1章
夢小説設定
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遺跡に赴けば、変わらずミルフィーユが案内を務め、アリア達は黙って後をついて行く。
「ねぇミルフィーユさん」
「……何ですか?」
「よそ者の私が言う事なんて、聞きたく無いだろうけど言っておきたくて……貴方の誰かを悼み慈しむその気持ち。それはとても大切な物だと思うよ」
「大切……ですか?」
アリアは言葉を続ける。
「そう思う気持ちは、自分が知らない何かを知る為にあるものだと私は思う。でもそれは、永い時の中で疲弊し、薄れていく」
ここに在ったのかさえも、分からなくなる程に。
「辛くても苦しくても、そんな中でも忘れずにいれたのならば、大切な物が見えてくる」
そう言い終わったと同時に、ミルフィーユが足を止めた。
目の前には、お腹の辺りがタプタプな鳥がいた。
「怪鳥スノウヘアよ。今まで何人もの旅人が、コイツの犠牲になったわ。スノウヘアを倒さないと、この先へは進めないけど……あなた達ならきっと大丈夫」
「ふぁひゃーーーーっ!!」
お、やる気だな。
にしても恰幅の良い鳥ちゃんだこと。
「……今日のメニューはワンチャン焼き鳥か?」
「焼き鳥!焼き鳥だって!?」
目を輝かせるキルシュ。
まさか好物なのか?
「任せとけ!」
といってやる気になったキルシュを主力に、みんなの魔法攻撃でスノウヘアを倒した。
(最後の比の魔法で鳥ちゃん真っ黒焦げじゃん!キルシュのバーカ BYアリア)
「逃げなかったってことは、覚悟ができたってことかな?」
「オマエは!!ティラミスッ!!」
タイミングを見計らっていたのか、柱の影からティラミスが現れる。ストーカーか?
「彼らのことは気にしないで。私たち二人で話しましょう」
「ミルフィーユ!!」
みんながミルフィーユを止めようとするが、ガナッシュはただ一人、その枠から外れる。
「ガナッシュ」
「他人のことに首をつっこんでも話をこじらせるだけだぜ。オレ達は他人で、二人の本当の事情なんて分かりやしない。そんなことより、今は他の友達を探す方が先だろ?オレは行くぜ」
そう言い残して、仲間から外れるガナッシュ。
確かにそれも、正論ではあるんだけどさ。
「もうパペットどうしで争うのはイヤ。私のハートが欲しいならあなたにあげるわ。でも、それっきりにしてッ!」
「ミルフィーユ!ダメだっぴ!」
「そうだ、ミルフィーユ!オレ達が証人になる。ソイツを村長の前に突き出せ!」
「そんなこと、できない」
「できないって、どうして~?」
「彼を村の男たちに差し出して、私は彼が村の人達から石を投げられたり殴られたりする姿を見なければいけないの?そんなのイヤ!悲しい気持ちばかり心につめこんで、生きていくのはイヤ!!」
これがこの子の本音。
本当に優しい心の持ち主だ。
アリアはティラミスの前に出る。
「あんたさぁ……バカじゃないの?」
「なんだって?」
「自分の気持ちばっか優先させてさ。他人の……ミルフィーユの気持ちを考えた事ある?この子は現実を見てアンタの事も、村のことも、責任持って一生懸命考えてるよ。自分の命を引き換えにしてでも考えてるのよ」
だから本当に心が痛むんだ。
「アンタは現実から目を逸らして、自分の気持ちしか考えられてないじゃない。弟を生き返らせる為にハートが必要だ?……ふざけんな。弟を生き返らせるために他人の命を奪っていいはずがない。命はそんな軽いもんじゃない。優劣なんてものもない。それにね……一度失ったものは二度と元には戻らない。死んだ者だって同じ。生き返るこは決してないんだよ」
「黙れ!!黙れ黙れッ!!」
ティラミスだって本当は分かっているはずなんだ。これは虚しい否定で何もないことを。
「ミルフィーユ……オマエは必ず来る…………信じてる」
「逃げる気だっぴ!!」
「ほっとけ!それよりもミルフィーユ!一緒に行こう」
「ありがとう。優しいんですね。でも私は村長の孫です。村を守らなければいけないの」
ミルフィーユはアリアを見る。
「アリアさん、ありがとう。あなたの言葉、とても嬉しかった…………さようなら!」
それだけ言ってミルフィーユは、ティラミスの後を追って去っていった。
「まったく!!やってらんねぇよ!!」
「え~そんなぁ~追い掛けなきゃ~」
「アリア!どうするっぴ!!」
「私が決めるの?」
「当たり前だっぴ!」
当たり前って……私にそんな決定権がいつの間にあったのか。
確かにあんな大口叩いちゃったけどさ。
でもこのままじゃいけないのは分かってる。