
「意地張るなよ。これだけ頭数が揃ってんだ。今がエニグマを倒すチャンスじゃないのかい?」
「……倒す……誰も彼もが口を開けば、倒すだの殺すだの……なんて哀れな……」
「ムスコさん……」
「何故倒す必要がある?ヤツらが何をした!? 光に怯え、宮殿に引きこもっているだけの相手を……ッ!」
「違うよ」
「アリア……?」
「エニグマは光に怯えてるんじゃない……焦がれていながら支配するその時を待っている。でも不用意には近付けないし、触れられるものでもない。光と闇は互いに焦がれても、分かり合う事が出来ない運命。手に入れることが叶わないのであれば、いっそ壊してしまえばいい。そんなくらいにしか考えてないと思うわ」
「しかし……!」
未だに迷うトルティーヤ。
愛の大使ってのはまったく面倒くさい生き物だ。
だからこそ迷うだろうし、苦しむのだろうけど。
「悩むのは無理ないんじゃない。あなたは本当の愛を理解はしていないのだから」
「なに……?」
「愛とは一体なにかと言われても、私にも分からないけど。アンタの愛は少し違うと思う。ただ自分の考えを強要するだけの押し付けに近い……そんな気がする」
それは愛とは呼ばないんじゃないだろうか。
「本当の愛を理解していなければ見えない……愛が無ければ、見えないものもあるんだよ」
定義も真実も。
時には自分の目指すべき道さえも……。
「みんな行こう。ペシュ達を探しに」
ムスコさん達を残して宮殿の奥へと進む。
少し進んだところで、見覚えのあるピンク色の頭が目に映る。
「あっ!!」
「やっほー。ぺシュペシュ~。元気だった?」
私達に突進してきそうな勢いでこちらに来るのを見る限り、相変わらずではあるらしい。
「大変ですのーーー!!ブルーベリーちゃんが具合が悪くなって、動けなくなって、それから………それから……!」
「ペシュペシュ、混乱してるね」
「落ち着いて話すっぴ!! 」
「そうよ、ぺシュちゃん。最初からちゃんと話して」
アランシアが宥めるように言うと、ぺシュは今度は戸惑いを見せ始めた。
「あ、あ、あ、あうあー……最初って、どの辺からですの~?」
そこからですか。
「とりまレモンが一緒じゃない理由から」
「えーと……3人で門のとこでエニグマに襲われそうになって、レモンちゃんが囮になって私達を逃がしてくれましたの」
「流石は年長者組。それで?」
「この宮殿の地下で待ち合わせてたんだけど、ブルーベリーちゃんが具合が悪くなって、レモンちゃんも来ないから、誰か呼んでこようと……」
「誰か呼んでこよう思って、どうしてたの?」
「迷子になってましたの」
なるほど……。
まぁこの宮殿は広い。
「頼りにならないっぴ」
「ピスタチオちゃんに言われたくありませんの!」
言い争う二人。
ペシュペシュ相手だとピーちゃん一言多いというか、キレが冴えてるというか。
「はい、はい、はい、はい。わかったわかった。ブルーベリーがこの宮殿の地下にいるんだな?それを助けに行くと」
「最初からそう言いましたの」
「言ってないっぴ」
「ピスタチオちゃんのお耳は虫の穴ですのッ!?」
「虫の穴じゃないっぴ!!」
これもはや痴話喧嘩では?
気のせい?
「どっちでもいいから、もう行こうぜ。ブルーベリーのことが心配だ」
「おおっ」
「どうしたアリア?」
「キルシュがただの凡骨じゃないんだと思って」
「…………」
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